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   11. 忘れていた力
     「自然治癒力」



忘れていた自然治癒力

取材・文/津賀由紀子

★体に備わった神秘の治癒力を理解し、自分の健康を、自分自身で守るために

私たちは、私たちのからだに自然治癒力というものが備わっていることを知っている。だが、その働きや本当の力につては、どれだけ知っているといえるのだろう。私たちは長い間、「病気は薬で治すもの、医者に治してもらうもの」と信じ、自分の体を専門家にまかせきりにしてきた。そして、そうすることで、自分の体と生命自身が持つ“内なる自然の力”を見失い、その本来の力を活かしきることを、忘れていたのではないだろうか。

「病気は薬で治すもの、医者に治してもらうもの」?
「自然治癒力」と聞くと」、私たちはなんとなく、軽い怪我や風邪のようなものをイメージしがちだ。ちょっとした傷なら放っておけば自然に治るし、風邪をひいたくらいなら、ちゃんと栄養を取っておとなしくしていれば、いつの間にか治ってしまう。私たちは体の中にそういった自然の回復力があることを知っている。
ただし、怪我が少し大きかったり、ただの風邪でないようなら、医者という専感門家に診てもらわなければならないし、ちゃんと薬を飲んだり、手術をしたりして治してもらう必要がある―。一方で、私たちはそんな風に考えてきた。
確かに、私たちが頼りとする専門家は、こういった期待にかなりこたえ、一昔前なら失われたはずの人命を、救い続けてくれている。現代医学(近代西洋医学)が病原菌や寄生虫による感染症や、内科的・外科的緊急時など、多くの深刻な事態において、最も適切に対処し得る手段だということは間違いないだろう。

とはいっても、現代医学は決して“万能”ではない。ガン・脳血栓・心臓病は未だ克服できない病気として、もう何年も死因の上位を占め続けているし、増え続けるぜんそく・アトピー性皮膚炎・リューマチ・糖尿病といった慢性病にしても。薬や手術で完治させることはできないないのが現状だ。実際、こうした病気に対して現代医学がしている“治療”は、そのほとんどが根本原因を取り除くことではなく、現れている症状を緩和することにすぎない。もちろん、症状を緩和しているうちにからだの自然な回復力が働いて治っていく、ということはあるだろう。しかし、症状だけを抑えようとする治療が、良くない結果をもたらす場合も、また決して少なくないのである。

★現代医学への依存が薬害や医源病をもたらす

例えば、少し前まで扁桃炎が頻発するというだけの理由で、扁桃やアデノイドは摘出手術の対象にされてきた。当時それらは、からだの免疫系に属する大切な器官だということが知られていなかったからだ。

 症状が現れている部分だけを見て、それに対処しようとする現代医学は、こうした問題も引き起こす。その危険性は、何の症状も現れていない虫垂を♀J腹したついでに〃摘出することがあった歴史からも、分かるのではないだろうか(扁桃と同じように、免疫系の重要器官だと判明する前の虫垂は、ときどき厄介を起こす″無用な器官と考えられていた)。 また、症状を抑えるために使われる薬には、副作用という問題もある。

 そしてそれは、発熱時に使われるアスピリン系の解熱剤に、まれに死に至る症候群」を引き起こす可能性があるというように、明らかになっているものばかりではない。薬という化学物質が人体に及ぼす影響については、専門家ですら完全に把握しているわけではないのだ。まして、無造作に何種類もの薬を飲み合わせることがあるとしたら、抗生物暦の過剰投与によってMRSAという恐ろしい耐性菌が生まれた(本誌93春号参照)ように、そのことが新たな∴繻ケ病≠生むきっかけにならないとも限らない。

 では、仮に副作用のない薬があるとしたらどうだろう。

 これは、対症療法そのものにつきまとぅ″副作用〃を考えてみると、よく分かるかもしれない。例えば、発熱しているからといって解熱剤を使って熟を下げてしまうと、からだがウイルスや細菌と戦う力を弱めて、かえって経過を長引かせてしまうというようなことがある。

 また、アトピー性皮膚炎にステロイド軟膏(副腎皮質ホルモン)を塗り続けることで、副腎がホルモンをつくり出す能力はどんどん退化してしまうらしい。本来からだが行うべき仕事を外から補うことでからだ自身の働きを鈍らせてしまう、ということもあるのだ。

 そもそも症状とは、からだが発している危険信号にほかならない。それは、長年のストレス環境、ライフスタイルなどによってからだのバランスを崩し、健全な機能を損ね続けた結果そのもの、なのだ。胃潰瘍を薬で℃。し″ても、潰瘍をつくったストレス環境やライフスタイルを変えない限り、再発して、さらにひどい潰瘍ができるように、現代医学の対症療法は、決して本当の治癒を導くものではない。

★健康をもっとトータルな視点から捉え直す医学の誕生

実は、こういった現代医学の現状に疑問を抱き、人間のからだを部分ごとに見るのでなく、大きなバランスの中で見ようする動きは、ここ何年か、世界的に広まっている。

 まず、78年にアメリカでホリスティック(全体、つながり、バランスといった意味をすべて包含した言葉)医学協会が発足した。そして日本にも、87年に日本ホリスティック協会が設立されている。といっても、ホリスティック医学の概念は決して新しく輸入されたものではなく、もともと東洋に根づいていた、包括的な考え方に近いものだという。協会ではホリスティック医学というものの概念を次のようにまとめている。

 @ホリスティック(全的)な健康観に立脚する。A目然治癒力を癒しの原点におく(自然治癒力を高め、増強することを治療の基本にする)。B患者が自ら癒し、治療者は援助する (ライフスタイルなどを改善して患者自身が″自ら癒す″姿勢が治療の基本となる)。C様々な治療法を総合的に組み合わせる (現代医学の利点を生かしながら)。D病への気づきから自己実現へ (病気を″気づき″の契機として、自己成長・自己実現を目指して
いく)。

★″自己治癒″をサポートしてくれる治療者たち

東京都台東区で、サイコ・セラピストとともに「心とからだのらせん堂」を主宰している寺島ダリさんは、日本ホリスティック医学協会会員。自らをボディ・セラピストと称している。

 寺島さん自身が″治療″(自己治癒の援助)として行っているのは、患者のポイント(ツボのようなところ) に軽く触れることで、からだ全体のバランスを整える施術法″手技″と、″生活指導″である。

 この″生活指導″というのは、からだの自然治癒力を減退させている生活の中の諸要素(呼吸、食事、動作、寝具、靴、鞄、下着など)をチェックして改善策をアドバイスするというもの。寺島さんは88年にらせん堂をスタートして以来、こうしたサポートによる多くの自己治癒を見守ってきた。

 例えば、40年間不眠に苦しみ、折々の吐き気やめまいに悩まされてきた、60歳の主婦Aさん。このAさんには手技を計4回ほど施し、食事指導及び遠視の指摘をした。さらに頸椎に負担のかかる動作や体操を止めてもらったところ、快癒。その後は日々、7〜8時間の快眠を得ることができるようになった。

 また、35歳の主婦Bさんは10代からの腰痛のせいでコルセットを手放せず、外出も徒歩10分程度の距離が限界だったが、台所の流しの高さを改善してもらい、足の重心を矯正する靴に替え、月に1回〜5回の手技を続けることで快癒。駅の階段を駆け上がることができるようになったそうだ。

 これらは、ボディ・セラピストである寺島さんのみのサポートによる治癒例だが、サイコ・セラピストとコンビを組んでのサポートにも、寺島さんはかなり力を注いでいる。「というのも、ホリスティック医学の先駆者であるアンドルー・ワイル博士が『人はなぜ治るのか』の中で書いているように、私も、あらゆる病気は心身相関病だと考えているからなんです。つまり一般的に病気の原因と考えられているウイルスや花粉は、むしろ″動因≠ナあって、真の原因は心 − 気持ち、意識にあるとする考え方ですね」と、寺島さんは言う。そして、その一例として、25歳の男性Cさんのケースを紹介してくれた。

 会社員であるCさんは、しばしば吐き気すら催すような、ひどい肩こりに悩まされていた。そして、日曜に寺島さんの手技を受けて楽になっては、翌日、出勤すると元通りということを何度か繰り返し、その後ワークショップ (グループ・セラピー) に参加。そこで、職場の上司に対して彼自身が抱いていた激しい怒りと不満にやっと気づくことができた。また、その根っこには、彼の父親に対する怒りと不満が埋もれていたことにも気づくと、Cさんは溢れる涙を抑えることができなかったという。

この“気づき”を経て、Cさんの頑固な肩こりは氷解した。今では肩こりを感じると“自分は今、何か怒りを我慢しようとしているな”と気づくことですむようになったそうだ。

実はこういった心身の相関関係の解明は今、アメリカなどを中心に、急ピッチで進んでいる。そおして、その研究が進むにつれて、肩こりどころではない、ガンさえも心の状態が大きく影響して発病(増殖)したり治癒(自然退縮)することが明らかになってきている―。

私たちのからだはストレスによって病み、喜びによって癒される

★否定的感情によって増殖したガンが肯定的感情で退縮する

物理的・心理的ストレスがホルモンのバランスを崩し、高血圧や心臓障害、潰瘍など、多くの身体症状を引き起こすことは、すでに知られている。それに加え、特に心理的なストレス(怒り、恨み、悲しみといった否定的な感情)が、脳の視床下部に影響を及ぼし、免疫力を著しく低下させるということが知られてきたのはここ最近の話である。

私たちの体の中には、外から入ってくる病原菌だけでなく、日々体内に発生しているガン細胞を、免疫組織が早期に発見して破壊し続けている。だから、免疫力が低下することでさまざまな身体的不調が引き起こされるだけでなく、ガン細胞の増殖をも放置することになってしますのである。

そして、このような悪循環によってガン細胞が増殖するプロセスがわかってきていると同時に、そのプロセスを逆転させることで、治療効果を上げられるということまで実証されつつあるのが、最先端の精神神経免疫学だという。

つまり、心理的ストレス(否定的感情)の代わりに希望・愛情・安らぎといった肯定的感情を与えることで、大脳辺緑系視床下部、脳下垂体などに良循環を生み出し、ホルモンのバランスが回復し、免疫力が正常に戻ることによって、異常細胞が破壊されやすくなり、治療効果と免疫組織の活動によって、ガンを退縮させることができるのだという。

これを証明するような、興味深いデータもある。アメリカの心理学者がガン自然退縮の400例を調査したところ、全員の共通項を発見した。それはそれぞれが、それぞれの治療方法でガンが治ることを“固く信じていた”という、心のあり方だった、というものだ。

★気功法の修練でもガンが治癒する

最近は、気功法によって、末期ガンから生還した多くの臨床例なども中国から報告され、話題を呼んでいる。気功には気の流れを改善する、自律神経のバランスを整えてリラックスさせる、血行を良くするなど多くの効果があることが知られているが、中でも特に本質な回復効果を担うと考えられているのが、脳に与える休息効果と呼ばれるものだ。

 それは、気功の修練によって得られる、一種の瞑想状態と言い換えてもいいだろう。このとき、脳は眠っているときと違って覚醒した状態でありながら、酸素消費が熟睡時よりはるかに低下した状態になるという。日常生活では得られないような、こうした脳の深い休息状態は、前述した″脳の視床下部に作用する肯定的感情″そのものといえるのかもしれない。

 このところ健康法として日本でもちょっとしたブームを呼んでいる気功法だが、今後は病気治療の一環としてもますます注目を浴びるのではないだろうか。

 ただ、実際に大きな病気になってしまったときに、たった一人でそれに立ち向かうのは難しいことだ。また、自然治癒力によってあらゆる病気が″奇跡的に℃。り得るということが分かったとしても、それが自分にとって身近な話には感じられないかもしれない。

 そこで、すでに15年間にわたってガンをはじめとしてリューマチ、アレルギーなど、数多くの難病治癒を実際にサポートしてきた、もう一人の心強い援助者の話を紹介しておきたい。

★独白の診断法と治療プログラムで自己治癒をサポート

 その人は、東京都の高円寺にあるウリウ治療室の主宰者、瓜生長介さん。瓜生さんも、あらゆる病気の根源は深く広い意味での″不快″な生活にあるとしている。そして、病んでいるそれぞれのからだに最もふさわしい″快″的条件を整えることで、あらゆる病気を治すことができるという考えを『快医学』という独自の治療プログラムにまとめ上げ、実践し続けてきた。

 ウリウ治療室でガンを自力で克服した症例は、約10年前からある。
患者は、当時33歳の男性Dさん。仙骨周辺の痛みで食欲がなくなり、体重減少が続いて検査をしたところ進行性の直腸ガンと診断され、来室した。Dさんは瓜生さんの処方により、lカ月の″ミルク断食″を実行。そのほか、からだのゆがみを調節する「操体法」や、内臓を調節する「綜続医学」の手当て、呼吸法を毎日続けた。そして断食後は肉・魚・砂糖・加工食品のいっさいを除き、一日に玄米莱食を一回だけといった食事療法を続けていった。

 すると、2カ月後の検査では白血球が正常値に、炎症病変の指数がマイナスになった。さらに半年後には、注腸検査と内視鏡所見も正常になった。当初は病院で「手術をしても長くない」と言われていたDさんだが、10年後の今も、操体法などを適当に続けながら元気に暮らしている。

 もちろん、これ以後にも数々の治癒例はあるが、今度は最近の症例から、その治癒経過を具体的に紹介しよう。

★現代医学の検査で見つけられないガンを早期発見

 現在68歳の女性Eさんは、激しい疲労感や異様なからだのだるさ、頭痛などを訴えて来室した。ウリウ治療室では、10年前から「0リングテスト」を採用し、来室者のからだに関して、できるだけ多くの情報を集めることから診断をスタートさせている。0リングテストとは、すべての物質とからだを構成している細胞にある、それぞれ固有の電磁波、そして人体の異常な部分にある、正常な部分とは異なる電磁場などを利用することで、からだの状況を読み取る方法のことだ。

 具体的にいうと、からだの表面の臓器反応点にハシで触るなどの微細な削激を与えることで、指で0″の輪を結んだ被験者の手指に強弱の変化が出る。この現象から、どの臓器に問題があるかを調べるのだという。さらに、被験者の手の平に、それぞれ固有の電磁波をもった各種病理標本・病原菌のカブセル・薬を持たせることで生じる共鳴現象を利用して、ウイルスや細菌の感染といった病因や、どの薬・食品がもっとも効果的かといったことまで、″かちだに聞く″ことも可能らしい。

 このテスト法で得た情報は、現代医学による検査結果と一致していることもあるし、現代医学の検査ではまだ見つかってないほど早期のガンや感某をキャッしていることもある。

 Eさんの場合も「病院の検査では異常なしと言われた」と言って来室したが、0リングテストでは全身にHTVI(日本人のガン患者に多く見られる発ガン性ウイルス)に反応があった。臓器の状態などから考え合わせ、ウリウ治療室では膵臓ガンの疑いがあると診断。そしてEさんは処方された食事療法や媒体法、綜統医学による様々な手当てを組み合わせて続け、ほぼ2カ月後には、好きだった山歩きが再開できるまでになった。

★厳格な除去食でも治らなかったアレルギーが快癒

 6歳の女児Fちゃんは、2歳になる少し前から気管支ぜんそくとアトピー性皮膚炎を発症し、以来4年、副作用を気にしながら抗アレルギー剤、気管支拡張剤を飲み、ステロイド軟膏を塗ってきた。

 ひどいときはぜんそくの発作どめの座薬を使ったり、アトピーでシーツが毎晩のように血まみれになることもあったそうだ。
厳格な除去食を始め∵生活にも気をつけるようにすると多少症状は落ちついたが、薬を減らすことはできず、食べられるものが少しも増えないために、母親であるGさんが連れて来た。

 このFちゃんの場合は、0リングテストで、麻疹肺炎のウイルス感染が発見された。診断は、予防接種のウイルスがからだに残って内臓を痛め、からだのバランスを崩している、というもの。「アレルギーを引き起こしていた真犯人がウイルス?」とGさんは半信半疑ながら、「必ず治る」と断言する瓜生さんに希望を託して、処方された食事療法や手当てなどを続けた。

 1カ月後に来室したときは、ウイルスの反応は卵巣に残るのみ。このとき病院でもらっていた4種類の薬を0リングテストで診ると、そのうち2つはからだに合わないことが分かったので、使用を中速した。その2カ月後には残りの2つの薬も必要なしという診断が出て、半年後には、足の親指の先に残っていたウイルスも消滅した。薬をやめてもFちゃんの発作はほとんどなく、肌も、どんどんきれいになっているところだそうだ。

  ただし、これらの治癒例は決してハッピー″エンド″ではない。というのは、病気がからだのバランスを崩した結果であるように、健康もバランスを取り続けていくことでしか維持できない、状況そのものだからだ。

 「だからこそ、一人ひとりが自分を診られる専門医になってほしい」と、瓜生さんは自分でできる診断法や自己治癒プログラムを伝授するセミナーを、全国各地で開いている。また、‘91年に世界快医学ネットワークを設立し、以来、世界の各地でもセミナーを開き、好評を博しているという。

 一人ひとりが自分の専門医になる―。もしそれが実現できたら、どんなにすばらしいだろう。確かに、自分の健康を守るのは、他の誰よりもまず自分であるべきなのだ。

 健康を保つための知識を学び、自分で初期のうちに病気の兆候や症状を発見できるようになれば、自分でできる、より簡単な治療でからだのバランスを取り戻すことも可能なはずだ。また、現代医学が不得意とする病気になったら他の治療法を探す、という選択ができるようになれば、治癒の可能性もより広がることだろう。

 私たちが自分のからだに主体的に関わるということは、私たちのからだと心を、私たち自身の手に取り戻すことにほかならない。そして、病気と出合うとき私たちは、自分の人生を新しく生き直す機会を、手にすることになるのかもしれない。

過剰投薬、医療過誤、5分間診察・・・。多くの問題を抱えた現代医学のみに、依存することの危険性は大きい。(写真)

★参考文献
『人はなぜ治るのか』
(アンドル・ワイル著/日本教文社)
『快医学』
(瓜生良介著/徳間書店)
『スリランカの悪魔祓い』
(上田紀行著/徳間書店)
『ホリスティック医学入門』
(日本ホリスティック協会編/柏樹社)
『気功による病気の自己治療』
(津村喬著/JlCC出版局)

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