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  からだを動かさない
 子どもたちに異常が
 
起こっている!

   ・胸郭異常は子ともの体の
    “おかしさ”の警鐘

   ・体力運動能力の低下   
    [→読む]

   ・偏平足   
    [→読む]

   ・皮膚の異常   
    [→読む]

   ・自律神経失調   
    [→読む]

   ・小児成人病   
    [→読む]

   ・どうして子どもたちは
    からだを動かさなくなったの
    [→読む]

   ・子どもの健康度
    チェックテスト
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   ・生活リズムを見直して
    もっと外遊びを
    [→読む]

   ・ご飯中心の食事が
    子どもの健康をつくる
    [→読む]

   ・専門家から
    お母さんへのアドバイス
    [→読む]

   ・子どもの運動不足原因は
    お母さんにも!?
    [→読む]




からだを動かさない子どもたちに異常が起こっている!

取材・文/草野いづみ、小島あゆみ、川崎由紀子

「運動不足」「遊びが足りないIといわれる今の子どもたち。それでも元気ではないかと 気にしない人も多いかもしれません。でも、小児科の医師や栄養士、 運動の専門家に聞くと、外遊びが足りない子どものからだには、 さまざまな異常が見つかっているのです。どんな 異常がどのような経緯で起こるのか、子どもたちがふだんからからだを動かし、健康に育つにはどうすればよいのかを特集します。あなたの
お子さんは大丈夫ですか?

★胸郭異常は子とものからだの“おかしさ”の警鐘

「子どもたちの胸がへこんでいる!」大阪市西淀川区の柏花診療所長、藤森弘さんが、こんな異常を発見したのは、約25年前の1970年前後のこと。小学校の校医でもある藤森さんは、胸の形がおかしい子どもたちがたくさんいることに気づきました。日本が高度経済成長期に突入し、子どもたちを取り巻く環境が大きく変わっていく時代でした。

「子どもの胸郭の断面は赤ちゃんのときは円形で、幼児・児童では楕円形になるのが普通なのです。人間を含めて動物のからだはみな外に向かって凸の形。自然は一番効率のいい形を作るのです。ところがこれらの胸郭異常の子どもたちは、外側にわん曲しているべき肋骨がへこんでいたり、扁平だったり、胸の真ん中が飛び出していたりしているのでした。

 初め、これはクル病(紫外線の不足のため骨が柔らかくなる)や、気管支ぜんそくで強く息を吸い込むために異常に胸郭が内側に引っばられるのが原因ではないかと考えました。当時、大阪の西淀川区は大気汚染がひどく、その影響だと思ったのです。ところが近隣の医師や学校の先生方に問い合わせると、郊外や田園地帯でも胸が変形している子がいるということがわかってきました」

 70年代の後半頃から、アレルギー、背骨のわん曲、疲れやすい、噛めない、骨折しやすい……等、子どもたちのからだに目立ってきたさまざまな“おかしさ”が社会問題化してきました。藤森さんも理事を務める大阪府保険医協会では胸郭異常をこの“おかしさ”の象徴的な一つの現象ととらえ、’88年に大阪府の児童・生徒を対象に「胸郭調査」を実施しました。(下表参照)。その結果胸郭に異常のあった子どもは8人に1人の12.4%(男14.9、女10.0)。また’89年に0歳から6歳までの幼児3172人を対象にした調査では、異常率が25.9%にもなりました。

 子どもの胸が変形する原因を藤森さんは次のように分析しています。

「こういった症状は新生児にはなく、1歳半〜3歳くらいからボチボチ出てきます。赤ちゃんの呼吸は最初腹式呼吸ですが、ハイハイをして歩くようになる過程で、胸郭を広げるような胸式呼吸を身につけていきます。ところがベビーラックやベビーカーで楽な姿勢に固定されて、ハイハイをあまりしなかったり、息を切らして遊ばなかったりすると胸式呼吸を十分に発達させることができません。そして幼児期、学童期を通じて、ハアハアと胸式呼吸をフル動員して運動する機会が少ないと胸郭がしっかりと形成されないのです。腹筋が弱かったり、姿勢が悪いことも胸郭の変形を助長します。食生活の影響で骨が弱くなるなど、全身的な問題も重なり合っていると考えられます」

一番の原因は、子どもの運動不足にある、というのです。「胸郭異常は、骨がまだ柔らかい学童期に十分からだを動かすことなどで、成長するまでに治すことは可能」と藤森さん。ひどい胸の変形が多少減ってきているのも、改善がなされた成果ともいえます。しかし「胸郭異常の数そのものは減ってはいない」というのが藤森さんの実感です。また、全般的な子どものからだの“おかしさ”はさらに深刻になっているのが現実だといいます。

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★体力運動能力の低下

手が床につかない
ボールを目にぶつける
顔からこける
坂が下れない
棒のぼりができない

遊ぶ場所も時間もない子どもたちの体力・運動能力が落ちている

 大阪府保険医協会(開業保険医の組織)では、胸郭異常をはじめとする子どもたちのからだの“おかしさ”全般を総称して「学齢期シンドローム」と名づけ、調査やシンポジウムなどを行ってきました。事務局次長で『学齢期シンドローム』の著者でもある上田浩治さんはこう語ります。

「学齢期とは小学校1年生から中学校3年生まで。この時期は比較的集団としてとらえやすいのでこういった“おかしさ”が見つかりやすいといえます。しかし実際には乳幼児から始まっており、学齢期を過ぎて成人になっても問題を引きずっていく場合も少なくありません。

 子どもに起こっている異変は一つひとつが別のものではなく、子どもを取り巻く同一の社会背景のなかで起きています。都会でも農村でもあまり差がありません。それは日本全体に共通している環境やライフスタイルが原因であり、社会全体で考えていかなければならない問題だということを示していると思います」

 学齢期シンドロームの症状は、胸郭や脊椎の変形、骨折・捻挫しやすい、筋力の低下、疲れやすい、アレルギー、咀嚼機能の低下、肥満、心身症、視力低下、貧血……等々多岐
にわたります。なかでも子どもたち全体にとくに顕著なのは「体力の低下」だと上田さんは言います。

「子どもたちの筋力がどんどん弱くなり、運動神経も鈍くなっています。象徴的な話をある幼稚園の先生に聞いたのですが、20人くらいのクラスで棒のぼりをできる子が2、3人しかいないという。棒のぼりは腕や脚、背中の筋力と運動神経が必要なんですね。
また子どもたちをハイキングに連れて行くと、坂道の上りはなんとか歩くが、下ることができないという。歩こうとするとひっくり返ったり、転んで止まるまで走っていってしまうというのです」

 文部省がまとめた「平成5年度体力・運動能力調査」でも、児童・生徒の体位が良くなっている反面、体力や運動能力が著しく落ちてきていることを報告しています。例えば、立ったままひざを曲げずにどのくらい上体を折ることができるかという「立位体前屈」では、10、11歳、15、16歳の男女が過去最低を記録。’65年の数値を100とすれば全体で60〜80に落ちています。また、1500mを走る「持久走」では12歳、14〜18歳の男子が過去最低。全体では小学校中・高学年の落ち込みがもっとも目立っており、10、11歳の男女では運動能力テスト7種目の合計点が過去最低となっています(’94年10/10産経新聞)。

 体力だけでなく、子どもたちの自分の身体に対する感覚がおかしくなっている、というのは藤森さん。

「転んだときに手で防がずに顔でブレーキをかけてしまうような子や、ボールをよけられず、目をぶつけてしまう子が15, 6年ほど前から増えています。また呼吸のコントロールをうまくすることができず、普通なら息をつめてやるような細かい作業をするときにもハッハッと息を荒くしながらやっていたり、便意と本当の腹痛の区別がつかなかったり、病気やケガをしてもどこがどう痛い、苦しいなどの表現ができなかったり。からだの感覚がちゃんとつかめていないという感じがしますね」

 まるで人類の“退化”を見るような現象。こうした子どもの体力・運動能力低下の大きな原因の一つが「子どもが遊びによってからだを鍛える機会が減ったこと」であり、そういった子ども社会の変化は「大人の社会のあり方を映す鏡」だと藤森さんはいいます。

「生活の楽さ、便利さというのは大人の快適さに合わせたものです。車や自転車で保育園や幼稚園の送り迎えをする、噛みやすい食べ物を与える、冷暖房で室内温度を過ごしやすくする、それらすべてが子どもの体力を弱くしています。

 子どもは楽をしたらいけないんです。思い切り手足を伸ばしたり、走ったり、自分の体力の上限を押し広げるような経験の積み重ねが必要です。運動、というと水泳や体操教室に通わせればいいと思われがちですが、もつと日常生活全体のなかでダイナミックに、ありとあらゆる場面でからだを動かす経験をすることが大事です。そのためには大人がまず自分の生活を見直す必要があります」

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★偏平足

土踏まずの形成には、5、6歳までにしっかり歩くことが必要

 最近子どもたちに増えているといわれる扁平足。扁平足とは、足の裏が平らになり、土踏まずがなくなったように見える足の変形をいいます。この扁平足も「運動不足が大きな原因」と国立小児病院整形外科医長の村上寶久さんは語ります。

「足はたくさんの骨が靭帯でつながり、筋肉によってその骨組みが支えられてできています。正常な足の骨格は、足の先とかかとを結ぶ線が縦のアーチ型を作っています。扁平足は、このアーチを支える筋肉や靭帯が弱いためにアーチが落ち込んで土踏まずが平たくなった状態です。

 生まれたての赤ちゃんはみな土踏まずがちゃんとあり、歩くことによって5、6歳までにそれがしっかりしてきます。あまり歩かなかったりして足を使わないと、土踏まずがきちんと形成されず、扁平足になってしまうのです。もともと全身の関節が柔らかいような子、筋肉や靭帯が弱い子どもがなりやすいのです。

 ただ子どもの扁平足は、大人と違ってまだ骨が固まっていないので、寝ているときは土踏まずがあるのに、立つとアーチが落ち込んで平たくなる、という柔軟性のある状態です。歩いたり運動したりして足を鍛えることで治すことができます。逆に、子どものうちに治さないと、扁平足のまま骨が固まってしまいます」

 土踏まずはサルにはなく、ヒトが2本足で直立して歩くためにできたもの。足のショックアブソーバーであり、足を蹴り出して歩くのに必要。ですから扁平足になると、足が疲れやすく、長時間歩けなかったり、脚の痛みの原因にもなるといいます。

「扁平足を予防するには、子どもを毎日できるだけ歩かせること。外でよく遊び、安易に自転車や車に乗らず、バス停の1つ2つ歩くような心がけが大事です。また裸足は足を刺
激して筋肉や靭帯を強くします。せめて家の中では靴下をはかず、足の指が自由に動かせるようにして足を丈夫にしましょう」

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★皮膚の異常

皮膚がカサカサで体温が低い子どもたち

「子どもたちに非常に多いのはアトピー性皮膚炎。でもそこまでいかなくても、皮膚がカサカサに乾燥している子どもが増えています」と言うのは藤森さん。「汗をかかない子どもや体温の低い子どもが話題になりましたが、これは皮膚がカサカサということと密接に関係があると思います。皮膚が乾燥すると皮脂が少ないため皮膚からの水分の蒸発量が大きく、気化熱で体温が下がってしまう。体温が低ければ汗の分泌も少なくなり、ますます皮膚が乾燥します。

 人間の皮膚には体温を一定に保つ働きがあります。しかし、エアコン完備の部屋で過ごすことが多く、外遊びをして日光を浴びたり汗をかいたりすることが少ないと、皮膚が鍛えられません。そのため本来の生理的な働きが弱ってしまいます。それが皮膚のおかしさを引き起こしているのではないでしょうか」

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★自律神経失調

腹痛などが起きやすく、疲れやすい子には運動が必要

 立ちくらみ、冷え性、のぼせ、車酔い、寝起きが悪い、とくに朝は食欲がない、疲れやすい、疲れが抜けにくい、食後眠くなる、頭痛や腹痛、下痢や嘔吐が起きやすい、寝つきが悪い……。「このような自律神経失調という体質を持つ人は、大人だけでなく、子どもにも約3割はいます」と言うのは、東京慈恵会医科大学付属青戸病院の小児科医師、野中善治さん。「こういう子は運動不足でますます体調が悪くなります。体力をつけ、ストレスを発散させるためにも適度の運動が必要。にもかかわらず、体調が悪くて外遊びやスポーツがおっくうなのです」。運動クラブでも、みんなと同じ練習についていけず、ますます運動する機会から遠ざかります。また、おなかが痛い、だるいと訴えるために、親や先生が怠けていると取ることもあり、劣等感を持つ子も少なくありません。

 自律神経失調は体質なので根本的に変えることはできませんが、「体質とつき合うつもりで自己管理できるようになると、自信になります」とご自身もこの体質に悩まされた野中さん。「睡眠を十分に取る、朝食を必ず食べる、まとめ食いをしない、乾布摩擦や水シャワーで皮膚を鍛える。そして外遊びや、歩く、軽く走るといった適度の運動をすることです」

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★小児成人病の一番の原因は肥満 小児成人病

成長期の運動不足は成人病の原因に

 最近よく開く「小児成人病」とはどんな病気なのでしょうか? 日本大学医学部小児科講師の岡田知雄さんはこう説明しています。

「小児成人病というのは、糖尿病、高脂血症、動脈硬化、高血圧、消化器潰瘍など、本来成人において発症するような健康障害が小児期に発症するもの。また、40歳以上で現れるような成人病の危険因子が小児期に形成されている状態、さらに小児期にみられる症状が成人になっても引き続いていくものを呼びます。

 日本でこのような症状が問題になってきたのはここ20年くらいのことですが、欧米先進国ではすでに,50年代から、若者や小児における成人病の発症や成人病予備軍が顕在化していました。国民の暮らしが豊かになり、西欧的なライフスタイルが一般化するにつれて、日本でも同じような問題が起こってきたのです」

 小児成人病の一番大きな要因が肥満。肥満傾向にある子どもは、この20年間で2〜3倍にも増えています。肥満はほとんどが食事と運動の問題によって起こるといいます。
「日本人の食事は20年前に比べて動物性タンパク質と脂質の摂取量が4〜5倍に増えています。とくに肥満の子どもたちに目立つのは脂質の摂取量が非常に多いこと。肉食中心の食事や、外食、スナック菓子などが脂質の摂取を促進しています。

 もう一つの問題が身体活動量が非常に少ないということ。肥満の子に放課後、外でからだを動かして遊ぶ時間を聞くと、1日20分もない子が圧倒的に多いのです」

 また身体活動量が少ない子ほど、安静時の代謝量つまり何もしなくても消費するエネルギー量が減少し、肥満に拍車をかけるといいます。

「やはり小児期の一番の成長期に必要な運動量を確保しないと、代謝機能への影響が出てきてしまうんですね。子どもの高脂血症も運動不足が原因と言われます。身体組織が形成されていく小児期にきちんと運動しないと、ホルモンの分泌もおかしくなってしまいます」

 肥満が小児期だけでなく、成人以降の健康に大きな影響を与えることを示すこんな事実があります。

「英国の医学雑誌『ランセット』に掲載された、学童期に肥満児だった500人を40年追跡調査したデータによると、彼らは大人になってからの成人病の発生率が極端に多いんですね。例えば30〜40代での心臓血管病の罹病率は一般人の10倍以上。40代での死亡が500人中50人という高率で、死因はほとんど心臓血管病とガンと消化器病です。平均年齢がなんと42歳。こういうことをみても、いかに小児期の肥満予防が大事かわかります」

 そういう意味でも成長期における運動は非常に大切、と岡田さん。

「多少の過食があってもそれを使うだけの身体活動をしていれば脂肪は蓄積せず、むしろ骨や筋肉がしっかりします。成長期の子どもに脂肪がたまるなんて異常なことなのです。

肥満や小児成人病になりたくてなる子はいません。子どものライフスタイルの形成は家庭環境によるものが大きいのです。毎日の生活のなかでどれだけマメにからだを動かすかがカギ。子どもが肥満を予防するような生活習慣を身につけるような家庭環境を整えることが大事です」

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★どうして子どもたちはからだを動かさなくなったの

外で思い切り遊ぶ時間が少ない

「子どもたちが運動不足になっている大きな原因は、外遊びをしなくなったことにある」と長年幼児体育の指導と研究を続けている、女子栄養大学栄養学部助教授の太田恵美子さんは指摘しています。

 たしかに20〜30年前の子どもの生活は、学校から帰って夕方まで外で思い切り遊び、夜にはくたくたになって早く寝てしまうというのが、毎日のパターンでした。遊びも、おにごっこや缶けり、木登りなど、全身を使うものが中心でした。ところが今の子どもはどうでしょう。塾やお稽古ごとなどで忙しく、放課後から夕方まで毎日自由に遊べる子どもはほとんどいなくなっています。またテレビゲーム、テレビ、ビデオといった室内で楽しめる遊び道具も充実しています。また昔のように子どもが自由に遊べる空き地やあまり車の通らない道路も少なくなり、遊ぶ場所がどんどんなくなっていることも事実です。その結果今の子どもたちの遊び場は、自分の家かお友だちの家……つまり室内遊びが中心となってしまっているのです。

「毎日毎日全身を使って遊んでいた昔の子どもと室内遊びが多い今の子どもでは、運動量の差は歴然。体力や運動能力が低下するのも、もっともです」(太田さん)

大人の生活や社会のシステムにも問題が

 子どもたちが運動不足になっている原因は、大人の生活や社会のシステムにもあります。

「お母さんも忙しいせいか、子どもを歩かせず、すぐにベビーカートに乗せたり、車や自転車で送り迎えをしたりしています。そしてお母さん自身も運動不足になっているケースがとても多いんです」と、太田さん。

 また、『学齢期シンドローム』の著者である上田浩治さんも「家でお手伝いをする子どもが少なくなっています。布団の上げ下ろしや掃除など、家庭内でも日常的に体を動かすチャンスが少ない」と言います。

 私たちの生活は便利で快適になった半面、忙しく、ゆとりがなく、体を動かす機会が少なくなってしまいました。子どもの遊びだけでなく、家族の生活全体を見直す必要がありそうです。

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★あなたの子どもは大丈夫!? 子どもの健康度チェックテスト

⇒遊びや生活リズム

□ 夜は9時すぎまで起きていることが、週に3日以上ある

□ 朝はなかなか起きられないことが、多い

□ 幼稚園や保育園には、車か自転車で送り迎えをしている(いた)

□ 休日に家族みんなでスポーツや遊びをすることは、ほとんどない

□ 自宅や友達の家で遊ぶことが、週に3回以上ある

□ 塾やお稽古ごと、スポーツクラブなどに2つ以上通っている

□ 体を動かすことをおっくうがる傾向がある

□ ころんだり、ケガをしたりしやすい

□ 土踏まずがきちんとできていない

□ 長い時間歩いたり、運動するとすぐに疲れたと言う

□ どちらかというと、肥満ぎみである

□ 近所に子どもが安心して遊べるような場所がない

□ 1日にテレビを3時間以上見ていることが多い

□ ぞうきんがけ、ふとんの上げ下ろしなどのお手伝はほとんどしない

□ 家にいるときは、寝ころんだり、座っていることが多い

食事

□ パンを主食にすることが多く、ご飯は1日に3杯以上食べない

□ きゅうり、レタス、トマト、キャベツを1年中食べている

□ 肉やハム、ソーセージをよく食べる

□ 魚があまり好きではない

□ 天ぷらやフライなど揚げ物は大好物

□ 納豆、みそ、漬け物は好きではない

□ お茶や水をあまり飲まず、ジュースや牛乳を飲む

□ 冷蔵庫にはペットボトル入りの飲料がいつも入っている

□ 乳酸菌飲料をよく飲む

□ ハンバーガーやフライドチキンをおやつにすることが多い

□ スナック菓子をよく食べる

□ 甘い菓子を1日1回は食べる

□ 食事やおやつの時間が決まっていない

□ 食事のときにおなかが減っていないようで、食べることに集中しない

□ 朝食を抜くことがよくある

★判定

「遊びや生活リズム」「食事」の2つのチェックテストの○の数を合計し、判定結果を参考にしてください。

○が20個以上
今すぐ子ともの生活を見直して
子どもの食事のしかたも、遊びや生活のリズムもすぐに見直しが必要です。このままでは、お子さんの心身の成長に影響があるかもしれません。ひょっとすると、あなたや夫の健康にも不安が…‥。後ろのページを参考にして、暮らしを立て直しましょう。

○が10個以上20個以下
できることから少しずつ見直しをお子さんの今の生活は平均点といえるでしょう。でも、ちょっと気を抜くと、運動不足になったり、食べ物が油や糖分の過剰になることもあります。「遊びや生活リズム」「食事」のうち、より○が多かったほうから、できることを少しずつ実行してみてください。

○が10個以下
努力賞!さらに健康をめざそう
お子さんの食事や遊び、生活リズムに、かなり気を配っているといえます。お子さんの年齢が上がっていっても、この調子で。お母さんだけが努力するのではなく、子どもや夫も巻き込んで、家族みんなでさらに健康な暮らしをめざしてください。

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★生活リズムを見直してもっと外遊びを

健康な生活の条件

一、夜眠くなるように運動を十分にする
二,朝は早起きし、水で顔を洗う
三,朝は必ず排便する習慣をつける
四、できるだけ歩くように心がける
五、いろいろなスポーツをさせる

早寝早起きの習慣をつける

 子どもの運動不足を解消するには、外遊びの時間を増やすことが、大切だということはわかりました。では実際の生活ではどのような点に注意すればいいのでしょうか。幼児体操、母子体操などの指導、研究に長年携わっている太田恵美子さんは、「早寝早起きの習慣をつけること」が何よりも大切だといいます。「体を動かす習慣は、小さいうちからつけないとダメなんです。その意味では一緒にいる時間の長いお母さんの責任は重大。特に幼児期は、1日に午前と午後の2回は、外に遊びに連れて行くようにしたいですね。それには朝早く起きることが、とても重要です」

 朝早く起きて9時すぎには家事を終え10時前には公園へ。2時間以上たっぷり遊んで、昼食をしたら少しお昼寝をして、3時から4時、5時ころまで、お散歩をしたり公園で遊んだりというのが理想的なパターンところが今は、11時近くに公園に行き、しばらく遊んでお昼の時間が午後にずれ、お昼寝が2時から4時か5時までというケースが多いのです。

「これでは昼寝ではなく、夕寝ですよね。夕方近くまで眠ったうえ、運動量が少ないから夜眠くならない。それで夜更かしになり、朝起きられないという悪循環になります。お母さんも努力してテレビを夜遅くまで見せないようにしたり、お父さんは子どもが眠ってから帰ってきたときは起こさないようにするなど、家族みんなで早寝早起きの習慣をつけてください」

 早寝早起きして、よく遊ぶことで、自然に健康的なリズムがつくられていくと言います。

休日には家族で体を動かして遊ぶ

「子どもが運動不足だというと、『うちの子はスポーツクラブに行っているから大丈夫』と安心しているお母さんがいますが、それでは運動が足りているとはいえません」と太田さん。実際スイミングなどは、待っている時間も意外と多く、外で遊びまわるときより、運動量は少ないのです。「小さいうちはいろいろなスボーツをして、全身を鍛えることが大事ですね。遊びなら、自然にそれができるのです」

 また休日には車ででかけ、遊園地で遊ぶというのも、思っているより運動量は少ないといいます。

「近くの公園や川原で上図のような全身を使う遊びをすると、家族で楽しく運動ができます」

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★ご飯中心の食事が子どもの健康をつくる

 成長期の子どもたちの食事はどんなことに気をつけるべきか、管理栄養士の幕内秀夫さんに聞きました。

 幕内さんが強調するのは、もっとご飯を食べること。「家を建てるときと同じように食事も土台をしっかりしなくてはいけません。毎日の食事で土台となるのは、やはりご飯です。生きていくのに必要なエネルギーを穀類やいも類で取らなければ、油と砂糖を取ることになる。それが、今問題になっている肥満や高脂血症などに結びつくのです」

 パンはご飯と同じように土台になるような気がしますが、「パンは砂糖や油が入っていますから、お菓子のようなものです。それに表面がパサついているため、バターやジャムなどを塗ることになります。また、パンに合うおかずは、目玉焼きやハムエッグ。サラダにはドレッシングやマヨネーズをかけます。パンを主食にしたら、油や砂糖だらけになります」

 ご飯と違って、3食とも主食をパンにすることはあまり考えられません。「赤ちゃんだって、おっぱいの次は白湯、そして重湯です。そういうことから考えると、やはり食事の土台はご飯です」。できればビタミンやミネラルなどの微量栄養素が白米より多い、胚芽米や分づき米を取るのが理想。たまには粟や麦など雑穀を入れてもおいしいものです。

 幕内さんは、納豆、みそ、漬け物などの発酵食品を取ることも勧めます。「昔はおなかの調子が悪いときに、ぬか漬けのぬかをお湯に溶いて飲ませました。乳酸菌がたくさん入っているからです。これから研究が進むにつれて、発酵食品の効果はもっとわかってくると思います」

 動物性食品についても、「豚肉や牛肉は調理に必ずといっていいほど油を使います。動物は自分で取れるものしか食べません。人間も“素手で取れるもの”を食べるようにすればいいのではないでしょうか。つまり、いわしやあじなどの比較的小さい魚と貝類、卵です」と言います。

 季節の野菜を食べるのも大切です。春はうど、ふき、わらび、ぜんまいなどあくが強い野菜が多く、夏はうり、きゅうり、トマトなど水分が多い野菜、秋はいも、栗、きのこなど糖質が多いもの、冬はれんこん、大根、里芋などの根菜や青菜と、旬の野菜は季節ごとに特徴があります。

「旬は自然の法則で、きっと意味があると思うんです。年柄年中きゅうり、レタス、トマト、キャベツ、にんじん、じゃがいも、玉ねぎ、なすを買う人が多い。これらの野菜はすべて油に合うんです。それだけ油をよけいに取っていると思いますよ」

 このように食事の内容に気を配っても、要は子どもたちが食べるかどうか。「今の子どもたちは、おなかがすかないままで食事をすることに問題があります。外で十分に遊べばおなかは必ず減ります。そうすれば、おにぎりと水だっておいしいんです」
よく遊び、よく食べて、よく眠る。当たり前の子どもらしい生活が健康の基本です。

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★専門家からお母さんへのアドバイス(50音順)

お手伝いや一緒の食事で家庭の生活リズムを作る

上田浩治さん(大阪府保険医協会事務局次長)

 子どもの運動不足や食事の問題は社会と家庭の両方の問題。家庭でできることは何か考えて実行してみましょう。例えばば子どもに家事の手伝いをさせる。布団の上げ下ろしや掃除などはけっこう運動になりますし、からだをマメに動かす習慣ができます。また週に数回でもいいから食事を家族全員でとる。調理から片付けまで一緒にすることで食べ物についても考える機会になります。父親も積極的に参加して、家族で健康的な生活リズムを作っていくことが大切だと思います。

子どもの肥満防止には、親が率先してライフスタイルを改める

岡田知雄さん(日本大学医学部小児科講師)

 親や祖父母が子ども可愛いさで「食べろ食べろ」と押しつけたり、冷蔵庫に不必要に多くの食品やペットボトルを買い込んでおいたり。こういった日常習慣化していることの中に肥満の原因が潜んでいます。肥満を防ぐには、なるべく早い段階で、生活習慣を改めることが大切。成長するほどに第二反抗期などもあり、直すことが難しくなります。それには子どもだけに「食べるな」「運動しろ」というのではダメ。親が率先して正しいライフスタイルを確立することが必要です。

「健康のしつけ」で親子のコミュニケーションを

藤森 弘さん(柏花診療所長)

 子どもの健康なからだをつくるには、ただ鍛えればいいのではありません。からだの一つ一つの仕組みがいかに絶妙なものか、命や自然の不思議さ、素晴らしさとともに教えていくような「健康のしつけ」が必要だと思います。例えば蚊にさされたこと一つとっても、「かゆいね。赤くはれてるね」「蚊が血を吸ったのね」「掻きむしったらだめよ」と、からだについての会話ができます。子どもが自分のからだについて知り、考えるような機会を生活の中で作ってあげてください。

親子で似ている体質をよく知ってコントロール

野中善治さん(慈恵医大青戸病院小児科医師)

 アレルギーや高脂血症、自律神経失調、肥満などの体質は、親子で似ていることが多いのです。それだけに、お父さんやあ母さんは自分の子ども時代を思い出しながら、子どもの健康管理をしてもらえればいいですね。「今日はみんなで外に歩きに行こう」「早寝早起きをするようにしょう」などと、家族舎貝で目標を持つことも大切です。自分の体質をよく知り、うまくコントロールできるようになれば、自分に対するイメージもよくなるし、自信も出てきます。

裸足は足を丈夫にし、扁平足を予防します

村上寶久さん(国立小児病院整形外科医長)

 最近は、裸足になるのをいやがる子どもが多いですね。でも足を丈夫にするためには裸足でいるのが非常にいいのです。家の中はもちろん、土や草の上など安全な所なら、小さいうちから裸足で遊ばせるようにしたいもの。スニーカーを履くときも裸足でじかに履く方が足の指が自由に動き、足裏の筋肉を鍛えることができます。靴を選ぶときは、サイズが足に合い、ある程度の弾力性があって衝撃を吸収でき、足の指が自由に動かせるゆとりがあるものを。

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★子どもの運動不足原因はお母さんにも!?

 お母さんが気がつかぬ間に、子どもの運動不足を招いている場合がしばしばあります。特に子どもが小さければ小さいほど、お母さんの生活パターンが子どもにそのまま影響してしまいます。それでは、どのような点が問題なのでしょうか。

お母さんが運動不足なら子どもも運動不足になる

 生活が夜型になっているために、子どもの運動不足を招いていることは、前のページでお話しました。でもたとえ午前と午後の2回公園に連れでいくという、理想的なパターンを実行していたとしても、運動が十分かどうかはわかりません。「例えば、公園に行っても子どもは砂場で遊び、お母さんはベンチに座ってほかのお母さんとおしゃべりしながら見ているだけでは、子どもが運動していることにはなりません」と、親子体操や幼児体操の指導に長年携わっている太田恵美子さん。

 太田さんが指導する親子体操では、お母さんが子どもを持ち上げたり、振りまわしたりといった動作があるのですが、それさえできないお母さんが、意外と多いといいます。

 「お母さんも運動不足で筋肉がついていないんです。私は調査のためによく公園をまわりますが、午前10時ごろにはまだ人もまばらですし、やっと子どもを連れたお母さんが集まってきても、子どもと一緒に動きまわって遊ぶお母さんはとても少ないんです」

 さらに公園や買い物などの移動のときにはベビーカートにのせ、幼稚園や保育園に行くようになったら自転車や車で送り迎えするお母さんがほとんど。でも、「送り迎えのときは、多少時間がかかっても歩く習慣をつけるだけで、子どもの運動不足はずいぶん解消されるはずです」

 そして「昔は子どもが親の手足となってお手伝いなどをしたのに、今は親が子どもの手足になっています」

「幼稚園にお迎えにくると、黙って立っている子どもから、カバン、帽子、荷物などをお母さんが次々にとって、自分が持って帰るという光景も珍しいことではありません。お母さんは荷物がいっぱいなのに、子どもは身軽。ほんとうは荷物を持って歩くといぅことで、子どもの筋肉が発達し、精神的にも自立心が育つと思うのです」

 しかも家では子どもが座ってテレビゲームをしている間、お母さんはせっせと家事をしています。確かに昔と違って掃除・洗濯、料理づくりも今は便利になり、お母さんひとりでも家事をこなせてしまうという面があります。でも子どものことを考えれば、もっとお手伝いをさせたり、自分のことは自分でさせる必要があるのかもしれません。

「遊びやお手伝いなど毎日の生活のなかでこまめにからだを動かす習慣をつけることで、子どものからだはすこやかに成長します。送り迎えのときは歩く、一緒に体を動かして遊ぶ、お手伝いをさせるといった、お母さんの意識改革が、まず必要です」

 また食生活の面でも、毎日の献立はもちろん、スナック菓子を袋ごと食べたり、だらだらおやつを食べていたりといった習慣は、そのまま子どもに影響を与えます。

 今は情報も、便利な道具も食べ物も何でも自由に手に入る時代です。でもこのような時代だからこそ、子どもがすこやかに育つためには、何が必要で何がいらないのかを取捨選
択しなければいけないのです。

 

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