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「今日は食器を何回洗いましたか」 ★家庭から出た汚れた水は、循環していつか帰ってくる 私たちは1日にひとり200〜300?の水を使いほぼ同じ量を出しているといわれます。 ひとりお風呂1杯分もの汚れた水を、毎日私たちはどこかへ流しているのです。もちろん工場や商店、オフィスビルなどからも大量の汚れた水が出てきます。 ★油大さじ1杯にお風呂15杯の水が必要 水の汚れを見る指標のひとつとしてBOD(生物化学的酸素要求量)があります。これは、水の中の汚れを微生物が分解するときに必要な酸素の量で、この数字が大きければ大きいほど、分解に酸素が必要ということで、水が汚れていることになります。 BODに水の量をかけたBOD量で見ると、家庭から出る汚れは、ひとりがl日に43g出しています。(下のグラフ) 台所から出るこうした水はかなりの汚染源になることが分かります。 ★家庭排水が水を汚している 私たちは、し尿のほかに洗濯やお風呂、台所などでさまざまな汚れを出しています。その重はBOD(生物化学的酸素要求量)で測ると1日43g。その7割が生活雑排水によるものです。特に台所から出る汚れが多いことが分かります。し尿は法律で処理が義務づけられていますが、生活雑排水は地域によっては処理されず、たれ流しの状態です。1日にひとり280〜30日丘も使う水。誰もが水を流すことで環境への加害者になっているのです。 下水処理場に汚れた水が集まってくる。下水処理場には市町村単位の公共下水道といくつかの市町村にまたがる流域下水道がある。処理した水は川や海へ 私たちの家庭で大量に水が使われる。台所、浴室、洗面所、トイレ、洗濯機のほか、庭への散水や洗車・・・・。水が使われる場面は多い ★あなたの出したし尿と生活雑排水はどこへ? 「家庭排水について考えるとき、台所やお風呂、洗濯で出る$カ活雑排水″と、トイレから出るし尿を分けて考えたほうがいいですね」と言う環境監査協会の山田國廣さん。行政基活雑排水は環境庁、し尿は厚生省、下水となって流れる部分は建設省と担当が分かれています。 まずし尿は、トイレからどのように流れるのでしょうか。 水洗トイレは、下水道があれば下水管を通じて下水処理場を経て川へ、下水道がない地域ではし尿だけを処理する単独浄化槽か、生活雑排水も一緒に処理する合併浄化槽を経て川へ。そしてくみ取りをしている地域ではし尿処哩場で処理して川へ流れます。 生活雑排水のほうは、下水道があれば下水処理場を経て川へ、下水道がなければ合併浄化槽を経るか川へそのまま流すかです。 生活雑排水がたれ流しになるのは、し尿だけが単独浄化学処理されている家か、くみ取りになっている地域です。「生活雑排水のたれ流しは昔とは違ってきています。かつては庭に穴を掘って≠スめます〃を作り、そこに流して土の中の微生物が分解するというステップがあったのです。使う水の量が少なかったし、洗剤などの種類も少なくて水の汚染度は 低かった。今は水や洗剤を大量に使い、直接川に流している状態です」 自分の家がどこに当てはまるか分かりますか? ★流した汚れた水は、いつかもどってくる 「水は循環しています。私たちの目の前から消えた水はなくなるのではなく、人工的にあるいは自然の力できれいになってもどってくるのです。それも短期間でもどってくる。こんな物質は水のほかにはありません」(山田さん) 家庭からの排水は雨が地下水や川になって海まで流れる間の、水のひとつの通路です。「でも今の私たちの生活では、家庭排水と周囲の水の関係が見えなくなっている」と山田さんは指摘します。 水を美しく保つには、まず水を汚さないということと、出した汚れを処理するというふたつの方法があります。「汚れを出さないほうが汚れを取り除くよりもコストがかからない。お刺身のしょうゆや野菜につけるマヨ子ズをちょっとずつ使うようにして、残さないこと、そんな工夫がきれいな水を循環させることになるんじゃないでしょうか」 日本の年間降水量は平均で1800m。雨は多いのですが、ひとり当たりでは世界平均の6分の1から5分のlといわれています。水は無限ではありません。今日私たちが流した水は、いつか私たちや子どもたちが飲むかもしれません。 山田國廣さん 使われた水が運ばれるのは、単独浄化槽、合併浄化槽、下水処理場などその地域や家庭によって違う。生活雑排水をそのまま流すところもある。 浄水場で水道水が作られ、さまざまな場所に運ばれる 海や川、湖、地面から蒸発した水が編めとして降る。地面から染み込んで川の水になったり、ダムにためられて電機の元となったり、私たちが使う水道水となる。 ★家から出た汚水がどのように処理されているか知っていますか 川の水の場合、BOD1なら谷川の流でヤマメやイワナが棲むくらい、2ならアユ、3なら飲み水にできる限界、5がコイやフナが棲める程度、川以上は水が腐った状態。日本の川で一番汚れているのが兵庫県の揖保川でBOD29。 そこで、処理された家庭排水の汚れの度合いを比べると、「下水道のない地域の9割以上に普及している単独浄化槽は、BOD90の汚水を出しても建設省に認可されている。生の下水に近い数字です。これでは意味がない。そのうえ生活雑排水はたれ流し。だから下水道のない地域の川はきれいにならないんです」と山田さんは言います。 「では、下水道がいいかというと、水自体は処理してきれいにするけれど、川はきれいになっていない。日本で最初に下水道ができた大阪の川も、下水道がほとんど完備された東京の隅田川もきれいですか!」。下水道が雨水までとり込むので、地下水がなくなり、川の水量が減って水が汚れたという指摘もあります。 こうなると、普及率が5割弱になった下水道を上手に利用するか、性能の高い合併浄化槽をつけるかが、今のところ家庭排水を処理するベストの方法といえそうです。 ★下水道の場合(東京都・落合処理場) 家庭排水はまず家の脇にある汚水ますに流れ、小さい管を通ってマンホールの下で合流しています。ここから本管を通って下水処理場に流れます。 下水道管はふつうはだんだん深いところに埋めて流れ落ちるようにし、途中でポンプで上げて処理場までつなぎます。今回取材した東京・新宿区にある落合処理場は自然の地形を生かしており、下水をポンプで上げている箇所がありません。 処理のしかたは、どこの処理場でもほとんど同じ。写真のように、まずゴミを取り、汚れを沈ませ、微生物に食べさせて、微生物や残った汚れを沈めるのです。 落合処理場では、さらに高度な急速砂ろ過や膜を使った処理を行っているので、処理水の水質は非常にきれいです。一部は処理場の上に造られた公園のせせらぎとなり、一部は新宿副都心にもどされてトイレ用水として使われています。また、下水の温度は一年中ほぼ一定なので、処理場の冷暖房にも利用されています。処理後に残る汚泥は別の処理場で焼却されて、一部はレンガやフラワーポットなどに再生されます。 下水道管からベッドやふとんが流れ込んだこともあるとか。下水処理場はいくら高度処理ができるとはいえ、流す側が気をつけるべきことは多いのです。やはり油や食べ残しは苦手です。 下水道建設には今年度約3兆円が使われる見込みです。これは国民ひとり当たり2万4000円ほどになります。下水道ができた後は使用量に応じて個人負担。下水道料金は一般家庭で、東京都の場合月2000〜3000円です。 ★合併浄化槽の場合 合併浄化槽は、いわば家につけた小さな下水処理場。手賀沼の石けん運動に係わった千葉・流山市議会議員の日下部信雄さんは、86年と比較的早く石井式の合併浄化槽をつけました。 合併浄化槽の基準は、中を通って出てくる水のBODが20以下と定められています。石井式はBODが5以下と性能のよさを誇ります。 石井式の秘密兵器は底を抜いたヤクルトの容器。この凸凹した形がさまざまな微生物が生きるのに好都合。日下部さんのところは10人槽で約2万個のヤクルト容器が入っています。もちろんヤクルトだけでなくローリーなどでもOKとか。最後の槽(写真下左)には金魚が泳いでいます。「夜店で買った金魚がここで増えました。この槽の水はBOD2くらいだと思います」。合併浄化槽を経た水は今は庭にまかれるくらいで、排水されています。「トイレに使いたいとは思っているんですけれど。宮城県石巻市の新井さんの家ではトイレに再利用しています」 個人住宅に合併浄化槽をつけるのはかっては手続き上難しく、家庭用の合併浄化槽の製品が認可されたのは84年でした。今では下水道がまだ整備されない地域での設置が進んでいます。日下部さんがつけた当時は120万円。単独浄化槽に比べて価格が高いのが難点でしたが、現在では自治体が補助金をつけるようになっています。 合併浄化槽は、日本リサイクル運動市民の合・水事業室(03・5228・3340)、 日下部信雄きん
水が処理されたこの槽では金魚が泳ぐ 野田知佑さん ★ゴミを流さない。「くせ」にしてしまうと何でもない 30年以上前から日本全国の川をカヌーで下ったり、泳いだりしてきたという野田さん。川旅暮らしでは、使った水やゴミの処理をどうしているのかというと、「野菜くずや残り物は近くに埋めるし、油や燃えるゴミは燃やします。アルミ缶のような燃えないゴミはカヌーに乗せて持ち帰ります。カヌーは狭いんだけどね。川を見ているうちにだんだん川に流さなくなった。こういうことは″くせ≠ノしてしまうと何でもないことになるから」野田さんが住む鹿児島市では、火山灰を回収しています。道路の脇の汚水ますに流すと詰まってしまうからです。「やればできるんですよ」 そんな野田さんでも、多摩川を下ったときだけは、ゴミを捨ててしまったとか。「あれだけ浮かんだゴミを見ると無力感に襲われて」 汚れた川では気持ちが荒みます。 「川は文明の尺度。ロンドンのテムズ川がきれいになったのは行政が本気になったから。市民は行政にプレッシャーをかけていかなければ」 川に住んでいるかのような野田さんが、「最近日本の川のことは書いていないんですよ。もうどこもダメだから。日本中の川が多摩川化してしまった」と嘆きます。大きい川にはすべてダムが造られ、生態系が変わり、水が汚れ、人の気持ち、も荒んでいく……。 「みんな川から目をそむけている。川も海もそばにあるのに遠い存在なんです」野田さんが得意の魚の手づかみで夕食の材料を調達し、本とお酒を友に、釣り師とけんかしながら日本の川下りを楽しむ日は再び来るのでしょうか。 ★廃油のリサイクルにも合併浄化槽にも取り細み中 「琵琶湖を汚さない消費者の会」や生協、婦人会、労働組合が中心になり、日本で初めて「環境にやさしい活動」をテーマにした滋賀県環境生協ができたのは89年。藤井絢子さんは約3600人の組合員を引っ張る理事長さんです。設立以来の活動目標のひとつが「水の自主管理」。自分たちが使う水の循環をきっちりと見ていこうということ。珪此琶湖を控えているだけに、水に対する思いは強いのです。「水や生き物に対してどうなるかということを考えると、ゴミを流す手は自然と止まるはず」。リサイクルした廃油を使った石けんを販売、合成洗剤に替わる使い方を提案するだけでなく、今年から廃油で動く耕うん機や船の実験を始めました。 環境生協では石井式の合併浄化槽なども勧めています。藤井さん宅にもつけられて、トイレ用水や庭の散水に活躍中。「厚生省が87年に補助金を出すと決めてからすぐに県や市と交渉しました。家は石井式合併浄化槽が補助金つきで県下で最初についたんです」。合併浄化槽をつけ、ソーラーシステムなどを取り入れた「エコホーム」を環境生協で建てる計画もしています。 斑此琶湖の再生を目指し、次の世代に美しい琵琶湖を渡すために、藤井絢子さんは今日も駆け回っています。 藤井絢子きん ★わずかな淡水を生き物が分け合う。水は限りある資源 矢川のように水質を調査したり、日野市の平山用水のように木炭を入れて水を浄化したり、特に多摩川流域では水に関する市民運動が盛り上がっています。小倉さんはこの地域のネットワークの指導者的存在。「このごろ多くの人たちが勉強して、水に対する意識が高まっています。そういう人たちに科学的にデータを見る方法をアドバイスしたり、私の研究の成果を伝えたりしているんです」 小倉さんの専門は水界環境学。地下水や多摩川、東京湾などをフィールドに地球の水と環境の係わりを研究しています。「みんな自分の使う水がどこからきてどこへ流れるのか知るべきです。水は循環していますから、必ず自分のところにもどってきます。地球上の水で人間やほかの動物、植物が使える淡水は約0・8%。ほかは海水や氷河などで使えないのです。水は蛇口をひねったら出てくるものではなくて、限りがある資源なのです」 下水道が全国で整備されるにはお金も時間もそして場所もまだまだ必要です。「整備されていても、下水の処理にはものすごいエネルギーがかかります。処理に力を注ぐより、元を絶つことのほうがずっと有効で無駄がない。まず家庭で少しでもいいから、やれることからやればいい。そして続けること。台所は川へも海へもつながっています。川だけでなく海の汚れも自分の問題なんです」 小倉紀雄きん ★川を調べるうちに暮らしが変わった 矢川は多摩のふたつの段丘の間から湧いて流れる1・5kmの小川。毎月1回、平日の朝10時、矢川緑地の入口に自転車が数台集まります。「矢川水質調査会」のメンバーです。長靴をはき、川に入って調査開始。水を容器にとり、試験薬で汚れの程度や水の酸性度をみます。ほかに川の幅や深さ、流れる速さも測ります。「メンバーは生協の石けん運動を通して水には関心がありました。水道水の発ガン物質トリハロメタンの調査をしたのをきっかけに、今度は水質という面から水をみようということになりました」とメンバーのひとり。以来手探りで調査の方法を勉強。専門家のアドバイスで今の方法に落ち着きました。 調査を始めて8年、市が始めた川岸の工事を川の生態系が変わると縮小させたり、水辺の歴史を聞き歩いたりと、活動が広がりました。今年からは水草の観察もスタート。「自分や家族の暮らしも変わった」と4人は振り返ります。子どもが使った食器を拭いて流しに運ぶのが当たり前になった、学校で習う環境問題が一緒に川へきて分かったみたい……。洗濯機のホースにストッキングをつけてゴミをとる、煮物の残った煮汁は冷凍して次に煮物を作るときに使う、とメンバーも手間を惜しみません。「川の観察を通じて、自分たちの暮らしが土、水、すべてとつながっていることに気づきました。下水道があっても、やはりひとりひとりの努力は必要ですね」と口をそろえます。 ★矢川水質調査会 できることからやってみよう ★食べられる食だけを料理する。なるべく残さない ★米のとぎ汁甘洗い物に使ったり、植木にあげたりする ★食洛はまず汚れを拭き取ってから洗う ★洗剤は表示通りに薄めて使う ★白の細かい水切りや水切り袋を使ってゴミをキャッチ ★油は流ぎないで、ゴミに出すか使い切る ★野菜くずや食べ残しは土に埋めて堆肥にする ★洗面所・浴室で ★歯磨きペーストを歯ブラシにつけすぎない ★歯を磨きながら水を流しっぱなしにしない ★合成洗剤より石鹸を ★洗濯はまとめてすると水が少なくてすむ。まず下洗いを ★トイレのタンクに節水の工夫をする ★掃除には専用洗剤がなくても粉石けんでOK ★粉石けんは適量を計って使う ★糸くずを取るフィルターを使う ★シャンプーは使いすぎないようにする ★お風呂の残り湯を洗濯などにフルに使う ★汚水ますにゴミやタバコの吸い殻を捨てない ★汚水を処理する能力が高い合併浄化槽をつける ★雨水を地面にもどす工夫を ★洗車するときは水を流しっぱなしにしない
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