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7. 子どもの体が警告して
   いる



子どもの身体が警告している
お母さん気づいていますか

構成・文/原プロジェクト

子どもたちの身体がなんだか変だと言われだしたのは、1960年代後半のことだと思います。いわゆる高度経済成長のひずみが、感受性の強い子どもの身体に端的に反映されたのです。肥満、ぜんそく、成人病などに苦しめられる子どもたちの姿は、大きな社会問題となりました。ところが、それから30年たった現在、子どもたちをめぐる環境は、一向に改善されていません。むしろ、アトピーなどのアレルギーで悩む子ども、視覚や味覚の異常を訴える子どもは、激増しています。こうした子どもたちの身体の異変は、何を意味しているのでしょうか。

★食品添加物や残留農薬は胎児の身体にまでも届く

私たちの身の回りには、人間が新しく作り出した化学物質が数多く存在しています

。その数は、数万種類に及ぶともいわれています。そして、それらの化学物質は、食品添加物や残留農薬、大気中の浮遊物として、私たちの身体のなかに入り込んで来ます。食品添加物だけをとってみても、国民一人あたり、一日約15~20gも摂取していると考えられています。ですから、化学物質全体では、どのくらい取り込んでいるのか…。とても恐ろしい気がします。なにしろ、これらの化学物質のなかには、発ガン性、催奇形性のあるものがたくさん含まれているのです。

 これらの有害な物質は、胎盤を通しておなかの赤ちゃんにも届きます。ところが、胎児の内臓はまだしっかりと出来上がっていないので、その機能も弱く、有害な物質を排泄したり解毒したりすることができないのです。となると、おなかの赤ちゃんは、それらの物質をただ蓄積していくだけになってしまいます。

 その結果として、死産や流産が増加することは想像に難くありません。そして、先天異常の赤ちゃんも増えるのではないかという不安もあります。

 「最近は、よく先天異常の子どもが増加しているのではないかという質問を受けます。正確なデータがないので増減そのものについて安易に言うことはできませんが、それほど変化しているとは思えません。ヒトというのはほかの動物と比較して、胎児死亡の割合が極めて多く、これは流産型治癒とも呼ばれ、DNAの損傷を子孫に残さないための仕掛けなんです。ヒトの自然淘汰率は77%ほどといわれていますが、今日の環境汚染物質の影響によって、その淘汰率の増加は考えられます。しかし、先天異常の出産率は数%(国連報告
で62年が4・5%、72年が5・6%)で、大きな変化はありません。これが崩れるとなると、人類の存亡の危機になるかもしれません」と、無意味な不安に陥って、パニックになるのは良くないことだと語るのは、帝不大学医学部の臨床奇形学の専門家木田盈四郎教授。

 そして木田教授は、「だからといって、現在野放し状態となっている、発ガン性や染色体異常を引き起こす食品添加物・環境化学物質を、そのままにしていいということではありません。現在の生活では、ガンやぼけで″緩慢な自殺″をしつつ、″子孫に渡す遺伝子に傷をつけている〟わけですから」とも言います。
その危険は、おなかの赤ちゃんにもあるわけです。

★おなかの赤ちゃんには毒物が蓄積しやすい

最近死産や流産の増加が指摘されています。母体によって守られているはずの赤ちゃんにも異常が起きているのです。それは、胎盤を通して数多くの汚染物質が赤ちゃんに届いてしまうからです。そして、赤ちゃんは、それをうまく排出できないのです。

木田盈四郎
きだ・みつしろう 帝京大学医学部教授。
同大付属病院の小児科の臨床医としても多くの子どもたちと関わっている。
サリドマイド裁判の原告側証人としても活躍した。「先天異常の医学」(中公新書)など著書多数。

人間も生物である以上、必ず先天異常の子どもが生まれます。従って、だれもが先天異常の子どもの親になる可能性があります。そしてその異常が、多くの子どもたちの生命を奪っています。今日、医学の進歩によって、多くの病気が制圧されましたが、残念ながら、まだまだ先天異常の赤ちゃんを十分に救うまでにはなっていません。またガンも、子どもにとっても怖い病気です。これらの統計の意味するところを真剣に考えたいものです。

★アレルギーはすべての子どもの悲鳴

かつてアレルギーの子どもは、特異体質ともいわれ、極めて珍しいケースでした。ところが、現在では、アトピーだけをとっても30%の子どもが羅患しており、決して珍しいことではなくなりました。カサカサ肌などのちょっとした異常を含めると、実に80%の子どもが皮膚の異常を訴えているといいます。
もはや、健康な子どもは存在しないのでしょうか。

★次々と広がるアレルギー 素質でなく、環境が原因

アレルギーという言葉は、かなり一般的になりましたが、本来はギリシャ語からきたもので、異なる反応という意味です。私たちの身体は、一度病気にかかると、次からはその病原菌に対して、最初とは異なる反応をします。よく免疫ができたとかいいますが、こういう反応もアレルギーです。しかし今日では、身体にとって有利な反応のほうは免疫と呼び、身体にとって不利(障害をもたらす)な反応をアレルギーと呼んでいます。

 ですから、アレルギー反応というのは、昔からありました。でもこれほどの人が、アレルギーで悩まされることはありませんでした。アレルギーの子どもたちの診察にあたる小児科医の真弓定夫先生は、「気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患は、昭和30年代以降の高度経済成長とともに、増加傾向を示してきました。例えば、ぜんそくなど、私が医者になりたての昭和30年頃には、その頻度は、0・1%ぐらいといわれていました。それが昭和40年頃には、小学生で1・18%、中学生で0・5%。それが現在では、人口の2~3%の人が悩まされているといいます。アレルギーは、身体の素質によるものといわれてきましたが、こんなに急激な増加を素質に換言してしまうのは、医学的には考えにくい。今起きているアレルギーは個人の素質ではなく、環境が原因といっていいと思います」と分析します。

★工業製品化された食品がアレルギーの原因物質

昔の子どもでも、卵を食べるとじん麻疹が出るというようなことはありました。でもそれは本当に珍しいことでした。ところが、現在では、非常に多くの子どもが食物アレルギーで悩んでいます。

 食物というのは、人間の生命にとって欠くことができないものなのに、それによってアレルギー疾患が起きてしまうのは、不思議なことです。食物アレルギーを数多く起こす食物としては、よく牛乳、卵、大豆が挙げられています。私たちの食文化のなかで、牛乳や卵を一般的に食べるようになったのは比較的新しいことですが、大豆はかなり昔から味噌やしょうゆとして身体に取り入れてきました。そういう伝統があるのに、大豆でアレルギー反応が出てしまうのは納得がいきません。

「かつては、食べ物というのは、ある意味では自然の恵みだったのです。ところが、昭和30年代から食べ物は、商品となり、まるで工業製品のように作られ始めたのです。インスタントラーメンに代表される加工食品の登場です。そして、農業も同様に、大量の化学肥料と農薬によって変わってしまったのです。ですから、昔の大豆と現在の大豆は違うのです。ましてやポストハーベスト(収穫後、混入される農薬や化学物質)漬けの輸入大豆も大量に使われています。そう考えると、現在のすべての食べ物でアレルギーが起きてもおかしくないのです」と真弓先生が説明してくれました。

 食物を商品として流通させるための化学物質の乱用によって、今多くの子どもたちが悲鳴を上げているのです。

★アレルギーの代名詞奇妙な病気「アトピー」

一口にアレルギーといっても前頁にみるように非常に多様な疾患があります。そのなかでも、特にアトピー性皮膚炎の急増が問題となっています。『アトピー』とは『奇妙な、不思議な』という意味で、最初は、ぜんそく、アレルギー性鼻炎、結膜炎、花粉症などになりやすい遺伝傾向の強いアレルギー体質を呼びました。もちろん現在でも同様に使われていますが、一般的には、アトピー性皮膚炎を指す場合が多いようです。このアトピーですが、実に30%以上の子どもが経験しています。その特徴は、なんといっても″かゆみ″で、夜眠れない子どももいるくらいです。ぜんそくの発作なども苦しいものですが、″かゆみ〟かなりつらいものです。そして、以前は思春期には治るといわれていましたが、最近では、成人になっても治らず、″顔の湿疹がひどく、外に出られない″というような悩みを持つ女性もいます。 

「アトピーは、最近では成人になってから出る人もいて、まさに奇妙な疾患となっています。難治性のものも増加しています。原因物質としては、食品以外にも、大気中の化学物質、ダニ、ハウスダスト、ペット等がよく挙げられます。特に、今日の住宅は冷暖房も完壁で、ダニが繁殖しやすい条件になっています。もちろんダニだって昔からいて、人間と共存していたのですが、現在の快適な環境は共存のバランスを崩してしまったのです。ですから、食品だけでなく衣食住すべての環境を再占検しないといけないのではないでしょうか」と真弓先生。

 私たちの快適な生活によって、いまアトピーの子どもたちが悲鳴を上げています。

★主なアレルギー疾患

   ぜんそく

軽症から重症まで合わせると、ほとんどの子どもにみられる疾患で、せきの発作により、呼吸困難に陥ることもある。思春期までには大半の子どもが治癒するが、最近では、治りにくい子どもも増えている。特にほかのアレルギー疾患を合併していたりするケースでは難治性になりやすいといわれる。原因物質については、食物、空気中の化学物質など多様

   じん麻疹

かゆみを伴って急にできる皮膚の湿疹。その湿疹の特徴は、境界がはっきりしていて、表面が平らな隆起となっている。数分から数時間で消えるものや1カ月以上に渡って繰り返しみられる場合もある。原因物質としては、魚頬がよく知られるが、着色料や保存料などの食品添加物、薬品などによる発病も多い。

   アレルギー性結膜炎

ほかのアレルギーとの合併が多い疾患で、充血やかゆみ、涙が止まらないなどの症状が出る。特に、角膜までに病変合併が及ぶと、痛みやかゆみのために、眼をこすってしまい、悪化させるケースが多いとされる。原因物質としては、花粉、ハウスダスト、カビ、卵などの食物と、幅広い。

   アトピー性皮膚炎

急増している皮膚疾患。その症状も多様で典型的なものを挙げるのが難しいが、乳児などでは、比較的更頁や顔にみられるケースが多い。ただし、かゆみは相当強く、下着などに血がつくほどかいてしまったり、夜眠れなかったりする。なぜこれらの症状が起きるのか、今のところはっきりしたことは解明されていない。かつては子ども特有の病気(思春期には治る)とされていたが、最近では、成人になっても治らないケース、また成人になって発病するケースも起きている。原因物質も食物、ダニ、化学物質と非常に多い。

   昆虫アレルギー

ある昆虫に接触や刺されたりして、ぜんそくや皮膚炎などを起こし、ひどい場合は、死に至ることもある。特に、蜂によるものはアナ7イラキシー・ショックを起こす場合があり有名になっている。アレルギーを起こす昆虫としては、蚊、ゴキブリ、蝶、蛾などがあり、アトピー性疾患のある人は重圧になりやすいとされる。

   アナフイラキシー・ショック

薬、食物などが体内に入って、30分以内に紅潮、発汗、じん麻疹、嘔吐などの症状力軌頻脈、血圧低下なども引き起こし、死亡することもあるアレルギー症状。特に、食物のなかでも、そl£薬のなかではペニシリンやアスピリン、麻酔薬などが、ショックを起こしやすい物質として有名。もちろん、このアナフィラキシー・ショックの頻度は非常に少ないが、死亡するケースは珍しくないので注意が必要。

   アレルギー性緊張・弛緩症候群

ATFSと呼ばれるこのアレルギー症状は、じっとしていられなかったり、精神的にリラックスできずにイライラしたりといった緊張状態。また、いつもだるい、眠いといった弛緩状態が症状として現れる。これらは、子どもの素質などと関係するため、判定が難しいが、多くの場合、ほかのアレルギー性の疾患を伴うことが特徴とされる、牛乳や卵、花粉、食品添加物などが、その原因物質として挙げられている。

   その他

これら以外にもアレルギー疾患はたくさんある。過敏性の内臓疾患、アレルギー性耳下腺炎、接触性皮膚炎などが一綬的にも知られている。言い換えれは人間の身体中どこにでもアレルギー疾患は出現するのである。

初めて行われた厚生省の調査では、実に31.2%もの子ども(3歳児)が医師から『アトピーノ性皮膚炎』と言われたことがあると答えています。最近では、成人になって発病する人もいるので、アトピー患者(既往歴)は今後、もっと多くなりそうです。それでも、この数字は異常事態だと思われます。
『平成4年度 アトピー性疾患実態調査報告書』厚生省児童家庭局母子衛生課編集より

日本体育大学学校体育研究室 
日本体育大学の正木健雄教授らの行った教育機関への調査でも、子どもの身の異変については高校までアレルギーがトップ。深刻さを物語っています。また、『皮膚がカサカサ』や『すぐ「疲れた」という』というのも、アレルギーによる影響ではないかという見方もあります。

真弓定夫
まゆみ・さだお 小児科医。薬を使わない医師として有名。
多くのアレルギーの子どもたちを診察し、適切な指導で治している。
『子どもは病気を食べている』(家の光協会)など著書多数。

★感覚、筋肉、骨までもマヒした子どもたち

子どもたちは肥満、成人病、アレルギーといった異変に加えて、感覚もおかしくなっていまも真っすぐに立てない子ども、味覚のおかしい子ども、視覚意常、食欲を失った子どもなども増えているといわれていますもそれは、現代の子どもの生活のリズムがおかしくなっているからです。

このように身体がゆがんでいる子どもは意外に多く、身体のどこかに異常を生みます。

★快適で便利な生活が健全な発育を阻害する

 最近の子どもは外で遊ばなくなったとよくいわれます。冷暖房の完備により、室外より室内のほうが快適ですし、ファミコンなどのオモチヤも子どもたちを室内に引き留めています。そして、かつてはいろいろなお店を回らなければ手に入らなかった物が、近くのコンビニエンスストアーですべて間に合ってしまいます。

 こうした快適で便利な生活のなかで、どうしても子どもたちは身体を動かすことが少なくなり、身体の発達がゆがんできています。「特に問題だと思われるのは、例えば、転んだときに普通は手を出して身体を支えようとしますが、その手が出なくて顔から道路に突っ込んで歯を折ってしまうような子どもが出てきたんです。それから、真っすぐに立てない。斜めになっているんだけど自分ではまっすぐだと思っている。そして、ボールが受けとれなくで、自分の目に当ててしまう。単に視力が弱いということではなくて、立体的に見る力が育っていないんですね。そんな子どもが増加してきているんです。体力がないというのではなく、それは、神経系や感覚系がうまく育っていないことを意味しています」と話してくれたのは、子どもの身体の異常について、全国規模の調査をしている日本体育大学の正木健雄教授。

 昔から、よく手先を使うと脳が発達するといわれたりしてきましたが、今、便利な生活は、子どもたちの脳もゆがめてしまっているのかもしれません。

★子どもの発達不全は汚染物質と生活から

そして、視力の低下も1974年以来漸増し続けていることも、子どもの身体の変化の一大特徴となっています。そのことについて正木教授は、「まず、テレビとゲームの影響があります。テレビの画面までの距離は近く、ゲームの画質も悪く、目を疲れさせる原因となっています。それと、残留農薬などの汚染物質の影響も受けていると思います。目はかなりデリケートな部分ですから、そういうところへ影響が出やすいのではないかと思えるのです」とも言います。確かにテレビをよく見る子どもだけが視力を低下させているわけではないですから、アレルギーなどの強い疾患を誘発させる物質が、目などに作用することは十分に考えられます。

 現に、味覚を全く感じないなどの味覚異常を訴える子どももいるくらいなのですから。味覚異常は、亜鉛不足によって起きるといわれていますが、食生活の変化により、亜鉛を含む小魚などを食べなくなったことと、亜鉛の体内での働きを阻害する成分の含まれる加工食品を多く取るようになった結果だと指摘されています。

★虫歯からも子ともたちの異常が進む

「目の問題に加えて、虫歯も大きな疾患の一つです。そのことが歯並びの悪さ、アゴの骨の未発達などを招いています」と正木教授は言います。虫歯のある子どもは、5歳~14歳くらいまでだと約9割近くにもなるそうです。

 私たちは、虫歯については、それほど注意を払っていませんが、虫歯があると固いものを食べなくなり、つい清涼飲料やハンバーガーといったファーストフードなどに頼りがちになってしまいます。その結果、砂糖や食品添加物を多量に摂取し、また虫歯を作ってしまうという悪循環に陥るばかりか、カルシウム不足により骨を弱くしたり、肥満を招いたりもしてしまうのです。特にカルシウム不足は、筋肉のけいれんを起こしたり、神経を興奮させてイライラするなどの症状を引き起こします。

 そして、ペットボトル症候群(1・5ℓのペットボトルの清涼飲料を飲まないと気が済まない)を生み、食欲不振を恒常的に作り出してしまうのです。食欲は、人間にとって最も基本的な本能です。それが不明瞭であるということは、生きることへの意欲が、希薄になってしまいます。無気力な子どもが増加しているのは、こうしたことも関係しているはずです。

 現代の子どもたちは、快適さや飽食のなかで、明らかに身体も心も異変をきたしています。でもそれは、現代に対する、未来に対する警告なのです。その警告を受け取った私たちは、それにこたえる義務があるはずです。

※大脳皮質系・前頸葉の活動の発達不全

大脳皮質は、やる気や意思の働きをする部分です。一般的に「不活発型」は歳とともに減少し、「活発型」が増加するのが自然な発達と考えられています。また「興奮優位型」というのは、いわゆる子どもらしく抑えのきかない型ですが、これは小1~小4くらいが多くそれ以降は減少傾向になるというのが正常と考えられています。これを見ると1969年が最も健全で、79年は、小学校の高学年や中学生に異常(退行)が読み取れます。そして、90年はデータが途中のためモデル的に描いていますが、変化を見せないところがさらに不気味です。「不活発型」にとどまり、「興奮優位型」や「活発型」へ発達していかない(できない)状態にあることを示しています。つまり、意欲(やる気)が成長しないという危険な状態に今の子どもたちは陥っているのです。

歩くことの少ない子どもは土踏まずが形成されにくく、転ぶことも多いそうです。
健常者の場合、物の認識は日に依存することが多いので、日に物をぶつけたりするのはおかしなことなのです。通常はとっさによけたり日をかばったりします。しかしながら、顔のなかの負傷で、目が一番多いという事実は、正木教授の立体視できない子どもが増えているという指摘を裏付けています。
『学校管理下の災害14』(日本体育・学校健康センター)より

正木健雄
まさき・たけお 日本体育大学教授、日本体育学会理事、
日本体力医学評議員などを兼務。
主著は、『いきいき体調トレーニング』
(岩波ジュニア新書)など。

★子どもたちが化学物質に押しつぶされる

 現在の子どもの身体の異常は、特殊なことではなく、子ども全体に起こっていることといえそうです。その原因は化学物質を中心とした環境汚染物質です。そしてこれらの化学物質は、どの子どもにも平等に襲いかかっています。私たちは、これらとどう戦って、子どもを守ったらいいのでしょう。

★まず身の回りから化学物質を取り除こう

 これだけ環境汚染物質に取り囲まれていると、アレルギーにならない子どものほうが心配になってしまうくらいです。

 でも実際に重い症状で悩んでいる子どもは、ワラにもすがる思いで、いろいろな療法を試しているという話も耳にします。本屋さんに行けば、アレルギーを治す本のコーナーがあったりもします。また、新興宗教に入ったなどという話も結構あります。

 これらのことは、現在の子どもの身体がいかにひどい状態になっているかということを表しています。身体中を掻きむしっている子どもを見れば、何とか治してやりたいと思うのは親として当然のことです。

 しかしながら、一方においてお米アレルギーだった子どもでも、無農薬のお米に替えたら症状が出なかったという話もよく聞きます。ステロイド剤に頼ったり、除去食を進める前に、まず身の回りから化学物質を取り除くことをぜひ試して欲しいものです。またストレスもアレルギーを悪化させるので、子どもにとって負担を感じさせないような生活を考えることも大切です。

★かなり危険なものもあるアトピー・グッズ

 アトピーの原因の一つといわれているダニを殺すために、ダニ殺虫剤を使う家庭もありますが、これらはほとんど農薬と同じ成分で、アレルギーを起こしたり発ガン性の疑いを持たれているものもあります。ダニ怖さにこれらを使っては、かえって逆効果です。ダニが多い環境は、こまめな清掃、風通しをよくする、ジユウタンをやめるなどで十分に改善されます。

 また、アトピー用の石けんやシャンプーには、合成界面活性剤を使っているものもあり、成分をよく確かめて買わないと、逆にアトピーを悪化させてしまうこともあります。農薬と同様に、発ガン性の疑いのある物質も含まれているものも堂々と売られているのです。
しかも、普通の石けんやシャンプーよりも高い値段で。

 私たちは、安全性の明確になっていない化学物質を安易に使って、今日のような子どもの身体の異常を作ってしまいました。この状況を変えるには、できるだけ早くこれらの化学物質の使用をやめること以外にありません。化学物質による危険は、化学物質によってでは決して解消できないことをはっきりさせておくべきです。

  牛乳アレルギーのある赤ちゃん用のミルクもいろいろと売られています。また、最近では、妊婦用に作られたミルクもあります。母体を通してアレルギーの原因物質を胎児に与えないようにとの意図を持つものです。しかしこれらの粉ミルクには、母乳が持つ免疫物質などは当然含まれていませんし、粉ミルクには30種もの添加物が許されています。何よりも人工栄養児のほうがアレルギーになりやすいということは、多くの人が指摘   しています。

塾 帰りの子どもたちを夜見かけることは珍しくなくなりました。朝元気でない子どもが増加したのも当然!?

 夜遅くまで地域のサッカークラブの練習に汗を流す小学生。果たして、これが健康的なのでしょうか。

子どもが大きくなるまでに、きっと様々な問題が起ります。
でもなかには防げることもあります

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