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15. お産の見えない罠

   ・いつのまにか減った
    土日と夜間のお産 

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   ・枯葉剤のまかれたベトナム
    並みに流産型治癒が
    今上日本に起こっている!?
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   ・ドキュメントインタビュー@ 
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   ・女性の智恵の結晶である
    自然なお産、命の営みを
    取り戻そう
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   ・胎内で、聞いて触って
    感じている 胎児は自分の
    誕生を記憶している!?
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   ・ドキュメントインタビューA
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   ・誕生時の子どもの記憶は
    人生観を大きく左右する
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   ・管理されるのではなく
    自分で選びとるお産へ
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   ・あなたはどんなお産を
    選びますか
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いま、お産がこれだけ人工操作されている お産の見えない罠

取材・文/岸原 千雅子

自然なお産を取り戻すために

おなかの赤ちゃんに語りかけて266日間をすごし、
膨らむ思いを胸に分娩台に上った母親に、投与された
陣痛促進剤が、胎児の命を奪っていく 。そこには、
医師の都合で菅理されるお産の現実があります。本来は、 
神秘的な自然の摂理である出産。そのドラマの真実に迫ります。

いつのまにか減った土日と夜間のお産 医療管理はどこまで進む

★胎児死亡や子宮破裂を起こす陣痛促進剤はなぜ投与される?

92年7月2日の北海道新聞に、ある医療訴訟の記事が載りました。陣痛促進剤を投与された直後、急激な陣痛に見舞われ、子宮が破裂、胎児は死亡するという被害にあった旭川の主婦が、病院を相手に訴訟を起こしたというのです。

「陣痛促進剤の被害を考える会」(代表・出元明美さん)によると、このような陣痛促進剤による被害は、全国で76件、現在約30件が係争中だと言います。被害にあった赤ちゃんのほとんどが死産、もしくは化死産で後遺症を抱えています(表2)。また母親のほうも、12名の死亡のほか、実に多様な副作用を起こしています(表1)。

また被害者全員が、薬の副作用や危険性について、一切説明を聞かされていません。しかも76件中61名は、使用時にその日的すら説明されていないのです。

陣痛促進剤の被害は、過剰に授与されたり、あるいは子宮口がまだ十分熟していない状態で使われたときに起こるといいます。母子ともに死に至るほどの危険性のある陣痛促進剤が、いったいなぜ使われているのでしょうか。

★土日や夜間の勤務を避けるため管理される病院出産の現実

「陣痛促進剤の被害を考える会」の調査によると、促進剤が使用された目的の中に、なんと「正月にかかるからと医師の都合で」とか「医師が旅行に行くため」というのがあります。

厚生省人口動態統計からとった1990年(平成2年)と1954年(昭和29年)の曜日別比較(グラフ1)を見ると、曜日のばらつきのない54年に比べ、90年では1週間のうち土日、特に日曜日の出産数が極端に減っているのが分かります。

90年には病院・診療所での出産が大多数なのに比べ、54年は自宅分娩が普通だった状況を見ると(グラフ2)、医療施設で何らかの作為が行われているのは明らかです。土日や正月は休みたい、という医師の都合で、妊産婦は危険をともなう陣痛促進剤を打たれているのでしょうか。

さらに一日のうちの時間帯を見てみると(グラフ3)、午後1〜2時をピークとした、きれいな山型分布が見られます。お産の形は本来一人ひとり違うもので、病院の稼働時間帯に合わせて計られたように分布するということは考えられません。ここにも自然の摂理を無視した医療側の都合が浮き彫りになっています。

★お産こそ、女性の体が持つ自然のリズムを感じる絶好のチャンス

医療施設のお産の方が多くなったのは、昭和34年ごろからと言われます。その後の産科医療の進歩によって、新生児や周産期の死亡は格段に減り、お産のリスクが飛躍的に除去されたのは事実です。しかし医療のバックアップが保証される今だからこそ、今後は母親の側から、医療主体のお産ではない、本来のお産のあり方を見直すべきではないでしょうか。

出産は、現代生活の中で見失いがちな自然のリズム、自然への感性を、女性が自らの体に取り戻す絶好のチャンスでもあります。良い出産、本来の出産とはどんなものか。今の医療や社会に潜むさまざまな観点からお産を考えてみましょう。

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枯葉剤のまかれたベトナム並みに流産型治癒が今上日本に起こっている!?

受精卵のうち、赤ちゃんとして生まれてくるのは実に5人に1人だとか。
厳しい淘汰を生き残った胎児が、含環境化学物質に蝕まれているのです。

「お産」に向かう母親なら、生まれてくる子の「先天異常」の問題をだれもが考えます。あなたはどう受けとめますか?

サリドマイド薬害やベトナムの枯葉剤の影響に始まって、さまざまな胎児障害や異常の研究に取り組まれている木田盈四郎先生によると、先天異常は次の2つに分類されます。

ひとつは生殖細胞のDNAに起こる異常による場合。もうひとつは胎児の発育段階で、分 裂中の細胞にダメージを受けた場合です。

前者はダウン症に代表される染色体異常や遺伝病、後者は奇形を起こします。

ところで、精子と卵子が出会って受精し、細胞分裂を始める。そのうち、赤ちゃんとして生まれてくるのは、どのくらいの割合だと思いますか?

受精卵は着床前から妊娠初期までに、なんと74.2%が淘汰されます。出産に至るのは22.7%。自然淘汰のふるいによってこの世に生をうけるのは実に5人に1人なのです。「高い淘汰率は ヒトがいかに複雑な生物かということの現れです。厳しい淘汰の中を生きぬいたものだけが赤ちゃんとして生まれてきます。ダウン症児も、限りない力を持つ存在なのです」

この淘汰のふるいはまた、遺伝子の障害を残さないための、治癒のしくみでもあります。これを木田先生は“流産型治癒”と呼びます。

この流産型治癒が、1975年まで10年間にわたって米軍によって散布された、ベトナムの枯葉剤による影響の中に見られると、先生は指摘します(表3)。明らかに奇形が増えたというデータは出ていませんが、流産の増加は現地の実感として確かに存在し、標本として数多くの無身・無頭児、多胎児などが陳列されていたといいます。日本にも報道されたベトちゃんドクちゃんは氷山の一角なのです。

★カルシウムの破壊がベトちゃんドクちゃんを生んだ!?

受精卵が細胞分裂するとき、もしカルシウムがないとばらばらになってしまいますが、カルシウムが供給されたとき、再びくっついて分裂を進めます。ベトちゃんドクちゃんなど融合体双生児はこの働きによると考えられます。カルシウムは、細胞の接着因子(カドフェリン)に関与しています。枯葉剤に含まれるダイオキシンが、このカルシウムもしくは接着因子を働かなくすると考えられています。

「実は枯葉剤のまかれたベトナムでの妊娠・出産の異常と、日本の現状が酷似しているんです」

木田先生はこの実感から、私たちを取りまく大量の環境化学物質が、いかに生まれてくる子どもに影響を及ぼすか、警告を与えます。特に生産量から換算すると、日本人一人一日に40gもの量になる食品添加物に関しては、何よりも総量規制をすべきだといいます。
「生殖細胞でDNAの破壊が起こって出現するのが染色体異常ですが、同じことが他の分裂している細胞のDNAに起これば、ガンになります。つまり、これは胎児だけの問題ではないのです」

またサリドマイドのように薬物の影響もあります。特に胎芽期(器官のできる時)には重大な影響を及ぼします。

「ダウン症はほぼ千人に一人の割合で生まれますが、原因はよく分かっておらず、誰もが生む可能性があるんです。正常と異常というのは、単に大多数か少数かということでしかない。正常の中に一定頻度の先天異常を見込んだうえで、人類が成り立つという認識が必要です。ダウン症の親もそうでない親も、皆でその子の安全で豊かな生涯を考えてあげなければ」

精子と卵子が受精し、生まれるのは5人に1人。まさに「子どもは天からの授かりもの」です。命は、一つ一つが等しく貴いものだと思わずにいられません。

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ドキュメントインタビュー@ 
★ 「3人目もダウンちゃん。でもだからこそ産んだ」 (埼玉県・佐々木恵子さん)

佐々木恵子さんの二人の娘さんは、どちらも先天性染色体異常、いわゆるダウン症児です。長女の亜紀ちゃん(7歳)を抱え、次女の友紀ちゃん(1歳10カ月)がおなかにできた時、恵子さんは羊水検査を受けました。というのももう一人、4年前に生まれ、1歳にならないうちに亡くなった勝くんのことがあったからです。

勝くんは心臓をはじめ、体中に重い疾患を抱える、やはりダウン症児でした。生まれた直後から2カ月入院。退院してからも通院、薬漬けの毎日で、11カ月を迎えたある夜、眠る恵子さん夫妻の傍らで、静かに息をひきとりました。

羊水検査の結果は、またもダウン症。ダウン症児は遺伝病ではないので、その出現はまったくの偶然です。確率的にも非常に珍しいケースで、事実三人のダウン症児を生んだのは、日本初だそう。

「最初はダウンちゃんならおろすつもりでした。でも心臓の雑音はないし、おなかの中で指をしゃぶってると言われて、じゃあ大丈夫だと。亜紀を育てた自信で乗り切れると思ったんです。主人の母も、大変なときは手伝うから産みなさいよって」
とはいえそこに至るまでには壮絶な道がありました。亜紀ちゃんを検診に連れていくと、事情を知っていながら「おたくはまだ歩かないの?」と自分の子と比べるお母さん。公園で遊んでいると、「ああいう子と遊ぶと口がきけなくなるから、そばに行っちやだめよ」という母親。

「医学書見て下さい!うちの子にはダウン症って障害の名前がちゃんとついてるんですよ!」

何度恵子さんは声を荒げたことか。

「言いたい人には言わせとけと思ってどこでも連れていきました。母親でも子どもでも分かってくれる人はちゃんといる」

★小さなしぐさ一つ一つに喜びが

恵子さんは亜紀ちゃんが生まれた後、離婚しています。「俺の子じゃない」この言葉は決定的でした。今のご主人はそれは亜紀ちゃんを可愛がってくれます。友紀ちゃんの生まれる前にも、実は一度妊娠しました。でも勝くんを亡くした辛さに、双方の親が大反対。そのときは断念したのです。4カ月に入っていたため誘発剤を使いましたが、一週間たっても出てこなかったそうです。病院からご主人に電話し、まだなのよと泣きながら伝える毎日。最後はトイレに落ちました。

「それでも友紀は喜ばれて生まれてきたんですよ。ダウンちゃんと分かって、それでも心臓が大丈夫ならぜひ産んでくれって。孫がひとり増えるんだからって」

皆に愛され、望まれて生まれてきた友紀ちゃん。今、恵子さんは友紀ちゃんにつきっきりで愛情を注ぎ、ご主人もヤキモチを妬くほどなのだそうです。

「大変でしょうってまわりの人は言うけれど、私はちっとも大変じゃない。今やってあげられることをやっておかないと、後で後悔することになるでしょ。

この子たちといると、普通なら気にとめないちょっとしたしぐさ一つ一つに、しゃべった、立ったって、感動して涙ぐんじゃう。私は毎日カイロを抱いてるように、とてもあったかいんです」

★障害児の否定につながる? 羊水検査の是非論

羊水検査は、妊娠6週ごろに羊水をとって胎児の診断を行う方法で、先天性疾患の早期発見に使われます。菅を刺すリスクや倫理的な問題が指摘されますが、木田先生は、薬やレントゲンの不安から行われる人為淘汰を少しでも減らし、できる限り安心して産んでもらうための利用法を考えるべきだと提言しています。あなたはどう考えますか。

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女性の智恵の結晶である自然なお産、命の営みを取り戻そう

お産はもともと病気ではなく、生理現象のひとつ。何も異常がなければ助産婦のもと、赤ちゃんの生まれる時を待つ素晴らしいお産が訪れます。

「だめ、助けて!」「痛いよ、お母さん!!」。出産にはつきもののこんな叫び声。でも本当に自然なお産なら、いきまず騒がず、呼吸法で楽にできることをご存じですか。

「自然なお産といっても、昔のままなのではありません。助産婦とのコミュニケーションのもとで、自分で産むという心構えでのぞむ、主体的なお産なのです」

とおっしゃるのは、八王子・広瀬助産院の広瀬綾子さん。現在東京の開業助産婦は450人、入院設備のある助産院を持つのはわずか30人です。その一人である広瀬さんは、病院の管理出産でなく自然な良いお産をと、情熱を傾けています。

今回広瀬助産院で、吉美佳代子さんの第2子出産に立ち会わせていただきました。分娩室に入ってからも、終始呼吸法を続け、堂々と落ち着いて、決して乱れることなく無事出産。まるで赤ちゃん自身がぶるぶると体を震わせながら、静かな母体から自力ではい出してきたかのよう。それは聖なる命の営みに大自然の摂理を見るかのような、張りつめた瞬間でした。

沐浴させた赤ちゃんは、すぐにお乳を吸わせて、終始母親から離しません。
「生まれてすぐ乳を吸わせると、その刺激がお母さんの脳に行って母乳が良く出るし、同時に子宮収縮ホルモンが分泌されて、体も早く元に戻るのよ」

広瀬さんはそのつど佳代子さんに説明します。さらに、赤ちゃんの誕生を長女の友香ちゃんにどう伝えるか、ていねいなアドバイスもしてくれます。

「無理なお産をしないから、産後の経過がとてもいいんです。次の日から自分ですわってお乳あげたり、おむつをかえたりできる。母子同室だから赤ちゃんがほしがれば与えて、授乳も3日で自然に上手になる。この最初の3日間が本当に大切なんですよ」

★黒土の間から、春、植物が顔を出すように

自然なお産のためには、妊婦体操・呼吸法・リラックス法など妊娠中の訓練が必要です。広瀬さんは、妊婦さんとその家族に分娩の経過を一通り説明します。

子宮口の開き方、赤ちゃんの位置などとともに、そのとき家族がしてあげるべきことも教えられ、お母さんはすべてを把握し、安心して出産にのぞめるのです。

広瀬さんはまた、ラマーズ法はもちろん後述するイメジェリー、ソフロロジー、アクティブ・バースなど、欧米の最新出産法のいい部分を積極的にとり入れています。病院の出産では普通になっている会陰切開も、ここでは必要ありません。

「呼吸法をしながら徐々に進めていくと、自然にのびるんですよ。薄明かりで見ると、黒土の間から春、植物がもこもこと出てくるように、赤ちゃんの頭が出てくるんです。自然なんだなあと思いました」

出産で私たちが心配なのは、万が一の異常事態。医療設備のない助産院では、だからこそ何よりも未然に異常を発見して対処することを最優先条件とし、緊急時の提携病院もきちんと確保しています。

広瀬さんは電話で相談してきた妊婦の胎盤早期剥離を読み取り、あわやのところで助けた経験があります。その時点でも病院の検査では、内出血が認められず発見まで至りませんでした。病院にかかっているからといって出産の異常が早期発見できるとは限らないのです。

赤ちゃんは、そのときが来て出てくるのだと、広瀬さんは言います。本当に自然な姿は、「待ちのお産」なのだと。そしてそれを頑張って乗り越えてこそ、親になれるのだと。家族とともに、温かな愛情に包まれて新しい生命をむかえる。その「心のお産」が、ここにはあるのです。

「21世紀を背負うのは、今生まれてくる子どもたち。その子にお産から始まる母の一生の生きざまを見せていけるように、母親にはしっかりしてもらいたいですね」

★赤ちゃんには生まれてくるときがある お産は女性の体が持つ智恵の結晶

昭和7年以来、取り上げた赤ちゃんは1万人以上。まさに昭和の助産の歴史そのものを生きてきた永澤寿美さんは、積年の経験から、逆子をおなかの上から触れることで直してしまいます。

「見ただけで逆子かどうかが分かるのよ。正常なおなかはすいかをボンと2つに割った形をしてるけど、逆子は頭のある上側が高くて、卵を逆にした形をしてるの。
流産しそうな人も分かる。妊娠を続けていこうかな、それとも出ちゃおうかなという感じのおなかって、あるのよ」

妊娠すると黄体ホルモンが盛んに分泌されますが、この分泌が悪いと早くから収縮が来てしまいます。そういう人にはビタミンEをとって安静にするよう指導し、流産を何件も未然に防いできました。

逆子予防のための指導も実に細やか。階段の上り下りが浮遊する赤ちゃんの頭を移動させてしまうため、押さえて静かに上がること。小魚などでカルシウムをとり、頭をがっちりさせてくるくる回らないようにすること。胎動を自覚したら腹帯を締めること。赤ちゃんの背中側を下にして寝ること――。

「昔は、荒川放水路に家の人が見に行って、上げ潮だからもうすぐ出るぞとか、引き潮だから手間とるぞなんて教えてくれた。実際そうなのよ。明け方白々してきたころのお産が多かったしね」

永澤さんには、赤ちゃんの出てくるときが分かります。回旋しながらおりてくる赤ちゃんが子宮口に来た時、頭蓋骨の糸状縫合の線が、母親の恥骨を項点とする縦の線にぴったり重なれば、その時必ず出てくるというのです。なんと神秘的な合致でしょう。出産とは、女性の体が本来持っている知恵の結晶なのです。

★病院では普通に行われる会陰切開だけ

会陰切開は膣口を広げるため、会陰部の皮膚と筋肉に、多くは斜めに、2センチほど切込みを入れるもので、多くの病院であたり前のように行われています。裂傷すると治りにくいからといわれますが、呼吸法で無理なく分娩が進行すれば、会陰は自然に伸びます。異常のない限り、切開は必要ないのです。

『ナチュラル・メディスン』の著者で米医学博士のアンドルー・ワイル氏は、呼吸法が妊婦の自律神経に働きかけ、子宮の収縮をコントロールしたり、エンドルフィン(脳内麻薬物質)を多く分泌させるので大変有効だ、といっています。

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胎内で、聞いて触って感じている 胎児は自分の誕生を記憶している!?

分娩室の機具やライトや白衣が、これほど赤ちゃんに恐怖を与えるとは。胎児の発達を探り、本当の胎教を知ることがいいお産にもつながります。

分娩時の胎内で赤ちゃんは「すごい力で押し出される」「大津波に巻き込まれた」と感じ、生まれた直後の病室の様子を「広すぎて不安」「こわい」「ライトがまぶしい」と受け止め、新生児室では「お母さんに会いたい」「ひとりばっち」「見捨てられたよう」と孤独感を味わっている――。

こんな記憶を子どもたちが持っていたという驚くべき事実が『誕生を記憶する子どもたち』という本をきっかけに、続続と明らかにされています。空想話で片づけられない実際との符合も多く、無視できない事態になっているのです。

京都大学名誉教授の大島清先生は「胎児は記憶していますよ」と言います。ユーモレスクが好きで、妊娠中ずっと聴いていた母親から生まれた子どもが、4歳で初めて知ったユーモレスクをバイオリンで一気に弾いたという実例もあるとか。「サルの脳では、記憶に関係する海馬という領域が、胎児のときにほぼ完壁な形で構築されています。人間の胎児が記憶していても不思議ではないのです」

★胎教とは天才教育ではなく、お産や地球環境を考えること

胎児は266日の間に、進化の系統発生を繰り広げます。腎臓が働き始めると一日500ccの羊水を飲み、栄養を吸収した後おしっことして出しています。

「生まれてからも、はいはい、つまり四足歩行、チンパンジーのつかまり立ちを経て、ようやく一年で二足歩行に達します。それは子宮外胎児といってもよく、お産はこの子宮内胎児と子宮外胎児をつなぐ、大事な“かけ橋”なのです。だからこそ自然な形でなければ」

母親に近づいた出産を告げるおしるし(出血)が来るのは、実は赤ちゃんの出すDHASというホルモンが母親の卵胞ホルモン、エストリオールを増やし、それが子宮の出口である子宮頸管を柔らかくするからなのです。つまり、赤ちゃん自身が生まれる日を決めているわけです。

「その後、脳下垂体から子宮収縮ホルモンであるオキシトシンが分泌されて陣痛が起こります。その人に必要な量が自然に出ますが、陣痛促進剤はその個人差を無視しているため、事故が起こるんです」

また分娩台であおむけに固定されると、背骨に隣接する血管がおなかで圧迫されるため、胎児にも母体にも危険です。血圧、心音が下がって、必要のない帝王切開をすることになるのです。

大島先生によると、妊婦には普通の女性の2倍量のβ−エンドルフィン(脳内麻薬物質)が出ているそうです。妊娠中のストレスを和らげるための、体に備わった自然の計らいなのです。

このβ−エンドルフィンは赤ちゃんにも出ますが、お産の過程で、その量は母子に平行して増えるのだそうです。母親が産みの苦しみを感じる時、赤ちゃんも同じ苦痛を分け合っているのでしょうか。

「これら子宮内・子宮外胎児の発達の様相をよく知って、バランスのとれた刺激を与え、脳の感受性を最大限に伸ばしてやること。これこそが胎教です。そのためにお母さん自身が本物をさわり、本物を食べ、本物を嗅ぐ。そして子どもにもそれを体験させる。すなわち胎教は、自然や命、環境を考えることであり、お産そのものを見つめていくことなのです」

おおしま・きよし 
昭和2年広島生まれ。東大医学部卒後、同大学産婦人科に入局。ワシントン大学助教授、
京都大学霊長類研究所教授を経て、現在、愛知工業大学教授・京都大学名誉教授。現在、
愛知工業大学教授・京都大学名誉教授。著書に『胎児教育』『人間の生と性』等。

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ドキュメントインタビューA 

★ 「僕がママのおなかの中にいたときに、ママの声が聞こえたよ。」


秋川リサさん 
あきかわ・りさ 東京生まれ。15歳でモデル・デビューの後、女優として活躍。聖也くん(6歳)と麻里也ちゃん(5歳)を自宅自然分娩で出産。著書に『私のラマーズ法出産と育児ノート』等。

それはリサさんの長男、聖也くん(現在6歳)が、ようやく文章で話すようになった、2歳前後ごろのこと。妊娠中からたびたび通っていた鍼治療の先生のもとへ、聖也くんを連れて出かけました。

生まれてまもなく連れてきているこの治療院が、聖也くんにはずいぶんと親しみを感じる場所だったのでしょうか。窓から外を眺めながら話をしていると、

「僕がママのおなかの中にいたときにね」といい出したと言うのです。

「どうだったの?と聞くと『ママがよくしゃべってた』と言う。いろんなもの見えた?と聞いたら『くらかった』と。

聖也くんは、リサさんのおなかの中で、音を聞き、その暗さを感じていたのです。

「ママのおなかの中」の話が出たのはその1回だけ。今は何も覚えていません。

「真実は分かりません。でも赤ちゃんが父や母の顔を覚えたり言葉を覚えていくことを思うと、記憶することがこの世に出て突然現れた能力とは思えないんです」

「高齢だから帝王切開にしよう」

聖也くんの誕生は1986年。極力自然に近い形で産みたいと考えていたリサさんは、ラマーズ法を学んだ助産婦の助けを借り、自宅分娩を果たしました。

「最初に行ったお医者様に、いきなり処理しますか、産みますか、つて言われて。これが自然分娩を考えるきっかけでした」

次に行った病院では、高齢だから帝王切開がいいね、と。自宅で自然分娩は無理だろうか、とおそるおそる切り出すと、「三日三晩苦しむ勇気があるならどうぞ」

「お医者様も大変でしょうけど、産婦人科というのはずいぶん喜びの多い分野だと思うんです。できれば、何も手出しをしないですんだお産を喜ばしく思ってくれる先生であってほしいですね」

母はその力の限りで産み、子もその力の限りで産道をくぐり抜ける。この最初の共同作業をやりとげたことが、子育ての大きな自信につながっていると、リサさんは感じています。そしてそれは子どもの人生に対しても、ストレスに立ち向かう力を与えてくれるに違いありません。

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誕生時の子どもの記憶は、人生観を大きく左右する

衝撃を伝えた『誕生を記憶する子どもたち』(春秋社)続編として今年12月に出版された日本版『誕生の記憶』(春秋社、1800円)の編集にあたった、岡野守也さんにお話を伺いました。

岡野さんは、西洋の心理学と東洋の宗教を統したトランスパ一ソナル心理学を、日本に導入した功績者でもあります。

『誕生を〜』の著者、D・チェンバレンは、催眠療法で引き出された誕生時記憶を扱っ                                            
ていますが、トランスパーソナルの心理療法でもしばしば起こるのだそうです。
「ホロトロピック・セラピーという、ある種の呼吸法を戦った療法の中で、再誕生が体験され、それによって心理的外傷が癒されることが多くあります。人が人生を肯定的にとらえ、生きることはいいことだと感じるかどうかは、理屈ではなく非常に深い部粉での感覚です。そのベースが、母親の胎内で、あるいは出産時に受けるメッセージにあることが、読み取れるんです」

土の本に対し母親や助産婦・看護婦からは肯定的な反響がありましたが、日本の医師や学者は憤重な態度で静観、なのだそう。

「ただこれによって母親が自分の出産体験を不安に思ったり、競争的才能教育が助長されることだけはあってほしくないですね」

さて、この動きを受けて、幼児開発研究(理事長:井深大氏)の母親研究会によって調査された記録から、誕生時記憶を持つ子どもたちの例をここに抜粋してみます。

(資料提供:幼児開発協会:二村元夫理事)

★東京都港区 R・N 30歳/2歳1カ月

おなかの中のことは、指をしゃぶっていたと態度で示す。「キックした」と言い、また手で叩いた格好も。「見えない」と言う。
出産時に関しては「さむい」「びちょびちょ」「あっちち(熱い)入った」と風呂を指さし、「おっぱい」と右のおっぱいをさわる。彼の言っている通り、産湯につかつてから右側のおっぱいをすぐに飲んでいた。

★兵庫県宝塚市 Y・I 30歳/2歳


(帝王切開で骨盤にはまった頭を引っぱり出した)誕生時の記憶を聞くと、ちょっと上の方を見つめる目になってから「もうイヤ、もうイヤ」と言った。1歳10カ月くらいのとき、何となく「きゆちゃん(胎児のときのニックネーム)」と呼んでみたら「きゆちゃん、ハーイ!きゆちゃんハーイ!」と言った。おなかの中にいたころ、同ように「きゆちゃん、ハーイ」とおなかに呼びかけて、自分で返事をしていた。生まれてから言ったことはほとんどない。

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今、これだけの種類の出産が用意されている
管理されるのではなく、自分で選びとるお産へ―――

きくち・さかえ 
昭和31年東京生まれ。マタニティー・コーディネーター。フリーのライター&写真家でもある。55年と59年に東京・三森助産院で出産。著書に『お産がゆく−少産時代のこだわりマタニティ』(農文協)共、訳書に『アクティブ・バース』(現代書館)など。

できれば経膣分娩(産道を通って膣から生む)で会陰切開もせず産みたいと、誰もが思います。しかし以前紹介した吉美さんのように楽で自然なお産を、すべての人が経験できるとは限りません。

★女たちの井戸端会議の中で、お産の知恵が受け継がれていた

まず異常があれば、医療に頼る必要があります。またマタニティー・コーディネーターとして出産指導クラスを主宰する、きくちさかえさんは、現代に生きる女性が、何の教育もなしに自然なお産を乗り切るのは難しい、と言います。

「お産は自然なことだから、何も知らなくても産めるわ、と思っている人もいます。でも、今のお産は産科医療主体に行われていますから、病院の中で自然に産むこと自体難しくなっているんです」

昔は、お産について井戸端で語り合う女性たちの話などから、赤ちゃんが生まれて育つことを知恵として知っていました。そんな体験的情報の得られない現代では、自分で学ぶ必要があるのです。

★今、お産は選べる時代。 満足の行くかたちを求めて

体とのつき合い方を知るためには、ヨガや気功などの訓練を積んでおけば、いざお産になって自分の体に変化が起こっても、不安にならず、痛みも受け入れることができる、ときくちさんは言います。

「医療施設の方もどんどん変わっていて、アメニティにも気を配り、人間性や心の部分にスポットを当てようという潮流があります。分娩・陣痛・回復期を同じ個室で過ごせるLDRシステム(左ページ参照)や、ホテルのような入院室など、アメリカ式の最新医療設計をとり入れた病院も少しずつ出てきました」

きくちさんの著書『お産がゆく』には、そんなさまざまな現代の出産形態が紹介されています。中には愛知県・岡崎市にある吉村医院のように、茅葺き屋根の農家を移築し、そこで薪割りや井戸の水くみ、かまどでの煮炊きなどをすることで、妊婦に本能を呼びさまさせる指導をしているという、ユニークな病院もあります。ここの帝王切開率は、なんと0.84%(通常平均で10%程度)なのだそうです。

今、お産は選べる時代なのです。

「そこで重要なのは、産む側の意識です。自分の満足のいくお産を、その人がどこまで求めるかなんです」

きくちさんの本の発売と同時に連絡してきた2人の女性は、偶然にも麻酔分娩を望む人たちでした。お産に対する恐怖心が強く、自分の力で本当に出産できるのか不安になって、せっば詰まった状態で救いを求めてきたと言います。

「何らかの理由でお産を否定的にしかとらえられない女性たちも中にはいます。もちろん赤ちゃんにとって、麻酔や陣痛促進剤などの薬剤は危険です。でも麻酔を使うなんてと非難され、大きな不安を抱えている妊婦さんには、それを取り除いてあげることが何より大切なんです」

★お産をどう考えるかは女性の生きる姿勢そのもの

欧米には、そういった妊産婦のカウンセリングとともに、積極的なバース・プランを指導するバース・エデュケーターがいます。日本にはその資格制度がありませんが、きくちさん自身がそれに近い存在です。また日本の水中出産第一号であるバース・コーディネーターの高田恵美さんは、水中出産を中心に出産クラスや立ち会いを行っています。

きくちさんは産む側の意識として、もう一つ重要な点を指摘します。それはお産が自然なことである以上何が起こるか分からないということ。それを認識した上で出産にのぞめるかということです。

「そこまで妊娠中に夫と二人で考えておいた方が、私はいいと思います。マタニティ雑誌などでは妊娠・育児がバラ色のイメージで語られていますが、出産はある意味で死と隣り合わせ。海外のクラスでは死について話し合いもしています」

細かい自分の要望を医師や助産婦に伝えるために、先述したバース・プランという方法があります。欧米ではかなり以前から取られている方法で、たとえば陣痛時をどのように過ごしたいか、会陰切閲はしてほしくないのかしてもかまわないのか、初乳はどうするかなど、出産のプロセスにしたがって具体的に書き出すのです。これを使えば短い検診時間の中でも、自分の意志を伝え、医師の対応を確認することができます。

「こうして考えると、お産にはその女性の生きる姿勢そのものが現れてきます。よく嫁ぎ先で代々お産をする病院が決まっていて、自分の意志では変えられないという話を聞きますが、出産体制に納得がいかない場合、その因習をけとばせるかどうかというのは、まさに生き方そのものではないでしょうか」

お産を考えることは、命の貴さを知ることであり、地球環境を考えることでもあり、さらに自身の生き方そのものを見つめることでもある。この深遠で壮大なドラマを、もう決して医療の管理下に置いておくわけにはいかないのです。

★フリースタイルのお産はあおむけよりもラク?

東京・杉並にある黄助産院の杉山富士子さんは、4年ほど前からフリースタイルのお産をとり入れています。フリースタイルはあおむけに比べ、分娩時間が短縮することが、杉山さんの左の集計から読み取れます。

胎盤への血流量が悪くなる危険のあるあおむけに比べ、ご主人に支えられた坐位や立位のお産は、自分で産むというエネルギーが沸くと産婦は実感するそうです。また会陰裂傷や出血の心配もほとんどありません。

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あなたはどんなお産を選びますか

★イメジェリー(イメージ出産法)

心の中にイメージを思い描くことで、出産を順調に進めるテクニックです。波の音や潮風など海のイメージを浮かべることで、リラックスしたり、花が開くイメージを描くことで、子宮口が開くのを助けることができます。妊娠中にトレーニングしておきます。出産だけでなく、妊娠や育児をも含め肯定的にとらえていく方法です。参考:『お産のイメジェリー』(メディカ出版)

★アクティブ・バース

分娩第一期(陣痛期)を、しゃがんだり、立ったり、歩いたりなど産婦の好きな姿勢で過ごします。出産は重力の力を借りてスムーズに進むよう、スクワッティング(和式トイレのしゃがみの姿勢)や坐産などで。妊娠中からヨガをベースにした体操や呼吸法などを身につけ、体に起こることに耳を澄ます訓練をしておきます。参考:『アクティブ・バース』(現代書館)

★水中出産

フランス人ミッシェル・オタン医師が世界に広めた出産法で、体温よりやや高い程度の温水を、おもに和痛や心身のリラックスに使います。水中で赤ちゃんを産んでも、外で産んでも自由。自らの内からのエモーションにまかせます。水中出産用プールを備えた助産院・診療所は全国に7〜8件。
神奈川県海老名市の片桐助産院には、水中出産用の分娩室が設けられています。また本文で紹介した高田恵美さんは水中出産のコーディネートを行います(054−257−9892)。

★ソフロロジー

フランスで起こった、ヨガや禅をベースにしたリラックス法。呼吸法や瞑想で心と身体を整え、精神の安定と調和をはかります。自分に起こることをあるがままに受け入れる準備をして、お産が始まると座禅のようなスタイルで複式呼吸。眠りに入る間際(ソフロリミナル)の意識で出産します。

★LDR

陣痛(Labor)、分娩(Delivery)、回復(Recovery)の3つの時期を一部屋で過ごせる画期的なシステム。ソファやテレビ、シャワールームなどを備えたゆったりとくつろげる空間に、医療器械や器具が隠れて配置されてます。東京・聖路加国際病院、岡山・三宅病院など。熊本・福田病院は、フランス料理のフルコースでも有名。

★ラマーズ法

日本では呼吸法や夫の立ち会いのみがクローズアップされましたが、本来妊娠中に出産に関する知識を身につけ、心身ともに出産に備えて、自分で産むという前向きな姿勢を持つことを基本とする出産法。呼吸法や妊娠体操でリラックスを得る訓練をします。施設により会陰切開をするところも.。

★その他

「歌うお産」自分の好きな歌を歌いながらするお産。歌うことは呼吸法と同じ効果を持つそうです。「超自然出産」フランス人医師ルボウイエが提言。環境を整えるため、部屋を暗くして音を立てない工夫をします。その他「気功法出産」など。

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