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   残留農薬 
   これだけは避けたい
   国産農作物10 / 
   輸入農作物10

   ・農薬は本当に必要な
    ものなのか
    [→読む]

   ・豊かな食生活をささえる
    薬害
    [→読む]

   ・これだけは避けたい!! 
    国産農作物10種
    [→読む]

       1-セロリ
       2-キュウリ
       3-リンゴ
       4-ミツバ
       5-オオバ
       6-パセリ
       7-シュンギク
       8-ピーマン
       9-トマト
      10-レタス

   ・ポストハーベスト農薬が 
    怖い!!
    輸入農作物10種
    [→読む]

       1-レモン
       2-小麦
       3-オレンジ
       4-グレープフルーツ
       5-バナナ
       6-イチゴ
       7-冷凍ジャガイモ
       8-オクラ
       9-キウイ
      10-冷凍枝豆

   ・毎日食べても 
    大丈夫なの 輸入米
    [→読む]

   ・子どもたちの明日は 
    厳しくなるばかりなのか
    [→読む]

   ・微量でも化学物質は 
    体をむしばむ
    [→読む]

   ・化学物質過敏症の 
    主な症状
    [→読む]

   ・あなたの食事が子孫を守る
    [→読む]


残留農薬 これだけは避けたい国産農作物
10 / 輸入農作物10

取材・構成・マナメッセ特別取材班

  新鮮でおいしく、安全な野菜や果物を子どもたちに食べさせたいと願うお母さんたちの思いをよそに、海外から輸入されてくる野菜や業物は、いまだに 残留農薬がいっぱい。かといって国内産なら大丈夫かといえば、これがまた、想像以上に 農薬汚染にさらされています。
十年前からくらべれば、かなり農薬の恐怖は少なくなったと思われがちですが、どんな農薬がどのように使われ、どれだけ残留農薬の被害が広がっているかは、目に見えないだけに深刻な内容を持っているといえそうです。

 そこで、残留農薬について徹底取材し、これだけは避けたい食品を、輸入食品と国産食品に分けて、それぞれワースト10としてあげてみました。

 東京都の消費者モニター調査によると、生鮮野菜や果物に対する心配として最も多かったのは、農薬が残留している恐れがあることで、84%もの回答がありました。農薬の残留基準ひとつをとってみても、すべての農薬、対象作物に基準があるわけではありません。
また、食料時給率低下の代償として、ポストハーベスト農薬で厚化粧した輸入農作物を食べさせられています。

 農林水産省の消費者モニター調査では、92%もの人が輸入農作物について農薬の残留を心配しています。それに対し、私たちの不安を解消するような報告をききません。私たちは食の安全が納得できない限り、私たち自身で不安なものを排除していくしかないのです。
それも、残留基準をオーバーしているかどうかのレベルではなく、農薬が使われているかどうかのレベルで判断しなければなりません。

 空気1立方m中に10億分の20gの有機リン系殺虫剤が漂っていると、健康障害をおこします。その20倍もの濃度で農薬が残留するパンを、子どもたちは学校給食で食べています。残留基準の4分の1程度が学校給食のパンからは検出されていますが、その数値ですら、健康障害をおこす20倍もの汚染値なのです。たとえ微量であっても安全ではありません。

 農薬の危険性、残留農薬で特に避けたい農作物など、改めてチェックしてみました。

 

★農薬は本当に必要なものなのか

食料自給率37%で低下の一途だが単位あたりの農薬使用量は世界一

 我が国の農業用地は5165ヘクタールで、国土の約14%ですが、人口約1億2000万人をまかなうには足りないようです。‘93年度の食糧自給率は、カロリーベースで37%と、30年前の約半分、年々下降の一途をたどっています。

 にもかかわらず、使われる農薬の量は、アメリカに次いで世界2位。単位面積(1へクタール)あたりだと約10キロで、アメリカの7倍、ヨーロッパの6倍ちかくと、世界一の
農薬使用国なのです。

 たしかに、単位面積あたりの作物生産量は、アメリカの2.6t、ヨーロッパの3・4tを大きく引き離し、5.5tと生産性は高いのですが、自給率の低下に歯止めをかけているわけではありません。一方で、農薬の使用量にかかわらず、害虫や病原菌は抵抗力をもつようになりますから、より単価の高い新農薬へと切り替わってもいます。もちろん毒性や環境への影響も考えてのことだといいますが、農家の出費も増加傾向にあります。

 農薬はホントに農作物の生産に欠かせないのでしょうか。

農薬は年々増加、危険性も複雑化しているというけれど

 農薬は、一般的には「農作物などに被害を与える病害虫を防除するための薬剤や、農作物などの生理機能の増進または抑制のための薬剤」のことで、農薬取締法に基づいて登録を受けたものだけをいいます。また法的には、農薬は有効成分名で呼ばれ、メーカーがその成分を使って商品化した製剤の名称は使いません。

 用途別には、害虫(昆虫の成虫、幼虫、卵など)を殺すための殺虫剤、病害微生物(細菌やカビ、ウイルス)の生育を抑制する殺菌剤、雑草などを枯死させる除草剤、農作物の成長を増進または抑制する生長調整剤などがあります。

 ‘95年末時点で、我が国には482の農薬が登録されています(世界では600以上)。商品数では約5800が流通しています。これらの数は年々増えており、農薬による危険性は、ますます複雑化しているといわれています。

 気になる毒性ですが、呼吸を通して(吸入)や口から(経口)、或いは皮膚から吸収(経皮)された直後に現れる有害な作用(急性毒性)の程度や解毒法があるのかどうかなどで大きく4つに分けられています。

 これらは動物を使った急性吸入毒性試験、急性経口毒性試験、急性経皮毒性試験の結果を参考にして決められます。最近の我が国の急性毒性別生産量をみると、普通物が圧倒的に多いようです。しかし、毒性という点ではけっして低いことを意味しません。あくまで特定毒物、毒物、劇物以外というだけでしかないのです。農薬の化学構造の類似点からみたとき、急性毒性の分類には関係なく、人間や環境をむしばむ恐るべき特性がわかります。

 その代表的なものを3つ、ここであげておきます。

★有機塩素系

科学的に安定しているため分解されにくく、環境中での残留が大きな問題になっています。食物連鎖をとおして、他に捕食されにくい動物や人間に蓄積されることも問題です。発ガン性などが指摘されている農薬も数多くあります。

★有機リン系

神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する酵素コリンエステラーゼを阻害します。空中散布による近隣住民の慢性毒性症状などもはっきりしています。発ガン性などが指摘されている農薬も数多くあります。

★カーバメイト系

有機リン系の毒作用に似た特性があります。発ガン性などが指摘されている農薬も数多くあります。

 こういった化学構造によると思われる毒性は、けっして急性のものばかりではありません。遅発性神経毒性などは、農薬にさらされて数日から数週間たってから初めて症状が現れます。もっと長期ではどうなんでしょう。子供の代、孫の代、あるいはその孫の代ではどうなのでしょう。

 急性毒性試験以外にも、動物などを使っていろんな毒性試験が行われています。ものによっては試験結果が正反対であったり、国によっての判断なども違ったりしています。しかし、多少でも危険性が認められれば、それは人間にとってはもっと危険なものとして判断すべきではないでしょうか。

 私たち以上に、農薬を使う人たちは自分や家族だけでなく子孫までも危険にさらされています。そうしてまで、なぜ農薬を使うのでしょう。

消費者と生産者・流通の協力で、農薬のない食生活は可能

 豊かになった私たちの食生活を守るためだといいます。たとえば、野菜生産出荷安定法による指定産地では、毎年同じ作物を栽培するため、多量の土壌殺菌剤を使わなければ連作障害をおこし、生産できなくなるといいます。

 連作障害を防ぐための土壌殺菌剤は、殺菌剤や殺虫剤の約100倍、除草剤の数十倍は使うといいます。それでも、標準使用量を越えて使わないと、連作障害を克服できない地域もあるようです。

 私たちが見た目重視で農作物を選ぶからだといいます。たとえば、市場では形や外見で必要以上に等級分けされるため、栄養や本来の味覚とは関係なく、殺虫、殺菌に努めなければならないといいます。

 農作物は彼らにとって商口です。売れるものを作るために努力します。売れなければ商売は成り立ちませんし、何より彼らの死活問題です。自らの健康を多少害してでも、売れる商品、安定収穫に精を出すのです。彼らもある意味では農薬の犠牲者です。今の農業のあり方では、農薬は使わざるを得ないでしょう。しかし、私たち消費者と生産者、流通機構が協力して、農薬を使わないですむシステム作りをすすめているケースは増えてきています。私たちが見た目重視を反省し、季節を大切にし、食の安全を求めれば、農薬は必要ないといいます。必要悪から不必要なものへ、農薬の世話にならなくていい生活環境をめざしたいものです。

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★豊かな食生活をささえる薬害 

宮田 幹夫(みやた みきお) 北里大学眼科学教室教授

「娘がアトピーで、ウォータークリーナー、エアクリーナー、風呂には木炭、床のじゅうたんもとっくにはずしました。印刷物も、できるだけ最初に読ませないようにしています。食品類はもちろん、できるだけ無添加でやっています」。他にも環境問題、残留農薬問題など精力的に取り組んでいらっしゃる。本人はボランティアはつらいとおっしゃるが、今回の取材に対しても「こういう問題は、少しでも抑えていくという方向で努力しないとダメな時代になっている」と檄をいただいた。

「国民の安全」を視点にした国の施策が望ましいが・・・

 農薬を使う理由としては、農作業の合理化、人手不足などもあげられます。農作業に従事する人の数は、’60年ころを境に急激に減りはじめ、若者が都会へと流出する分、高齢化していきます。高齢者にとって過酷な農作業、小人数でできる農作業を、機械とともに農薬が補っているのです。その結果、必要以上に農薬による被害を増やしているともいえます。

 ‘70年、有機リン系殺虫剤マラチオンの空中散布による慢性中毒例として「佐久の眼病」が報告されました。世界で初めての、有機リン系殺虫剤による慢性中毒症の報告で、北里大学医学部の石川哲教授(当時は東京大学)らが中心となって発見したものです。

 長野県の佐久地方では、本格的な有機リン系農薬の使用開始から4年ほどたった’66年ころから、目や自律神経、脊髄、抹消神経に異常のある患者が増えはじめました。患者数は、有機リン系の農薬の使用量の増減とほぼ1年遅れで増減しています。

 有機リン系の農薬の急性毒性は、神経伝達系でアセチルコリン(筋肉を縮める物質)を分解するコリンエステラーゼ(筋肉をゆるめる酵素)を阻害するため、筋肉は神経刺激に応答できなくなります。目は神経の束からできているため、いち早く異常が現れるようです。縮瞳、意識不明、全身けいれん、肺水腫、呼吸困難などをおこし、重症の場合は死にいたります

 第二次世界大戦時、この有機リンの毒性の強さに着目したのがナチス・ドイツのヒットラーでした。ヒットラーの命で、ドイツは敗戦までに約2000種の有機リン化合物を開発したといわれています。その人体実験となったのがアウシュビッツなどの収容所に捕虜として入れられた、ロシア人やユダヤ人でした。当時の研究資料は戦後、連合軍の手に渡ったといわれています。

 マラチオンが日本に登場した’53年は、そんな化学兵器の流れを組む、毒性の強い有機リン系殺虫剤パラチオンが本格的に使用され始めた年で死者70人、中毒者1564人、翌’54年は死者70人、中毒者1887人を出しています。’55年に「特定毒物」の指定を受けますが、その翌年には死者最高の86人を記録しました。急性中毒症状の激しい、致死性毒物として認識されていながら、登録失効は’71年と、20年近く使われていたのです。

 エイズ問題でもそうですが、国のやってることに国民の安全といったような視点があるのか、疑わしい限りです。急性中毒に対しても、このありさまです。まして慢性中毒など国は眼中にないのかもしれません。現に厚生省はいまだに「有機リンに慢性中毒はない」といっているようです。北里大学の宮田幹夫教授(眼科学教室)は、そのことを怒りに満ちた口調で語っています。

 「官僚の立場というのは、問題をおこしたくない一心なんです。自分の任期中には何もおこしたくない。慢性毒性はないとする根拠も『佐久の眼病』当時の反対論文を出してくる。
自分たちが責任もって、何かをやるということはないのです」

農薬は環境に残留するだけでない 私たちの体にも取り込まれている

 毒性ということでは ダイオキシンにも触れておきます。

 ダイオキシンは、ベトナム戦争時、アメリカ軍が対植物化学兵器として用いた「枯葉剤」に多量に含まれていた、ベトちゃんドクちゃんに代表されるような催奇形性のある、毒性の強い物質です。その他にも発ガン性、生殖系障害、免疫毒性、肝毒性などがわかっています。また、分解しにくいため、長期にわたって環境に残留します。

 ダイオキシンは2個のベンゼン核と2個の酸素から成る化合物の総称で、塩素のくっつく位置で塩化ダイオキシンと塩化ジベンゾフランとに大きく分かれます。

 また塩化ダイオキシンに75種、塩化ジベン、ゾフランに135種の異性体があります。

 ダイオキシンは農薬の不純物として含まれるもので、中でも最も毒件が強いとされるのが2、3、7、8−四塩化ダイオキシンです。ベトナム戦争時の枯葉剤にも含まれていました。

 日本では、水田などで多く使われたクロルニトロフェン(CNP)に含まれる1、3、6、8−塩化ダイオキシン、1、3、7、9−塩化ダイオキシンが多くの環境汚染をひきおこしています。しかも環境に残留しているだけでなく、母乳や人体からも検出され問題になっています。また農薬の中には、明らかではないもののダイオキシンの含有が疑われているものや、有機塩素系のように加熱することでダイオキシン類が新たに生成されるものなどもあります。これらも含め、農作物などをとおして、私たちは少しずつ体内に取り込んでいる可能性が高いのです。体内に取り込むということでは、BHCやDDTなどの有機塩素系も長期にわたって環境中に残留します。

 しかも、母乳や人体から、多くの検出例があります。

 ‘70年ころピークをむかえた餌づけザルの奇形の発生原因としても、死亡したサルの肝臓や腎臓から有機塩素系の農薬が検出され、奇形との関連性が問題になりました。サルの場合、BHCやDDTの残留数値は低かったのですが、ディルドリンやヘプタクロルといった農薬の残留値が高かったそうです。

 BHCは’71年12月、DDTは’71年5月、ディルドリンは’73年8月、へプタクロルは’72年8月に、それぞれ農薬登録を失効しますが、このころから奇形ザルは激減しています。

 農薬の犠牲になるのは、農業に従事する人だけではありません。環境を共有するすべての生物が、汚染され破壊されていくのです。私たちは、その答えがでる前に、自分や家族を人体実験にしていることをやめなければなりません。

 そうすることで子孫に及ぶかもしれない危険性を最小限にくいとめるのです。

 私たちは、そのことをもう一度確認するために、農作物に、いかに危険な農薬が残留しているかをみてみましょう。

コラム 各農作物に掲載している「残留していた主な農薬」の見方

 国内農作物については’88年度から’93年度、輸入農作物および国産低農薬農作物については’89年度から’93年度にかけて、また輸入農作物の防ばい剤については’93年度から’94年度にかけて、東京都が行った残留農薬検査の結果に基づいて、編集部で作成しました。

 検査時の検査対象品目、検査農薬はすべてが同じ条件ではありませんが、最近の傾向を知るうえで役に立つと判断し、残留農薬が検出されたものを列挙しました。検出値については、複数値あるものについては最大値を掲載しました。

 慢性毒性については、急性毒性以外のものという意味です。長期間摂取することによっておこるとされる最も危険な状態を掲載しました。複数判明しているものもありますが、省略しました。

 防ばい剤については、日本では食品添加物あつかいですが、ポストハーベスト農薬であることには違いありませんので、農薬として掲載しました。

 なお、本文中では表の内容にふれていない場合もあります。

・発ガン性
   発ガンの可能性があると判断されたもの

・神経毒性
   神経系に障害を与えると判断されたもの

・染色体異常
   染色体の数や構造に変化がおこると判断されたもの
   催奇形性などの原因のひとつ

・遺伝毒性
   遺伝情報を伝える染色体が傷つくと判断されたもの
   農薬を摂取した親でなく、その子孫に異常が現れる

・催奇形性
   胎児や産まれた子に骨格や内臓などの奇形がおこると判断されたもの

・?
   慢性毒性によって、どういった状態に至るかがハッキリしないということで、
   慢性毒性が認められない、というのではない

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★これだけは避けたい!!  国産農作物10種 

小宅 順一(こわか・じゆんいち)

食品評論家。「何年か前だと、残留農薬の検査といったって、検査しなきやいけない農薬に2つか3つしか的があってなかった時代がある。もっと前だと丸々、的をはずしてるデータもある。丸々はずせば全部シロだから、肝心の農薬なんかでてこない」。日本の残留農薬 基準の見直しをせまる運動にも取り組む、ポストハーベスト問題の第l人者。だけではない、食品や暮らしにひそむ化学物質の安全性についても、子孫を守るという観点で、テスト・調査を行う日本子孫基金の月刊誌「食品と暮らしの安全」編集長。

短期間で消える農薬も長期間残留するものもある

 作物に散布された農薬の30〜80%は、短期間に消失するといわれています。日本の場合、収穫後に農薬を使用することは、原則的に認められていませんから、ポストハーベスト農薬(収穫後に、作物の品質保持を目的として農薬を使用すること)が認められている外国の農産物より安全かもしれません。

 しかし、国内流通は外国からの輸入ほど日数を必要とせず、農作物を産地から食卓へと運ぶわけですから、農薬の残留という点からいえば、生鮮食品の安全性は決して安心できるものではないでしょう。

 短期間で消失した後に残る農薬については、消失速度が遅くなります。

 これを消失速度が安定化するといいますが、この安定化の時期は農作物と農薬によって決まるようで、農作物に付着した農薬の量には、あまり関係がないとされています。たと
え数量の付着であっても、安定化してからの農薬の残留は長期にわたるということです。

 特に鮮度を要求される葉ものの野菜類は、収穫ぎりぎりまで害虫から守るための農薬散布などが行われます。

 「葉ものなどの野菜は、外に開いているから、上から直接、収穫直前までかける農薬は、当然残留しやすい」
と、小若順一氏(食品評論家)は、葉野菜への農薬残留の高さを指摘しています。

 「オオバやパセリなど、しょっちゅう摘むものは、出荷1か月前ということで農薬をやめてしまえば、1か月で虫にくわれてしまう」

 つまり、新芽が出れば農薬をかけて害虫から守らないと、商品にならないということです。

 国産の農作物の場合、特に注意したいのは生鮮野菜です。特に葉もの、ナマで食べるものは、できるだけ無農薬のものを選びましょう。付着した農薬は、水洗いだけでも落ちるのでは、と思われるかもしれません。たしかに、ある程度は落とすことの できる農薬もありますが、たとえば有機リン系のピリミホスメチルは、水に溶けにくいとされています。この農薬が残留している農作物を食べれば、まちがいなく体内に取り込むことになるわけです。ピリミホスメチルは神経毒性があるとされています。

 問題は付着した農薬だけではありません。農作物に吸収され、残留している農薬も、かなりの数にのぼります。

 そのほとんどは、たとえ微量であっても、長期的に体内に取り込むことで、どんな影響があるかといった慢性中毒についての検査は行われていないのです。動物実験などで発ガ
ン性や催奇形性が認められているにもかかわらず、使われています。

 代表的な、これだけは避けたい農作物を10種類選んでみました。残留農薬の危険性を再確認してください。

1 残留農薬野菜の王様!? セロリ

1本で1日の摂取許容量のなんと10倍も残留していたケースもある

 野菜のなかでは最も農薬汚染されているのではないかといわれるくらい、複数の農薬が一検体から同時に検出されるケースが多いようです。

 発ガン性のあるクロロタロニルがなんと27ppmという、信じられない濃度で残留していたものもあります。クロロタロニルのADI(1日の摂取許容量)は0.03ミリグラムです。体重50キロの女性なら、ADIは1.5ミリグラムです。セロリ1グラムにクロロタロニルは0・027ミリグラム含まれていますから、56グラムでADIをオーバーします。

 葉つきのセロリ1本が約130グラムですから、ダイエットだといって茎はナマで葉はスープの具にして1本丸ごと食べたとすると、それだけでADIの2.3倍を摂取したことになります。10キロの子どもなら、セロリ12グラムでADIオーバーしますから、1本丸ごと食べたとすると、ADIの10倍を摂取したことになり、まさに恐るべき検出値だといえます。

 その他に、水に溶けにくい有機リン系の殺虫剤プロチオホスが4.7ppm検出されています。セロリの残留基準はありませんが、同じように水洗い程度で食べるイチゴの残留基準が0.3ppmですから、高濃度の残留といえるでしょう。

 しかもプロチオホスは水に溶けにくいだけではありません。ダイオキシンを含有している疑いを持たれている農薬でもあります。

 セロリはなぜ、複数の農薬が同時に残留しやすいのかは、まだはっきりとした原因はわかっていません。しかし、神経毒性のある有機リン系の殺虫剤EPNは、同じく有機リン
系の殺虫剤で発ガン性の疑いのあるマラチオンとの複合剤(2つ以上の主成分を混ぜ合わせた商品)では、その毒性が倍加することがわかっています。相乗効果といわれるもので
す。

 EPNが検出されたのとは別の検体ですが、1.6ppmのマラチオンが検出されたものもあり、複合剤としてばかりではなく、何らかの形でEPNとマラチオンが同時残留する可能性は十分にあるわけです。検出されないまでも、一方、あるいは両方が検査機器の性能等で検出限界以下の超微量残留ということも考えられます。相乗効果ということであれば、それぞれがたとえ微量であったとしても、注意しすぎることはありません。

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2 世帯あたり購入量からも要注意 キュウリ

失効農薬が高濃度で残留慢性毒性が心配

 生鮮野菜で5番目に年間購入量(世帯あたり)の多いのがキュウリです(果菜類ではトップ)。’93年の世帯あたり年間購入量は1万2251グラムで、約200本になります。

 ダイコン(約2万グラム)、キャベツ(約1万8000グラム)、タマネギ(約1万7000グラム)、ジャガイモ(約1万6000グラム)に次ぐものですが、この上位5種類の中で最も注意したいのがキュウリです。

 特にハウスものに残留が多いようです。色形ともに均一化され、まっすぐなのがあたりまえだと思っているキュウリ。品種の改良と徹底した見た目の追求で生まれた、質より外
見重視の現代野菜の中でも群を抜く出来ばえではないでしょうか。ではあっても、農薬の残留はいただけません。ハウスでは殺菌効果のある紫外線にあたることが少ないために、どうしても農薬にたよらざるをえません。

 ウリ類は、落花生やニンジン同様、有機塩素系の農薬が残留しやすいといわれています。有機塩素系の農薬は、一般的に分解されにくいため、長期にわたって土壌に残留され、問題になっています。

 BHCやDDT、ドリン剤など、すでに失効しているにもかかわらず、いまだに検出例があります。その分解されにくい塩素系を吸収しやすいということは、それを食べる人間にも蓄積されるということで、要注意です。

 発ガン性のある有機塩素系の殺菌剤クロロタロニルに残留基準はありませんが、野菜の登録保留基準1ppmに対して2ppm検出されたものもあります。高濃度の残留といえます。

 少し古いデータですが’85年ころ、キュウリからエンドリンが0.03ppm検出されました。ADI(1日の摂取許容量)は0・0002ミリグラムです。体重20キロの子供のADIは0・004ミリグラムです。キュウリ1グラムあたり0・00003ミリグラムのエンドリンを含んでいますから、キュウリ134グラムでADIをオーバーすることになります。大きめのキュウリ2本分です。

 毎日キュウリを2本も食べ続ける人はいないかもしれませんが、エンドリンの残留基準は不検出、つまり検出限界値未満でなければなりません。

 エンドリンをはじめとする、アルドリン、ディルドリンなどドリン剤の検出限界は0・005ppmですから、0・03ppmは6倍以上の高濃度検出ということです。しかもエンドリンは殺ソ剤が’73年、殺虫剤が’75年に農薬登録を失効していますから、10年たっての残留値としては驚くべき濃度だといえます。

 キュウリに限ったことではありませんが、失効されたといっても長期間土壌に残留し、そこで作られる農作物を食べてきた当時の子ども達が子どもを産み、孫をみる過程で、私
たちは身をもって、農薬の慢性毒性の諸症状を体験することになるのでしょうか。

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3 農薬の使用回数が多い生鮮果実 リンゴ

殺菌剤1位。殺虫剤は2位。農薬なしには育たない

 リンゴは1シーズンの栽培で農薬の使用回数が非常に多い果物です。それだけに農薬の種類も豊富で、殺虫剤はカンキツ類に使われる138剤に次ぐ103剤、殺菌剤は日本ナシと同じ77剤でトップです。

 ‘94年度の栽培面積は5万1200ha。病害虫の延防除面積は総計202万2071haですから、単純計算すると栽培面積の約40倍の地域に農薬を使用したことになります。

 果樹の栽培面積が最も広いカンキツ類(ミカンやナツミカン)は7万8640ha。

 病害虫の延防除面積は総計82万3015haで、栽培面積の約10倍ですから、リンゴの農薬使用回数がいかに多いかがわかります。

 世帯あたりの年間購入量はミカンがトップ(’93年は2万4082グラム)ですが、農薬の使用という点からはリンゴに注意したほうがいいようです。

 (リンゴの世帯あたり年間購入量は、’93年で1万9350グラムで、生鮮果実ではミカンに次ぐ量です)

 東京都の検査では、染色体異常をおこすといわれるダイアジノンが検出されていますが、果肉部からは発ガン性、催奇形性のあるETU(エチレンチオウレア)が0・077ppm検出されたものもあります。

 ETUは発ガン性が非常に高いとされるジネブなどエチレンビスジチオカーバメイト系の殺菌剤に関連する化合物で、不純物として含まれていたり、農薬の保管中に分解生成したり、加熱調理で、農作物に残留した農薬から新たに生成したりします。

 この検体の場合も、収穫直後より、28日後のほうが濃度が高まったということです。

 有機塩素系としては、発ガン性のある殺菌剤カブタホール、キャプタン、殺虫剤ジコホールなど、有機リン系としては、変異原性のある殺虫剤クロルビリホスも検出されていま
す。

 最近はリンゴ・ダイエットに挑戦しているという方も多いようです。リンゴ以外は一切食べず、リンゴだけは好きなだけ食べるというダイエット法だそうですが、日ごろよりも
リンゴを多く食べるわけです。

 農薬のとりすぎにも注意して、安心できるリンゴ選びを忘れないでください。

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4 基準をはるかに超える ミツバ

登録保留基準の8倍も検出されて″安全″とは?

 東京都で実施した残留農薬検査でも、葉ものの生鮮野菜に、基準を超えるものがいくつかあります。ミツバもそのひとつです。イプロジオンの14ppmは残留基準5ppmの約3倍、当然販売禁止のはずですが、検出当時ミツバにはイプロジオンの残留基準は設定されていませんでした。

 野菜の登録保留基準ppmはありましたがその基準を超えたからといって罰則規定があるわけではありません。発ガン性のあるイプロジオンが高濃度に残留したミツバは、なんの問題もなかったかのように、私たちの食卓にのぼったのでしょう。

 現在も残留基準のないプロシミドンは、検出値16ppm。野菜の登録保留基準2ppmの8倍です。同じくクロロタロニルは、検出値3.5ppm。野菜の登録保留基準1ppmの3.5倍。いずれも発ガン性のある農薬ですが、私たちが食べるには問題なし、ということになるのです。

 登録保留基準は、環境庁が農薬取締法に基づいて設定したもので、メーカーが農薬を登録するときに、その農薬の適用方法(対象作物、使用時期、散布量など)との兼ねあいで
意味があるものです。残留基準と同じようにADIよりも低く設定されるということでは″目安″にはなるかもしれませんが、私たちの食の安全を守るということでは、罰則規定
がない分、″無用の長物″ではないでしょうか。

 高濃度残留ということでは、有機塩素系の殺菌剤ピンクロブリンが検出値37ppmというのがあります。野菜の登録保留基準5ppmの7.4倍。ピンクロゾリンは、ニトロソアミン類
による発ガン性を促進するというジクロゾリンと化学構造が類似していることが気になるといわれる農薬です。ニトロソアミン類は、食品添加物の亜硝酸塩を用いた食肉加工品、
魚介類、ビールなどからも検出されています。

 「ミツバのおひたしでビールを一杯」が胃ガンを促進、ということでなければいいのですが……。

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5 食べる量は少しでも安心できない オオバ

農薬散布直後の三倍濃度もあるものが出回っているとは

 高濃度、複合残留ということではセロリと並ぶ検出結果が目白押しのオオバ。とても料理のわき役だとは思えません。残留農薬基準設定されていない農作物ということも影響し
ているのではないでしょうか。

 発ガン性のある殺菌剤プロシミドンは、検出値28ppm。野菜の登録保留基準2ppmの14倍。発ガン性の疑いがあるBPMCは、検出値1.2ppm。野菜の登録保留基準0.3ppmの4倍。

 その他に、発ガン性のある有機塩素系の殺菌剤イプロジオンが13ppm(パセリなどの残留農薬基準は5ppm)、ダイオキシンを含有している疑いのある有機リン系の水に溶けにく
い殺虫剤プロチオポスが19.5ppm(ハクサイの残留農薬基準は0・1ppm)検出されています。

 10ppmという数値は、農薬を散布した直後の濃度だということです。だとすると短期間に何度も農薬が散布された結果ということなのでしょうか。28ppmという数値は、まるでオオバを天ぷらにする際つける小麦粉のような量の農薬だといえます。とても食べ物とは考えたくありません。

一時に収穫するのではなく、成長したものだけを何回かに分けて収穫するスタイルのものは、収穫期が遅ければ遅いほど高濃度の農薬残留が心配です。しかし、旬さえなくなっ
た家庭にあって、収穫時期などわかるはずもありません。こういったスタイルの農薬作物は、すべて避けたほうがいいでしょう。

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6 約18倍の発ガン性農薬を検出 パセリ

農薬の残留効果が長くて不安ぜひ完全無農薬の自家製を

 成長したものから収穫していくスタイルはオオバと同じですが、残留農薬という点でも同じように群を抜くものがあります。

 発ガン性のあるPCNBは検出値1.4ppm。残留基準はなく、野菜の登録保留基準0.08ppmの17.5倍。クロロタロニルは検出値15ppm(こちらも発ガン性があります)。野菜の登
録保留基準1ppmの15倍です。

 パセリは香りもよく、洋食のつけ合わせなどに重宝ですが、庭先やプランター、鉢などちょっとしたスペースがあれば簡単につくれます。手間もほとんどかかりません。

 農薬の心配をしなければならないものをわざわざ買うより、完全無農薬の自家製で料理をひきたててください。

 その他の検出例としては、変異原性のある有機リン系の殺虫剤エチルチオメトンの0.02ppmなどがあります。エチルチオメトンは作物への浸透移行性が強く、土壌施用では根から吸収されて茎や葉に移行します。また散布すると、葉からも吸収移行し、残留効果の長い農薬です。使用上の注意に、エチルチオメトンを使ったダイコンの間引き菜は、食用や飼料にしないように、というのもあります。

 パセリは、いってみれば間引き莱ふうに商品化されている野菜のようなものです。恐ろしい!!

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7 ダイオキシン含有の恐れ シュンギク

残留基準がないために高濃度農薬野菜が食卓に

 いろいろな農薬が検出されています。ダイオキシン含有の恐れがあり、水に溶けにくい有機リン系の殺虫剤プロチオホスは7.4ppmの高濃度で検出されています。残留基準はあり
ませんが、ハクサイの残留基準0.1ppmのなんと74倍(野菜の登録保留基準も0.1ppm)。残留基準がないからといって許される数値なんでしょうか。

 アメリカで非常に発ガン性が高いとされる殺菌剤カプタホールは検出値4.5ppm。これも残留基準はありません。ダイコンやキャベツの残留基準0.1ppmとくらべると、4.5倍になります。やはり高濃度残留といえるでしょう。

 その他にも、発ガン性のある有機塩素系の殺菌剤PCNB、変異原性のある有機リン系殺虫剤クロルフェンビンホス、フェニトロチオン、同じく有機リン系の殺虫剤で染色体異常のあるダイアジノンなどが検出されています。

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8 ビタミンCより残留農薬が豊富? ピーマン

中身が空っぽの人気者も残留農薬はよく詰まっている

 栄養価が高く、ビタミンCも豊富なので、緑黄色野菜の王様ともいわれています。そのため、ピーマン嫌いの子供にも無理して食べさせる親は多いのですが……。

 有機リン系の殺虫剤EPNは残留基準値を検出したものもあります。ダイオキシンの含有が恐れられている、水に溶けにくい有機リン系の殺虫剤プロチオホスは3.97ppm検出さ
れています。残留基準はなく、野菜の登録保留基準0.1ppmの約40倍です。同じく有機リン系の殺虫剤ホサロンは検出値0.88。残留基準はスイカに0.1ppmとあるだけです。比べると約9倍。高濃度残留です。

 ピーマンは油によく合い、色どりもきれいなので妙めものやサラダにもよく使われます。’93年の世帯あたり年間購入量は2385グラム。中身のないことの例えとしても使われ
るほど親しまれていますが、残留農薬ということでは要注意なほど詰まっているものも多いようです。

 せっかくの食事ですから、農薬の心配などしなくてもいい、栄養価や色どりなどで食材を選べるようにしたいものです。

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9 丸かじりなんて、もうできない トマト

加工品もミニトマトも長期残留で要注意

  夏の暑い昼さがり、井戸水でよく 冷やしたトマトにガブリー。田舎で すごした子どものころの思い出ですが、どんな果物にも負けない、おいしい野菜でした。もちろん露地もの。

 ミニトマトが勢いづいた10年前ころから、トマトの味はグンと落ちたように思えます。

 最近の子供たちは、カプリつくのはミニトマトで、でっかいトマトが実はカブリつきたいほどおいしいものだったことを知らないのではないでしょうか。

 トマトの収穫量は’92年で77万1700t。うちガラス室やハウスでの栽培分が50万7900tで全体の約66%をしめています。ガラス室やハウスでの栽培は年々増加傾向にあり、5年前の’87年が約53%ですから13ポイントも増加していることになります。

 直射日光を十分に浴びた、あのおいしいトマトは食べられなくなるのでしょうか。

 アメリカで、発ガン性が非常に高いとされるジネブなど、エチレンビスジチカーバメイト系の殺菌剤の不純物であり代謝物であるエチレンチオウレア(ETU)が0.12ppm検出
されています。またジネブが1.8ppm検出されています。

 ETUは収穫直後より、28日後のほうが濃度が高まったという検体例もあります。

 トマトの加工品にも注意が必要です。トマトピューレで、製造直後に検出されたETUの約60%が2年後も残留していたという例もあります。

 ETUは高温保存のほうが、その生成量は多いといわれていますが、 冷蔵保存中にETUが増加したとの報告もあり、いずれにしても長期残留の要注意物であることはまちがい ありません。

 ミニトマトはどうでしょう。有機リン系の殺虫剤フェントエートは検出値1.3ppm。残留基準はありません。野菜の登録保留基準0.1ppmの13倍です。

 子どものお弁当などでも、色どりとしてよく利用されています。摂取量をみてみましょう。フェントエートのADI(1日の摂取許容量)は0.0015ミリグラムですから、体重10キロの子供のADIは0.015ミリグラム。

 ミニトマト1グラム中にフェントエートは0.0013ミリグラムですから、12グラムでADIをオーバーします。ミニトマト1個が6グラム前後ですから、2個お弁当に入れてやるのと同じ量です。これはかなり危険な数値です。

 トマトの丸かじりなんて、とてもとても、子どもにすすめられたものではありません。

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10 水洗いだけで大丈夫なの? レタス

子どものファンが多くなった生野菜の代表もやっぱり危険

 サッと水洗いして、サラダやサンドイッチに使うことの多いレタスですが、水に溶けにくい、しかもダイオキシン含有の恐れがある有機リン系の殺虫剤プロチオホスが0.72ppm
検出されています。

 野菜の登録保留基準0.1ppmの約7倍の残留値です。

 発ガン性のある有機塩素系の殺菌剤クロロタロニルは検出値1.6ppmですが、他の検体では8ppmを検出したものもあります。

 残留基準はなく、野菜の登録保留基準が1ppmです。

 複数の農薬が同時に残留しているケースも多いようです。有機塩素系の殺菌剤PCNBと、その不純物で発ガン性、催奇形性のあるヘキサクロロベンゼン。

 発ガン性のあるクロロタロニルと、同じく有機塩素系の殺菌剤イプロジオン、不純物としてダイオキシンを含有するクロルニトロフェンなどです。

 無味無臭で栄養価が低い(本物の味、香り、栄養価を知らないだけかもしれませんが)といわれながらも、適度な歯ごたえが受けてか抵抗なく食べられる生野菜として子どもの口に入る機会も多いと思います。サッとの水洗いをしっかり水洗いしたところで、問題の解決にはならないでしょう。やはり安心できるものを選ぶことが大切です。

 ‘93年の世帯あたり年間購入量は、5263グラムです。

★ポストハーベスト農薬が怖い!! 輸入農作物10種

50%に迫る勢いの果物の輸入依存 生鮮食品の安全性は特に気になる

 ‘93年度に私たちの食卓にのぼった食品の約63%は輸入されたものでした。カロリーベースでの話ですが、輸入食品への依存度は年々高くなる一方です。特に小麦や豆類は90%以
上を輸入に頼っています。それに迫る勢いで果物の輸入が急激に増えています。

 ‘80年度はまだ20%を切っていた果物の輸入依存度も、’90年度には35%を超え、’93年度では45%を超えています。

 私たちの食生活は、ガット・ウルグアイラウンド合意にみられるように、国際的ハーモニゼーションという市場開放へ向かう大きなうねりの中で、ますます輸入食品への依存度を高めています。

 輸入食品の安全性は確保されているのでしょうか。水際でのチェック体制は十分なのでしょうか。特に生鮮食品の安全性が気になります。

 日本に輸入される食品などは、すべて厚生大臣に届け出することが義務づけられています。日本の動植物に害をおよぼす危険がないかどうか、検疫の必要なものは農林省の動物検疫所、植物防疫所で検査されてから、人間にとって安全かどうかの検査をする厚生省の検疫所に回ります。

 ‘95年時点で、厚生省に届け出のあった輸入食品などは、総数96万3359件です。人間にとっての安全性をチェックするのですから、当然すべて検査するものと思いますが、実際には大半が書類審査だけで、国内に流通することになります。この中には、厚生大臣の指定機関による検査(’95年時は7万4619件で届出件数の7・7%)、輸出国の公的検査機関による検査(’95年時は2万1252件で届出件数の2・2%)も含まれています。いわゆる自主検査ですが、これらも厚生省ではその検査の成績を書類審査するわけですから、厚生省の検疫所で現場検査を受けるのは、ごくわずかです。’95年時で検疫所の検査を受けたのは4万8446件(届出件数の5%)ですがこちらも大半は検疫所の調査事項に違反していないかどうかの審査だけですみます。

 現場検査も、異臭がしないか、腐っていないか、カビがはえていないかなど食品衛生監視員″経験″と″カン″による官能検査が主となります。サンプリングしての試験検査は、約4万8000件のうち「1.8%くらい」(厚生省の話)だそうです。総届出件数の0.09%!!

食品衛生監視員の検査負担件数は増え続ける一方で安全といえるか

 農林水産省による検疫はすべて検査され、書類だけでパスするということはありません。日本の動植物に危害を加えるかどうかも大切ですが、人間にとって安全かどうかはもっと大切なことです。せめて農林水産省なみの検査システムにならないものかとも思います。

 厚生省の検疫所で、食品衛生法に基づく検査を行っている食品衛生監視員は209人。とても全部を検査できる数ではありません。検疫所の検査分だけでも単純計算で、1人あたり232件を検査するわけです(’93年時)。食品衛生監視員の数は少しずつ増えていますが、それ以上に輸入される食品等は増えています。

l人あたりの検査数(単純計算での)も増え続けています。

収穫後の農薬使用は日本では禁止。世界中では約80品目が使われている

 輸入される食品のほとんどは、輸出国の出荷業者等によってポストハーベストされています。

 ポストハーベストとは「ポスト(後)ハーベスト(収穫)アプリケーション(使用)」の略で、商品価値を長期間維持するため、収穫後にほどこされる、さまざまな処置のことを 意味します。

 温度や湿度、ガスなど、保存、あるいは輸送時の管理から、放射線の照射農薬の使用などがそうです。

 その中で特に注意したいのは、発ガン性や催奇形性、あるいは染色体異常などが問題となっている農薬が、ポストハーベストとして使われていることです。

 日本では、収穫後の農作物に農薬を使うことは原則としてできないことになっています。しかし、外国では多くの国で収穫後の農作物への農薬使用(ポストハーベスト農薬)が認められているのです。

 ポストハーベスト農薬は、アメリカで約60品目が許可され、世界中では約80品目が使用されているといわれています。

輸入食品には殺虫剤が食品添加物と同じように使われている!!

「農薬が添加物と同じように使われていることがいちばん危ない。もちろん食品を、食中毒をおこすようなあつかいはしないということが前提条件だが、そのことさえなければ、今はポストハーベスト農薬がいちばん危ない」

 ポストハーベスト農薬問題にも精力的に取り組んでいる小若順一氏(食品評論家)は、その危険性を指摘します。

 「ポストハーベスト農薬の問題点のひとつは、殺虫剤が虫が死ぬレベルで食品に残留することを認めていることです。食品添加物では、殺虫剤は許可されていません。

 食品添加物の中で毒性の強いものは殺菌剤や保存料。殺虫剤は一般に これらよりはるかに毒性が強いから、食品添加物として絶対に認められないものです。

 ところが、輸入食品には殺虫剤が食品添加物と同じように使われている」

 日本でポストハーベスト農薬が認められていないといっても、それはあくまで日本の法律の話で、諸外国から入ってくるものに適用されるとのではありません。

 「収穫前に使用する、いわゆるプレハーベスト農薬にくらべると、ポストハーベスト農薬は果物で数十倍から数百倍は残る。穀物だと数千倍から数万倍は残る」

 食品衛生法に基づいて厚生省が設定している残留農薬基準は、基本的には国内で使用が認められている農薬、国内で生産される農作物を対象としたものです。輸入される食品、農作物にどんなプレハーベスト農薬、ポストハーベスト農薬が使われているかを把握したうえで、それらの農薬の残留をチェックするためのものではないのです。しかも残留基準が設定されていない農薬、農作物については野放しなわけですから、いくら残留基準にのっとった検査をやっても、的はずれなものも多いわけです。

 厚生省では「西暦2000年までに、残留農薬基準設定農薬数を200にしたい」としています。農薬は増えています。それでも’95年時点の国内で認められている農薬(有効成分)数482の半分にも満たないことも問題ですが、輸入食品に関していえば、ポストハーベスト農薬のチェック体制を、的を射た形でつくることではないでしょうか。それが確立されないかぎり、輸入食品は危ない!!といえます。しかも、「国内では原則としてポストハーベスト農薬は認められていないので、国産よりも輸入食品のほうが、危ない」(小若氏)ということになるのではないでしょうか。

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1 食品添加物として農薬使用 レモン

食品添加物として認可された農薬、中には日本で登録失効したものも

 『厚生省認可 防ばい剤OPP−Na、JBZ、ジフェニル含有イマザリル使用』
レモンの入ったビニール袋には、こういった文字が小さくプリントされていることがあります。防ばい剤というのは、カビ防止のために使用する薬剤のことです。カビ防止は結
構かもしれませんが、そこに列記されている薬剤はすべて農薬なのです(日本では農薬登録されていませんから、日本では農薬としては使えないだけです。OPPだけは’69年に登録を失効するまで農薬として使われていました)。

 日本ではポストハーベスト農薬は禁止されていても、形を変えて使うことが認められているのです。

 ‘71年に食品添加物としてジフェニルが認可されましたが、食品に直接添加することは禁じられています。しかし’77年、アメリカの強い要求に屈する形で食品添加物として許可さ
れたOPPとOPP−Naは食品への直接使用が認められています。その後、TBZ、イマザリルと、直接使用のできる農薬が食品添加物として認可されたのです(いずれも防ばい剤としてです)。

 これらは混合して使用されることも多く、毒性の相加、相乗作用も気になるところです。わかっているものとしては、OPP−Naによるラットのぼうこうガンの発現を増強する働きがTBZにはあります。

 紅茶に浮かせたレモンに付着しているOPPは30秒で約22%が、またTBZは30秒で約82%が紅茶中に溶けでるという報告もあります。

 私たちには、より身近な食品添加物という形で、残留農薬の危険にさらされているわけです。

「厚生省が認可したから使っているんだ。文句があるなら、厚生省にいってくれ」
最初にあげたビニール袋のプリント文字からは、まるで食品の安全管理は、すべて厚生省の責任だといいたげな業者の声が聞こえてくるようです。防ばい剤5種は、食品添加物ではなく、まさに商品としてしか食品をみていない業者の姿勢を象徴する、責任転嫁物と いえないでしょうか。

レモン半個分でADIをオーバー。基準そのものも、あまくないのか

 染色体異常をおこすジフェニルが、果肉部で126脚ppm出されたものもあります。ADI (1日の摂取許容量)は0.125ミリグラムですから、体重50キロの女性のADIは6.25ミリグラム。レモン1グラムにジフェニルは0.126ミリグラム含まれていますから、50グラムでADIをオーバーします。レモン1個が約100グラムですから、半分でオーバーということです。基準値70ppmでも、レモン90グラムでオーバーですから、基準値じたいあまいのではないでしょうか。

 ジフェニルが残留するレモンなどを、次亜塩素酸塩(モヤシなどの漂白や消毒にも使われるが、その際に発ガン性のあるクロロホルムが生成したとの報告もあります)で消毒処
理すると、PCB(カネミ油症事件の原因物質)ができる恐れもあるといわれています。輸入生鮮果物としては5番目に多いレモンは、そのほとんどがアメリカ産です。

 アメリカで収穫されたレモンが、どのような処理をされて日本に出荷されているのか、ポストハーベスト農薬の実態調査をアメリカでも行っている小若順一氏(食品評論家)が
実際にみたものが下の図です。

 ここで注目しなければいけないのは、2、4−Dが鮮度保持の名目で使われていることです。東京都の検査でも検出されていますが、2、4−Dはベトナム戦争で最も多く使われた枯葉剤です。枯葉剤は7200万リットル(ドラムカン40万本分)が散布され、ベトちゃんドクちゃんに象徴される大惨劇は、いまだにその傷あとを残したままです。その2、4−Dが食品に使われている!!しかも、ワックスに混ぜこんで使うのは、2、4−Dがよく浸透するためなのです。

 べ卜ちゃんドクちゃんは癒合体多生児でしたが、ベトナムの病院には同じ症状の死産児の標本が数多くあるそうです。2、4−Dにも含有されているダイオキシンの怖さ。私たちは、たとえ微量だからといっても安心はできません。悲劇がおきてからでは遅いのです。いえ、もう始まっているのかもしれませんが、今私たちができることは、「疑わしいもの
は避ける」ということです。

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2 学校給食のパンは大丈夫か 小麦

10年は害虫がつかないと自慢する強力殺虫剤がポストハーベストに

 小麦は約90%を輸入に頼っています。検査結果では、ポストハーベスト使用されたと思われる農薬の検出が目だつようです。しかも小麦粉や加工されたパンやメン類でも、かなりの残留値で検出されています。

 アメリカの場合、小麦に最も多く使われるポストハーベスト農薬はクロルビリホスメチルです。有効期間は、高温多湿地で9〜16か月、乾燥地で18〜24か月といわれますが、実
際には「小麦に混ぜこんで8年間、野積みして貯蔵したが品質は素晴らしかった」「10年間は害虫がつかないことになっている」と、使用者の声があるほど強力な残留効果があるようです。日本に残留基準はありません。

 小麦粉の場合、外皮に近い部分を使ったものは色も白くなく廉価で取り引きされます。学校給食で食べられているパンの大半はこの部分の小麦粉で作られていますが、この部分
はポストハーベスト農薬が高濃度で残留しやすい部分でもあるのです。

 食品や暮らしにひそむ化学分質の安全性についてのテスト・調査活動を行っている市民団体・日本子孫基金が実施した、学校給食パンの残留農薬検査(検査年は’93年と’95年)の結果をみると、190検体中155検体(82%)から残留農薬を検出しています。検体は全国43の都道府県から集められたもので、そのうちの32%(60検体)は、検出濃度の合計
値が花粉症の症状をひどくする最低濃度といわれる0.01ppmを超えていました。

パン給食では、健康障害をおこす量の20倍もの農薬を子どもが食べる

「空気1立方メートル中に20〜30ナノグラム(ナノグラムは10億分の1グラム)の有機リン系殺虫剤が漂っていると、健康障害をおこします。1日に1人だいたい20立方メートルくらいの空気を吸っています。学校給食パンの残留農薬は、1日に空気から取り込むのと同じくらいになってしまうのです」(北里大学眼科学教室・富田幹夫教授)

 つまり健康障害をおこす量の約20倍の農薬を、子どもたちは1回のパン給食で食べさせられているということです。

 小麦は製粉され、パン以外にもメン類、お菓子など、いろんな加工品となって私たちの口に入ってきます。それだけ小麦をとおしての農薬摂取の可能性は高いということです。若者を中心とした米離れの傾向は、慢性毒性といった面からも問題があるようです。

 フェニトロチオン7.57ppm、マラチオン9.12ppmという検出例があります。残留基準はそれぞれ10ppm、8.2ppmですから、いずれも基準値以下です。しかしおかしなことがあ
ります。米の基準値はフェニトロチオン0.2ppm、マラチオン0.1ppmです。私たちの主食・米に代わるポスト米の筆頭は、やはり小麦を素材とする加工品でしょう。その小麦の基準値が、こんなに開きがあっていいものでしょうか。

 フェニトロチオンで50倍、マラチオンでは80倍です。米の残留基準値で前出の検出値を判断すると、フェニトロチオンは約38倍、マラチオンは約91倍!!マラチオンの場合、小麦の国際規準から考えても約5倍も高濃度で残留していることになるのです。

 こういった理解に苦しむような基準値差というのは、他にも類似した食物どうし、摂取量の似た食物どうし間でいくつもみられます。たとえばフェニトロチオンとマラチオンでみれば、米の場合、摂取量の多い日本の基準のほうが難しく、これは納得できます。しかし小麦の場合、仮に日本は摂取量が少ないとの判断があるとすれば、フェニトロチオンの
基準値が同じというのは理解できません。

 結局、私たちはいくら基準値を超えていなければ安全だといわれても、納得のできる基準値でない限りは農薬が多少でも残留しているのかいないのかで安全かどうかを判断する
しかありません。

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3 マーマレードも危ない!? オレンジ

皮ごと加工するマーマレードなど農薬もいっしょに濃縮されている

輸入生鮮果実では3番目に多いオレンジ、年間16万5420t(’93年)のうち94%はアメリカからのものです。

 カンキツ類ですから、OPP、TBZなどは要注意ですが、ジュースやマーマレードなど皮ごと加工される製品について、特に注意しなければいけないようです。

 「オレンジの場合、農薬をかけ、選別して、傷のあるものや規格外のものはジュース用になる。皮ごとしぼるからジュースも危ない。当然、マーマレードなども、輸入原料を使ったものは危ない」 (小若順一氏)

 ポストハーベスト農薬の残留ということでは、当然果皮のほうが数値は高くなります。しかも、出荷処理の行程は殺菌シャワーなどで化粧を整える合間に、腐ったものや規格外
のものを選別していきますから、農薬の洗礼を受けないものは皆無です。最終段階でハネられたものほど化粧は濃いというわけです。

 外国産オレンジを原料としたマーマレードから、54ppmのTBZが検出されています。オレンジの残留基進は10ppmですから5.4倍。ADI(1日の摂取許容量)は0.05ミリグラム。体重20キロの子どものADTはlミリグラム。オレンジーグラム中にTBZは0.054ミリグラムですから21グラムのオレンジを使ったマーマレードを食べるとオーバーすることになります。

 煮つめることで濃度があがったもの、濃縮還元ジュースになっているものなどは特に避けたほうがいいでしょう。

 ‘93、オレンジジュースは年間6万912t輸入されています。

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4 ビタミンCより農薬が豊富!? グレープフルーツ

使用基準が70ppmというのは… 高濃度残留が認められている不思議

 グレープフルーツも、レモンやオレンジに負けず劣らずの残留農薬ぶりです。
染色体異常をおこす防ばい剤ジフェニルは果肉部で76.6ppm、果皮部は101.8ppmいうのがあります。

 ジフェニルは直接の使用は認められていません。貯蔵または運搬用の容器に、紙に浸して入れるという方法だけが認められています。

 薬品間の基準値の比較というのは単純にはできませんが、基準値70ppm(かなり残留していても安心なのか、という考え方はできます)、それでいて直接使用は認められていないのです(それほど毒性が強いのかと思えます)。

 劇毒区分はありませんが、ジフェニルが残留した果実を次亜塩素酸塩で消毒処理すると、PCBができる恐れがあります。

 次亜塩素酸塩はモヤシやゴボウなどの消毒時に、発ガン性のあるクロロホルムが生成したという報告のあるもの。PCBはカネミ油症事件の原因物質です。

 私たちは基準値に惑わされることなく、農薬を使用した食品は買わないようにしましょう。

 グレープフルーツの輸入量は、生鮮果実では2番目に多く(’93年は23万7489t)、全体の94%はアメリカ、残りはイスラエルや南アフリカなどから輸入しています。

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5 黄や黄緑の色鮮やかなものは危ない バナナ

殺菌プールと殺虫シャワーで鍛えられた「見た目美人」に注意

 ‘94年1月、東京都中央卸売市場に入荷したフィリピン産から、残留基準0.5ppmを超える殺菌剤ビテルタノールが検出されました。都はただちに輸入業者に違反バナナの回収を
指示したのですが、後の祭り。すでに販売されていて、回収はできませんでした。

 検出値オーバーも問題ですが、国内流通以前の水際でしっかりチェックされない限り、このような回収不可能といった事態は改善されません。

バナナは最も輸入量の多い果実で、年間91万3335t(’93年)。フィリピン、エクアドル、台湾などから輸入されています。世帯あたりの年間購入量でみても、ミカン、リンゴに
次ぐ堂々の3位です。

 バナナは栄養価も高く、消化がいいということで、子どもからお年寄りまで、幅広く親しまれています。病後の補助食にもします。ひと量刑は高嶺の花、そして今は廉価でおいしい手ごろな果物と、常に私たちの関心をひいています。しかし、愛されるバナナも例外ではありませんでした。イマザリル、TBZなど防ばい剤やポストハーベスト農薬で汚染されていたのです。

 バナナは本来、2〜3日で皮が黒ずみ始めることをご存じですか。店頭ではまずみかけません。黄や黄緑の色鮮やかな、いかにもみずみずしく新鮮そうな見た目美人を気どって います。

 つい買って、家に持ち帰っても、かなりの日数は美人を気どっていませんか。これらはほとんどが母国を出るとき、高濃度の殺菌プールや殺虫シャワーで厚化粧してきたのだと思ってまちがいありません。

 ビテルタノールは、発ガン性のある同系の殺菌剤トリアジメホンに似た特性があるので気になります。

 他に発ガン性のあるカーバメイト系の殺菌剤ベノミル、同じく発ガン性のある殺菌剤チオファネートメチルなどが検出されています。

 小若順一氏の現地調査によると、世界第2のバナナ輸出国コスタリカでは、水洗いのあと、約20メートルほどのベノミルのプールをゆっくり移動させながら殺菌していたそうです。

 また、日本が輸入するバナナを一番多く産出するフィリピンでは、水洗いの後、ベノミルのシャワーを浴びせていたそうです。

 ベノミルは、アメリカ最高裁で、加工品への使用が禁止されていますが、ベノミル中には催奇形性のあるカルベンダブールが不純物として含まれています。そればかりかベノミルは水分に出合うと簡単にカルベンダブールに変化します。

 発ガン性に催奇形性、そして変異原性……。こんなに厚化粧させられては、せっかくのバナナも″哀れ″なものです。

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6 購入3週間でもカビにくいくせもの イチゴ

鮮度を長く保つものほど残留濃度を疑う必要がある

 市民団体・日本子孫基金によると、輸入イチゴの残留農薬検査を行ったとき、検体以外を冷蔵庫で保存していた際、これらのイチゴは2週間たってもまったく傷まず、購入後24日目にして初めてカビが発生したそうです。検査されたイチゴからは0.9ppmのキャプタンが検出されており、「異常に長持ちしたのは、キャプタンが残留していたためではないか」と同基金。残留基準はありません。

 「国際基準が20ppmだから、それからするとかなり低いとも思えるが、傷みやすいイチゴが20日以上カビもはえず傷みもしなかったのは、高濃度残留といえるのではないか」(小若順一氏)

 イチゴは年間4260t(’94年)輸入されている。空から入ってくる生鮮果実としてはトップクラスで、輸入先は全体の95%がアメリカです。

 国産イチゴは年間20万t前後ですから、輸入割合(0.2%)でみると大した量ではありませんが、夏場の市販ケーキなどに使われるイチゴは、ほとんどが輸入品だという季節ものなのです。

 イチゴはカンキツ類と違って、水洗い程度でそのまま食べるのが主です。それだけ残留農薬が心配なのです。家庭ならまだしも、ケーキなどを販売する業者にとつては、水洗いすることで鮮度が急速に落ちることを嫌います。夏場のイチゴは要注意です。

 輸入チェリーなども同じです。水洗い程度でそのまま食べる食品は、すべて注意したほうがいいでしょう。

特に外食時は、信頼できない限り避けたほうがいいでしょう。

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7 そんなに食べてるの 冷凍ジャガイモ

冷凍野菜ではトップの輸入農作物 発ガン可能性では第3位にランク

 アメリカに「発ガンリスク」の研究報告(1987年)があります。それによれば、ジャガイモは3番目に発ガンリスクが高いとされています。1万人に5・21人。アメリカの国民2億4000万人では13万人、1年間に1900人が発ガンするリスクがあるそうです。

 発ガンリスクというのは、動物実験で得られた発ガン性の強さのデータをもとに、許容値の農薬が食事に残留していると仮定して、アメリカ人が普通の食事を一生(70年間)食べ続けた場合に発ガンする可能性を推定したものです。

 もっともこの研究はアメリカ人に対するものですが、輸入冷凍食品のトップがジャガイモであることを考えると、よその国の話ではすまされません。

 ‘94年の冷凍野菜輸入総量は45万8956tで、トップがジャガイモの17万5601t(約38%)で、生鮮野菜など含めた輸入野菜全体でも’93年まではトップでした(’94年は生鮮タマネギが約21万tでトップ)。

 「発ガンリスク」の研究報告は、発ガン性のある農薬28品目をベースに算出しています。

 それ以後も、発ガン性が認められる農薬は増え続けています。

 発ガンリスクのランクが変わることや、発ガンリスクの人数が変わることも当然あります。しかし、発ガン性の認められた農薬が増えたことで、農薬による発ガンリスクじたいは、より深刻なものとなっているわけです。

 0.96ppmの検出があったクロルプロファムは、貯蔵時の発芽防止を目的として、ポストハーベスト使用されています。

 そのせいかどうか、残留基準は50ppm。同じイモ類をはじめ他の農作物すべてが、クロルプロファムの基準値は0.05ppm。ジャガイモはなぜか他の1000倍のあまさで許されるのです。

 それだけ大量にクロルプロファムを使わなければ出荷できないということなのでしょうか。いずれにしても避けるにこしたことはなさそうです。

 アメリカ産からは、8.9、4.6、1.9ppmなどの検出例もあります。

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8 残留基準は何のためにあるのか オクラ

農薬が残留しやすい農作物だから安心できる業者のものを選びたい

 オクラに対しては51の農薬について残留基準が定められています。都の検査では9品目の農薬が検出されました。そのうち、残留基準のあるのはクロルピリポス(0.1ppm)だけです。

残留基準が設定されていないものについては法的拘束力はありませんから、フリーパス。私たちの感覚からすれば、人体に悪影響しかおよぼさない農薬ですから、基準を設けるのは、「そこまでは許せる残留」、基準を設けないのは、「残留してはいけない」と判断します。基準が設けられていないものが検出されれば当然、処分の対象ということです。社会のシステムはそうして成り立っているはずです。

 輸入されるものはすべて厚生大臣に届け出をしなければなりません。人間(この場合は日本に在住する人すべてといったほうがいいのかもしれません)に安全かどうかのチェックをする立場にあるわけです。

 輸入されるものがどういった農薬を使い、衛生管理されていたかを把握し、それにあった安全管理をなぜしないのでしょうか。その国その国で生活するうえでの尺度で違うからこそ、無理してひとつの尺度を計ろうとすることなど考えてはいけないことくらい、わかっているとは思いますが――。

 それぞれに固有の文化があり、生活があるからこそ、日本は日本で、他に合わせることがベストと考えるのではなく、日本の必要としているものを日本に合った形で受け入れる確固とした姿勢を持つべきではないでしょうか。

 生活の糧ではありますが、輸出入も含め商品としての流通が前提になっています。先に相手に何かを望むのではなく、自分たちで望んでいるものだけを受け入れるようにすれば、相手が日本に受け入れてもらえる商品開発に努めると思うのですが、どうでしょう。

 私たち消費者が、私たちにとって必要なもの、目にかなったものを買う努力をしていくことが、生産者の意識の向上と改善を少しでもうながしていくことに通じるのではないでしょうか。

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9 子どもも大好きだからこそ心配 キウイ

人気の農薬が突然製造中止ニューフェイスにも要注意

 ‘93年は4万7058t、生鮮果実では第5位の輸入量で、ニュージーランド産がほとんどです。色どり、味ともによく、ビタミンCも豊富なヘルシー感覚が受け、日本では急激に増えた輸入果実です。それだけに要注意!!

 ビンクロゾリンに残留基準はありません。慢性毒性では、すでに登録を失効(’74年)している殺菌剤ジクロゾリンと化学構造が似ている点が心配されています。ジクロゾリンは灰色カビ病に効くことで農家に人気のあった農薬でした。メーカーが突然製造を中止したのですが、毒性に問題があったからではないか、というのが大方の見方です。

 ジクロゾリンはニトロソアミン類による発ガン性を促進するとされています。ニトロソアミン類には、食品添加物の亜硝酸塩などがあります。

 最近は国産ものも増えています。ポストハーベスト農薬の心配ないものを選びましょう。

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10 おつまみもぜひ無農薬ものを 冷凍枝豆

毒性の強い農薬が多いのはなぜ? ビールのお供は安心できるものを

 これも季節ものといえるでしょう。夏場のビールのつまみは、まず枝豆から、という人も多いでしょう。いわゆる未成熟大豆ですが、輸入される冷凍野菜ではジャガイモに次いで第2位。’94年は5万6700tが輸入されました。そのほとんどは台湾からのもの(’94年は約4300t、全体の97%)です。

 検出された5品目のほとんどは毒性の強いとされるものでした。

 EPN――毒物
 エチオン――劇物
 パラチオン――特定毒物
 カルバリル――劇物

 唯一、クロルピリホスメチルだけが普通物ですが、これも変異原性が認められています。 この他にも、劇物で変異原性のある有機リン系殺虫剤クロルピリホスや、毒物で変異原性、神経毒性、骨格奇形などがある有機塩素系の殺虫剤ベンゾエピンなども検出されています。

 これだけ毒性の強い農薬が検出されているのをみると、現場で農作業や出荷作業に従事している人たちも大変だなと思います。食べる人間にとって安全なもの、品質のよいものといったことより、いかに商品としての価値の高いものにするかということでの農薬使用ですから、現場の人たちの体への影響も心配です。しかも、そういった毒性の強い農薬が残留しているわけですから、本来なら商品価値はない、といいきってもいいくらいです。

今年の夏はぜひ、冷たいビールと無農薬枝豆で一日の疲れをいやしてください。

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<番外・要チェック品>

★毎日食べても大丈夫なの 輸入米

緊急に輸入された冷夏のときの米36万tは農薬に汚染されていた!!

 ‘93年の冷夏は、私たちに自給率の低さと米の大切さをあらためて数えてくれました。「こんなに米が店頭から消えるの?」「政府は緊急時にそなえて古米を貯蔵してたんじゃない の?」といった声から、果ては「この機を利用して政府は米の自由化へ拍車をかけようとしてるのでは?」といった不信の声まであがったものです。そんな中、輸入された米は104万2000t(’93年)で、前年の11倍以上でした。

 いくら緊急であったとしても、食に対する安全チェックをおこたることは詐されません。 厚生省が実施した残留農薬の検査では、中国、アメリカ、オーストラリアの米から、殺虫剤や殺菌剤が検出されています。しかし、すべて残留基準を下回っているということで国内流通しました。実に36万tもの汚染米が入ってきたわけです。

 東京都が同時期に行った検査でも、中国、アメリカ、オーストラリアの米から農薬が検出されました。

 米は私たちにとって、まだまだ主食です。摂取する量も多いのに、虫が死ぬような農薬が残留しているものを食べて安全なのでしょうか。

輸入米ではコクゾウムシが死ぬ!! 食品としてそれでいいのだろうか

 日本の米とアメリカ、オーストラリアの米に、それぞれコクゾウムシを入れて、ムシの様子をみる実験があります。コクゾウムシは穀象虫と書きますが、頭の先が象の鼻のように突き出て曲がっている黒褐色の米つぶほどの小さな虫です。米粒や麦粒を食いあらす、昔はどこの家の米びつでも見かけました。そのムシが、アメリカやオーストラリアの米に入れたほうはすべて死んだというものです。日本の米にいれたムシは死にませんでした。

 似たような実験が小麦粉で行われています。日本の小麦粉(フェニトロチオンが0ppm)とオーストラリアの小麦(フェニトロチオンが0.5ppm)を少し間隔をあけて置き、その中央にコクゾウムシを放すというものです。翌日、すべてのコクゾウムシが日本の小麦粉に集まっていました。

 フェニトロチオンの残留基準は小麦が10ppm、米が0.2ppmです。

 別の実験では、コクゾウムシ70匹ずつをそれぞれの小麦粉が入った容器に入れると、オーストラリアの小麦粉に入れたほうはすべて死んだというものです。小麦粉の場合なら残留基準の20分の1でムシが死んだわけです。緊急輸入米の検出値で比較するのは無理がありますが、コクゾウムシが死んだアメリカ、オーストラリアの米は、緊急輸入ですから、                 
特別に日本向けに生産されたものではありません。ポストハーベスト農薬も特別に日本向けだということで注意が払われたとは思えません。その残留値が、アメリカで0.01、オーーストラリアで0.03。コクゾウムシはこの値で十分死ぬと考えられないでしょうか。小麦粉の基準値の20分の1で死ぬという点では、米の残留基準0.2ppmに対し、緊急輸入時のアメリカの米が20分の1の残留値です。それに対してオーストラリアの米は7分の1の残留値、中国の米は4分の3の残留値。コクゾウムシを殺すには、高濃度すぎる残留値が緊急輸入米からは検出されたと考えられます。

 これも別の実験ですが、米に2.0ppmの残留基準がある殺虫剤ペルメトリン0.0014ppm(0.14PPb)の残留する米が入った容器にコクゾウムシ50匹を入れると、1週間で30匹が死んだそうです。残留基準に対し、かなり低い数値でムシが死んでいます。

 いずれにしても私たちが問題にすべきなのは、ムシが死ぬような農薬の残留した輸入米を食べるのかどうかです。

輸入米だからダメというのでなく食の安全という面から判断しよう

 ‘90年の数字ですが、日本の水稲で使われた農薬は30万7491t。「世界の稲作面積の2%程度昭ところで、世界の稲作で使用されて.いる農薬の55%を使用している」(「アエラ」’90年2月20号)といわれるほどの量が、収穫前には使われています。アメリカやオーストラリアの約7倍ともいわれています。しかし日本の場合、収穫後の農薬使用は原則がありません。約7倍の農薬を使って収穫された日本の米ではコクゾウムシは死にませんが、日本のわずか7分の1の農薬で収穫したアメリカやオーストラリアの米でも、ポストハーベスト農薬を使用していればコクゾウムシは死ぬのです。

 ガット・ウルグアイルラウンドの農業合意は米に関しては特例として、米の関税化は6年間はしないが、初年度に消費税の4%、6年目に8%の最低輸入量(ミニマム・アクセス) を約束し、7年目以降は6年目(西暦2000年)に改めて交渉するというものでした。

 米の開放へと向かう大きな流れの中で、私たちは、食品として輸入米を食べることを避けるつもりはありません。食の安全という視点から、多少でも危険性があるなら買わない食べないようにしていくということです。輸入米に対しても、私たちはその安全性をチェックしつづける必要があると思います。

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★子どもたちの明日は厳しくなるばかりなのか

千葉友幸(ちば・ともゆき)

千葉クリニック院長。「アレルギー様症状の患者さんの中にはトータルなケアを必要とする人もかなりいます。しかも長期を要する場合も多い。とても私のような個人病院でできることではありません」。どうしてどうして、それが男の生きる道とばかりに、東京医科大付属病院を飛びだした (?)、現代の赤ひげ″の一人か。「本来は楽観論者なんですが、将来には一抹の不安があります。少なくとも自分の子どもには、お父さんはこう思って警鐘を鳴らしたんだということを、身をもって伝えるしかありません

戦後の農薬多量散布が環境を一変 現代病のすべてはその時からか・・・

 日本での農薬の散布は、第二次世界大戦後急激に増えました。戦前は農薬も高価で、果樹や一部の野菜で使われていたくらいです。それが有機塩素系殺虫剤DDT(’48年)やBHC(’49年)、有機リン系殺虫剤パラチオン(52年)など、廉価な化学合成農薬が大量に入ってきたため、ところかまわずの散布ぶりだったそうです。毒性も強く、死者を出すほどの人体被害や環境汚染が問題となって、これらの農薬は70年ころを境に、より低毒性のものと代わっていきます。

 前にもふれましたが、「佐久の眼病」といわれる有機リンの慢性中毒症が発見されたころです。

 現代病ともいわれるアレルギー疾患やアトビ1なども、ちょうどこの前後くらいから急激に増えてきました。食物アレルギーといわれる子も増えており、乳幼児では3人に1人の割合だともいわれています。

 「アレルギーの患者が、こんなに突然増えるとは思えません。食事のアレルギーと騒ぐけど、本当はアレルギーだけではなく、食物過敏症の人もかなりいるのではないでしょうか」

 小児科、内科のアレルギーに特に力を入れている千葉クリニックの千葉友幸先生は、乳幼児に多い食物アレルギーをそう分析する。

 「食物アレルギーと食物過敏症は少し違います。たとえば、抗原抗体反応の抗原は卵と原因がはっきりしているのが食物アレルギーです。はっきりしていないけど、卵を食べるとダメという場合もあるのです。卵そのものでおきるのか、添加物や農薬などプラスアルファでおきるのか、わかりません。そうすると、農薬の入ったものはおきるが、入っていないものはおきないという場合もあるのです」そういった事例は結構あるそうです。

 「バナナを食べたらアレルギーが出るという人がいます。その人は、たまたま無農薬のバナナがあると知って、買い求めてそれを食べたら、アレルギーは出ませんでした。バナナのアレルギーがあれば、血液反応に出るはずが出ない」

 まして、農産物の産地によっても症状に差があることは、しばしば経験されるそうです。 「アレルギー様症状がなぜ増えたかといえば、大気汚染、地下汚染、住宅構造の変化、ライフスタイル、ストレス、高タンパク高脂肪といわれる食生活への変化などがあげられます。そして、昔なくて今あるものとしては、圧倒的に化学物質が増えています。当然、一因になっているでしょう」

 アトピーや気管支ぜん息、あるいはジンマ疹なども、抗原抗体反応によっておこされるアレルギーが原因とは限らないそうです。

 「アトピーというのは″変わった≠ニか″奇妙な″というギリシャ語です。アトピー体質の人がアレルギー疾患をもちやすい、というのはありますがイコールではありません。気管支ぜん息、ジンマ疹なども、原因がアレルギーであるものとそうでないものがあります。結果としてアトピー性皮膚炎なのです。ただアレルギー性のものもあります、というだけで、そうでないものもあるのです」

 なるほど、原因がすべてアレルギーなら、アレルギー性皮膚炎といえばいいわけですから。アレルギーではなく、変わっている。なにか別の要因による皮膚炎ということですね。

 「アレルギー様症状をおこす直接原因として、化学物質を遠ざけようという動きと、化学物質などがアレルギーの発症を助けるのではないかといった議論もおきてます。しかし、今まで地球になかったもの、それら自分たちが作ったものと自分たち自身とのかねあいの研究は、残念ながら後手に回っています」

 戦後の農業政策は、化学肥料や農薬を多量に使うことで、戦争でドン底に落ち込んでいた食料事情を驚異的に回復させました。しかし、その代償も驚異的に大きいのではないでしょうか。

 「ひいおじいちゃんが食べて、おじいちゃんが食べて、自分が食べて、子どもが食べて、孫が食べるという、食の安全性というのが途中から切られてしまって、ひいおじいちゃんたちが食べなかったものを自分たちが食べている、ということもあります。長いサイクルの中で、人間がどう変わっているのかわかりません。ラットなど世代交代の早いものを使ってみていくしかありませんが、脊椎動物だといってもラットと人間は違いますから、同じように出るかどうかわかりません。参考にはなると思いますけど、原因は必ずしも1対1とは限りませんし」

体が対応できないくらいの急変化 子どもにとってはますます受難時代

 少し前までは、アトピーは子どもの病気だから大きくなれば治るといわれてましたし、食物アレルギーだって乳幼児期を脱すればかなり減るといわれてました。最近は成人のア
トピー、食物アレルギーも増えています。

 やはりアレルギー性ではない、化学物質などが要因になっているのでしょうか。また体の抵抗力も落ちているのでしょうか。

 「なぜ子どもに出やすいかというと、まず抵抗力が弱いからです。未熟なんです。異物が体に入る場合、鼻、口、そして皮膚のケースが多いのですが、影響ということでは食事が大きく、これは大量にいっぺんに取り込むからです。子どもの消化吸収機能は十分でありません。たとえば2歳くらいまではオシッコを十分に濃縮することができません。水の補給があるなしにかかわらず、オシッコを作るためには二足の水を必要とし、外に出してしまいます。だから脱水症状もおきやすいのです」

 「同じように胃腸機能も普通だったら、100円玉を50円、10円、5円、1円と消化吸収していくのでいいのですが、100円が未消化のまま、いきなり腸まで入る場合があります。腸粘膜の機能も未熟なので、それを吸収してしまいます。

 もうひとつ免疫機能も未熟です。赤ちゃんの場合、母乳段階で抑えようと思って抑えられなかったものが、腸から吸収されてしまうと、1円玉しか知らない赤ちゃんの免疫は、それ以前の未消化な5円や10円が入ってくるとニセ金だと騒ぐわけです。大きくなると5円玉でも、1円玉が5コ分だとわかって、免疫も寛容さができ、騒がない。攻撃すべきものと、そうでないものとの区別ができるのです。肝臓も解毒作用は弱いですね」

 そういった子どもの各機能の未熟さが、成長過程でなかなか成熟していかない場合もあるようです。しかし、影響の大きいのは環境だとか。「双子の研究例があります。一卵性双生児の場合、結婚するまではある程度、病気の因病率は同じなのですが、結婚してからも因病率が同じかどうかというと、だんだん一致数が減っていく。環境面の方が影響が大きかったんですね」

 現代社会は、現代人の体質が仮に化学物質などを知る以前の人の体質と同じであったとしても、アレルギー様症状をおこしやすいような環境になっている、と千葉先生。しかも
人間が追いつかないほどに環境は変化しています。

 「おこしやすい因子が増えている、なおかつ治りにくくなっている、という両方からみたほうが自然でしょう」

 子どもにとつては、ますます厳しい時代となるのでしょうが。

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★微量でも化学物質は体をむしばむ

微量な化学物質で引きおこされる 「化学物質過敏症」は1千万入超

 ‘91年の厚生省の調べでは、皮膚、呼吸器、眼・鼻の3つの中で、いずれかにアレルギー様症状のある人が38%もいることがわかりました。とくに花粉症を疑わせる眼・鼻のアレルギー様症状は20%と、3症状の中で最も多かったようです。

 これらは微量の有害な化学物質を体内に取り込むことでもおこるといわれています。さらに少ない量でも、長期間にわたって取り続けることで、さまざまな症状がおこることがわかってきています。

 「化学物質過敏症」といわれるものです。日本では、まだ病気としては認められていません。

 「私が最初に化学物質過敏症の患者さんをみたのは4〜5年前(’92年こ                                         ろ)です。それまでに、ぼちぼち増えて はきていたんでしょうが」とおっしゃる、北里大学眼科学教室の宮田幹夫教授は、当時すでに化学物質過敏症の診断をしたのですが、病気として認められていないばかりに、大変な苦労をなさったそうです。

 古典的な中毒症状はミリグラム(1000分の1グラム)のレベルで、アレルギーはそれより低いppm(100万分の1)のレベルで、化学物質過敏症はさらに低くppt(1兆分の1)のレベルで引きおこされるといいます。

 日本では1000万人を超える人が、化学物質過敏症だとされています。化学物質は身の回りにあふれています。

 実に1000万以上の種類の化学物質が世界中では知られていて、うち約7万種類が日常的な暮らしや産業の中で使われています。

 そのうえ、アメリカのEPA(環境保護庁)によると、1日に4種類の新しい化学物質が生まれているそうです。しかも、多量に使ってというのではなく、微量なものをいくつか混ぜ合わせながら使っているので、何がおこっても原因がわからない、と宮田教授。

農薬など化学物質摂取との関係でビタミン欠乏症の心配がある!!

 「昔の中毒学は体質を問題にしていません。たとえば水俣病だと、有機水銀が何ミリグラムで、ああいった症状がでますよといった具合に一律にやってしまう。しかし、アトピーなどは同じ環境にいても、なる人とならない人がいます。アトピーの人で新築の家に替わると症状がひどくなる人がいます。これはダニとかが原因ではなく、あきらかに化学物質汚染です。化学物質過敏症に関しても、なる人とならない人がいます」

 一方で、体の中で最も化学物質に敏感だといわれるのは目ですが、子どもの視力は全体的に落ちてきています。裸眼視力1・0未満のいわゆる視力不良児は、’70年代の二倍。

 「視神経炎などでみえる患者さんに、今どきなぜかしらないが、ビタミン欠乏症の人がいます。体に異性体が入ったとき、体は一生懸命解毒しようとします。解毒する際、ビタミン類やミネラル類が使われます。有機リン系の殺虫剤が体の中に入ると、体内のビタミンCの数値がグンとさがるのですが、たぶん解毒に使われるためだと思われます。B6もよく減りますね。ビタミン不足ですが、ミネラルなどの数値もドーンとさがります。ところが今食べている農作物は、温室栽培だと、ほとんどビタミンなんかありません。ミネラルの量も、有機と無機では、まったく違います。無機はゼロに等しい」

 「もともとビタミン類、ミネラル類の少ないものを食べていて、ましてそれに農薬が使われていたということになると、野菜を食べてもプラスになるのかマイナスになるのか、わからない場合があります」    

 今どきビタミン欠乏症になる人はいないといわれていますが、実際には増えはじめているそうです。

 「内科の先生なんかで、ビタミン欠乏症を念頭においている先生は少ないと思いますが、実際に何らかの病気をもっている人は、ビタミンの検査が必要でしょう」

 体内に取り込まれる化学物質などの異性体と、ビタミンやミネラルの関係は、摂取する農作物の栄養価が低下しているため、かなり深刻なようです。しかも残留農薬の心配まであるとしたら――。

ひとつの化学均質過敏症は 次々と他の化学物質での過敏症を併発

 私たちは、いろんな化学物質に取り囲まれ、微量ながらも多くの種類を体内に取り込んでいます。1種類の化学物質過敏症でもやっかいなのに、それが複数となると体にどんな影響を与えるのか、被害があるのか、またあったとしても、何が原因なのか、なかなかわからないといいます。しかし、被害は連鎖的に増えていくケースも、まちがいなくあります。

 たとえば、ある特定の農薬に対して過敏になった人が、その農薬にくりかえし接触しているうちに、他の農薬にも過敏になっていくというものです。

 多発性化学物質過敏症といいますが、一時に多量の化学物質と接触した人に多くみられるそうです。殺虫剤、接着剤、塗料……、家庭内にも一時に多量の化学物質と接触する機会はいくらでもあります。そういった経験を多少体がだるいとか、今日は気分がすぐれないといって通り過ごしている場合もあります。そういった、多発性化学物質過敏症へのカギを開けてしまった体には、たとえ微量でも、食べ物と一緒に取り込まれる残留農薬は危極まりないわけです。しかも複数残留。

 前に掲げた農作物の残留数値を、改めて見てください。低くても、すべては化学物質過敏症を引きおこす値なのです。

 一検体中に複数残留している農薬の合計値を求めることはできませんが、残留農薬だけでアレルギーを引きおこす数値になるものもあります。

 しかも、それによって現れる症状と原因とは、1対1で判断することはできないでしょう。加えてそれは、相乗作用なのか、相加作用なのか、それとも桔抗作用なのでしょうか。

 いずれにしても、これら化学物質と、「仲よくつきあっていくだけの、人間側の条件が整わなくなってきた」(宮田教授)のは事実です。

 今までは別の病名に隠れていただけだともいいます。自律神経失調症、高年期障害、心身症、神経症……。いまだ病名が認められていない化学物質過敏症が、その名を認められたとき、その数は幾人になっているのでしょうか。

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★化学物質過敏症の主な症状

<目の障害>
結膜炎(赤目)、目のふちのただれ、なみだ目、ドライアイ、まぶし目、かすみ目、疲れ
目、白そこひ(白内障)、黒そこひ(目の中心の黄斑部変性症、緑内障なども含む)、めまい(目の運動機能の障害)、立ちくらみ

<のどや口の障害>
のどがいがらっぽい、のどの痛み、つばが多く出る、異常に口が乾く。ひどくなると、口の中がただれやすい、口の中におできができる、食べ物の味があまりしない。喉頭浮腫(声がかすれ、息苦しくなる)

<耳の障害>
耳が痛い、中耳炎になりやすい、耳なり、耳がいつも詰まった感じがする。ひどくなると、音が聞こえづらくなる

<鼻の障害>
鼻水が出る、鼻が乾く、鼻が詰まる、鼻が痛む

<体調がくるくる変わる>
体調が良く躁(そう)状態の翌日、体がだるくて、頭痛、眠気があってうつ状態へ

<性的な障害>(色赤)
男性では精液量の減少、精子数の減少、インポテンツ。女性では不妊

<精神的な障害>
拒食、過食、偏食

<頭痛や睡眠障害>
頭痛は化学物質からの刺激に耐えられないことの表現でもあるケースも考えられる

<心臓と血管疾患>
不整脈、頻脈(脈が速くなる)、血管炎、血検性静脈炎、高血圧

<皮膚疾患>
じんま疹、アトピー性皮膚炎

<内分泌障害>
甲状腺機能の低下や異常な高まり

<血液の異常>
白血球や赤血球、血小板の減少

<慢性疲労症候群>
激しい倦怠感、微熱、寒気、のどの痛み、リンパ腺のはれ、筋力の低下、頭痛、睡眠障害

<消化器官の異常>
むかつき、満腹感、胸やけ、おなら、食欲不振、かいよう性大腸炎

<婦人科的障害>
生理の前にイライラやヒステリーをおこす月経前症候群、乳房過敏症による乳房の痛み

<肺機能障害>
肺機能の低下、ゼイゼイする呼吸器症状

<腎臓、尿路障害>
ぼうこう炎、夜尿症、糸球体腎炎

<リウマチ性疾患>
筋肉痛、関節炎、強直性脊髄炎、化膿性関節炎

「化学物質過敏症ってどんな病気」石川哲著(合同出版)より

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★あなたの食事が子孫を守る

有機栽培の野菜からも残留農薬!! 日本の土は生まれ変われるのか?

 総理府や(財)食生活情報サービスセンターの調査では、別表の通り、食の品質や安全性、食を通じての健康管理に、消費者が非常に気を使っていることがわかります。

 にもかかわらず、私たちの食生活は残留農薬や食品添加物によって汚染された食品に取り囲まれ、身動きできないほどのピンチにあるのが現状です。

 東京都が行った残留農薬検査では「低農薬栽培」「無農薬栽培」「有機栽培」と表示した野菜からでさえ検出されています。有機塩素系は、土中に長期残留するため、たとえ栽培時に農薬を使わなくても検出されるわけで、それは人体に入り、濃縮され、蓄積されていくのです。

 農薬汚染のない土の復活は可能なのでしょうか。自然の理にかなった作付けといわれる輪作体形ができるまでには15年かかるといわれ、土が生きていれば、何を作ってもよくできるのですが、その土作りも最低5年はかかるといいます。

 ‘70年代に使用禁止となった有機塩素系の殺虫剤BHCやDDTなどは、20年たったいまでも検出されていることを考えると、私たちはもう無農薬の野菜を食べることはできないのでしょうか。

 ‘93年4月、農林水産省が示した有機農産物等のガイドラインは、有機農産物を3年以上、化学肥料も農薬も使わなかった農地でも無化学肥料、無農薬栽培とするなど、6区分の表示を義務づけています。これでみる分には、改善されていることは事実ですが、これで私たちが心配する残留農薬問題が解決したわけではないことは、都の検出結果でもわかります。

「農薬の人体への影響を知って、それでなんともない人は食べてもらえばいい。アトピーとか過敏症とか、微量でも影響している人たちはやめるでしょう。

 しかし影響しているのに気づかないで取り込んでいった人たちが安全かどうかはわかりません。なんらかの免疫障害があるんじゃないか」と宮田教授。

 免疫系が犯されると、一時的には炎症などになるのですが、長期的には腫ようになるそうです。悪性リンパ腫が、10年前の二倍に増えているのは、無関係なのでしょうか。

 「人類が老齢化しているということではなく、何かがおかしくなってきています。どこかで免疫機能が落ちてきています。昔の老人は100歳まで生きましたが、今の若い人たちが100歳まで生きられるかどうか」

 とくに女性は要注意。アル中の女性や喫煙する女性の子どもは知能指数が低く、シンナー類に接している母体の子どもは悪性腫ようが多いなどというデータもあるそうで、母親が変なものに接するのは、子孫のために非常に危険なことなのです。

 とにかく気がついたものから、ひとつひとつ改善していくしかありません。多くの生産者、流通業者にとって、農作物は″商品″でしかないのです。そこに食の安全はありません。商品価値を維持するためだけに、食品衛生は利用されています。売れればいいのです。でも私たちは、買って食べられればいいというわけにはいきません。私たちのことを考えてくれる生産者、流通機構をさがすことです。幸い重大な危機に直面している現状を正しく認識し、無農薬、有機栽培、汚染のない土づくりなど、根本的に安全な農作物を生産する農家や農業転向者も徐々に増えています。

 無農薬野菜が高価であることや、それを売っている店が少ないことなど、さまざまな問題点が残されていますが、消費者としては、安全な野菜を生産する農家から直販で入手するなど、自分の納得できるシステムづくりをみつけることが大切です。少々高価でも、安全には代えられません。

家族の食べ物はお母さんの責任で選んで決めなければなりません!!

 宮田教授がおっしゃっています。室内空気の汚染が原因とみられる自律神経失調症など、家族全員で診察を受けにこられるケースがよくあるそうですが、決まって子どもの症状がひどいそうです。しかし子どもは何も言わないから周りはわからない。熱が出たり、頭が痛かったりと違って、大人ほどに症状が自覚できないケースが多いのでしょう。「子どもは何も言わないから、逆にかわいそうです」

 千葉先生がおっしゃっています。日本は知育と体育は、まあまあやってきたが、徳育はちょっとおちるかもしれないけどやってきたのかもしれない。しかし、食育はまったくないような気がすると。

 「お父さんの口に入るもの、子どもの口に入るものというのは、お母さんに責任があります。何をどう選んで食べるかは、お母さんが決めなければならない、ということを肝に銘じてほしい」

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